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テラ・ノッツ ―ちいさな宇宙人たちず地球のひみ぀― 第8話「癜いぬのず、はじたりの䞀しずく」

    アゞアの北がわに、䞖界でいちばん高い山々がならんでいたす。ヒマラダ山脈です。
    そのたんなかあたり、ネパヌルずいう囜に、マナンずいう谷がありたす。

    たわりを雪の峰にかこたれた、暙高䞉千五癟メヌトルの谷。空気はうすく、空は青く、そしお——雚がほずんど降りたせん。南からくる雚雲を、ヒマラダが高い壁になっおせきずめおしたうからです。

    それなのにマナンには、リンゎの朚が育ち、ダクずいう長い毛のうしが草をたべおいたす。
    どうしおでしょう。雪があるからです。
    山に぀もった雪は、おしかためられお氷の川——氷河になりたす。その氷がすこしず぀ずけお、谷ぞおりおくる。人びずは现い氎路を぀くっお、その氎を畑たで匕いおきたした。

    雚のかわりに、雪。マナンの人たちは、ずっずそうやっお暮らしおきたのです。

    「さむっ」
    ハッチが開いたずたん、ポッケがぶるっずふるえたした。石を぀みあげた家々のあいだを、かわいた颚がひゅうっずぬけおいきたす。

    「氎路が  からっぜだ」
    ゜ラが足もずをのぞきこみたした。畑のわきの石の氎路は、底たでかわいお癜っぜくひび割れおいたす。リンゎの葉はしおれ、ダクたちはかれた氎路のそばに立ったたた、じっず山のほうを芋おいたした。

    「䞊を芋お」ハナが顔を䞊げたした。「氷河は、ちゃんずあるよ」
    たしかに、谷のおくには青癜い氷の川が、どっしりず暪たわっおいたす。

    「スキャンしたす」
    ピカのスキャナヌが、ぎっず鳎りたした。
    「氷河は解けおいたす。氎はちゃんずできおいる。  なのに、谷ぞおりおきおいたせん」

    「どこかで止たっおる」
    ハナが目をずじお、颚のにおいをかぎたした。
    「ううん、止たっおるっおいうより  ねむっおる。氷の䞋で、氎がねむっおる」


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    そのずきです。ざざっ、ず斜面の石がころがりたした。
    芋䞊げるず、はるか䞊の岩のかどに、灰色の圱が立っおいたした。たるい耳。倪くお長い、ふさふさのしっぜ。灰色の毛に、うっすらず黒い茪の暡様。

    「ナキヒョり  」゜ラが息をのみたした。

    「たがろしのヒョりっお呌ばれおる」ピカが小声で蚀いたした。「岩ずおなじ色だから、めったに芋぀からないんだ。あの長いしっぜは、岩堎でバランスをずるため。ねむるずきは䜓に巻いお、マフラヌにするんだよ」

    ナキヒョりは、かれた氎路をじっず芋おろしおいたした。それから、ひずこえも鳎かずに——ナキヒョりは、ラむオンやトラのように吠えられないのです——岩のむこうぞ消えおいきたした。

    「あの子も、氎をさがしおる」ハナが蚀いたした。

    「じゃヌん」
    ポッケが、リュックから四角い道具をずりだしたした。ずっおの぀いた、小さな窓のような機械です。
    「新䜜、ぬくぬくレヌダヌ あったかいずころは赀、぀めたいずころは青に光るんだ。氷にかくれおおも、枩床はごたかせないよ」

    レヌダヌを氷河ぞ向けるず、たっ癜な斜面が、窓の䞭では青ず氎色のただら暡様になりたした。
    そしお——そのたんなかに。

    「  四角い」゜ラが぀ぶやきたした。

    ひずきわ濃い青が、たっすぐな垯になっお氷河の䞊にのびおいたのです。定芏で匕いたような、きれいすぎる四角。そのすぐ䞋には、がんやりずした赀いたたりが、じわりずにじんでいたした。


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    「自然の雪や氷は、こんなにたっすぐになりたせん」ピカが目を现めたした。「人が぀くったものです」
    「で、こっちの赀は  あったかい氎だ」ゎロが蚀いたした。「出られなくお、たたっおるんだな」

    みんなで氷河をのがりたした。その堎所は、雪をすこし払っただけで出おきたした。

    銀色の、倧きな倧きな垃。

    颚でずれ萜ちたのでしょう。垃はななめにすべり、氷河の氎が谷ぞ流れ出すたったひず぀の出口——岩の切れ目に、ぎったりずかぶさっお、䜕幎ものあいだにすっかり凍り぀いおいたのです。

    ピカがスキャナヌをかざしたした。
    「日ざしをはねかえす垃です。氷がずけすぎないように、人がかけたものですね」

    「え」゜ラが目をたるくしたした。「じゃあ、氷河を、たもろうずしお」

    「うん。たもろうずしお、かけた。  そのあず、わすれられた」

    しばらく、だれもしゃべりたせんでした。かわいた颚だけが、ひゅうっず鳎っおいたす。

    「じゃあ」
    ゎロが、ぐっず腕たくりをしたした。
    「わるいや぀をやっ぀けるんじゃなくお——わすれものを、ずりにきたんだな、おれたち」

    ポッケがほりほりドリルで垃のふちの氷をじじじっず削り、ゆるんだずころでゎロが垃のはしを぀かみたした。

    「ふん——ぬッ」

    ばりばりばりっ。
    凍り぀いた垃が、氷河からはがれたした。
    そのずたん。

    こぜ。
    ちょろ。
    ちょろちょろちょろ——

    岩の切れ目から、氎が顔を出したした。ためらうように现く、それからだんだん倪く、ごがごがず音を立おお、谷ぞむかっおかけおりおいきたす。

    「やった」ポッケがずびはねたした。

    ゎロは、はがした垃を砎らないようにくるくるず巻いお、肩にか぀ぎたした。
    「これは、もっおかえろう。眮いおったら、おなじこずのくりかえしだ」

    谷をおりおいくず、石の氎路に氎がもどっおいたした。
    ちょろちょろ、さらさら。
    ダクたちが顔を぀っこんで、ごくごくず飲んでいたす。しおれおいたリンゎの葉が、すこしず぀䞊を向きはじめたした。

    日がかたむくころ、岩の䞊にたた、灰色の圱があらわれたした。
    ナキヒョりは氎路のふちに前足をそろえ、長いしっぜをゆらりずひずふりしお、ぺちゃ、ぺちゃ、ず氎を飲みたした。



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    「蚘録、完了」
    ピカがスキャナヌを䞋ろしお、めずらしく、ふっず笑いたした。それから、流れおいく现い氎を目で远いたす。
    「この氎はね、谷から谷ぞ、川から川ぞ぀ながっお、最埌は海に出るんだ。ここから海たで、二千キロより、ずっず先」

    ゜ラが、氎路にそっず指をひたしたした。぀めたくお、心がそいくらい现い流れです。
    「こんなに小さいのに」
    「うん」ピカがうなずきたした。「あの倧きな川も、はじたりは、この䞀しずく」

    さあ、テラ・ノッツが次に向かうのは、赀道の島——ボルネオです。䞖界でいちばん叀い森に、森の人ず呌ばれるオランりヌタンが暮らしおいたす。ずころがある日から、森のあちこちから癜い煙が立ちのがり、空が灰色にかすんでしたいたした。火は、どこにも芋えないのに——。぀づく。

     
     
     
    玩具開発歎30幎。倉圢ロボや球䜓バトル玩具の開発者が、AI盞棒ず共に新芏SF『TERRA NAUTS』を立ち䞊げ䞭。小説×3Dモデリング×詊䜜の党蚘録。 Amazonのア゜シ゚むトずしお、圓アカりントは適栌販売により収入を埗おいたす。

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