最初に会いに行ったのは、赤いずきんの女性だった。
正直に言えば、あの時の私はまだ「聴く側」でいられると思っていた。
五人の話を聴いた。
森を抜けた人。月を仰ぐ人。鏡を避ける人。名前を取り戻した人。そして、声をなくした海の人。
彼女たちは語ってくれた。
語れない沈黙も、そのまま差し出してくれた。
私は記録した。けれど、記録しきれなかったものがある。
あの沈黙の中で、私自身の何かが変わっていった。
それが何かは、まだうまく言葉にできない。
五人の声を聴いた。
けれど、彼女たちの物語は終わっていない。
私の旅も、まだ続いている。