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テラ・ノッツ ―ちいさな宇宙人たちと地球のひみつ― 第1話「消えた山彦とこだまの森」

きらきらと光る宇宙の道を、まあるい船が静かにすべっていきます。その名も「ワンダラー号」。乗っているのは、宇宙からやってきた五人の探検チーム、テラ・ノッツのなかまたちです。

リーダーのソラは、まっすぐな心を持つ勇かんな女の子。発明はかせのポッケは、いつもポケットに不思議などうぐを忍ばせています。自然が大好きな優しいハナ。とびきりの力持ち、ゴロ。そして、なんでも知っている頭脳はかせのピカ。

「みんな、見て!下に大きな山が見えるよ」
ソラが窓の外を指さしました。雪をかぶった、それはそれは美しい山。日本というくにの「富士山」というところです。ワンダラー号は、その山のふもとにある、緑ゆたかな森にそっと着陸しました。

森の中に降り立つと、木々の葉っぱがさらさらと風にゆれ、鳥たちの声がひびいています。
「わあ、なんて気持ちのいい森でしょう」
ハナはうれしそうに深呼吸をしました。けれど、しばらく歩くうちに、ハナの顔がだんだんくもっていきます。

「あれ……? へんだわ」
「どうしたの、ハナ?」とソラがたずねると、ハナは耳をすませながら言いました。
「この森には『山彦』が住んでいるはずなの。大きな声で呼びかけると、こだまが『やっほー』って返事をしてくれるのよ。でも、さっきから何度呼んでも、こだまが返ってこないの」

ためしにゴロが大きな声で「やっほー!」とさけんでみました。けれど、森はしいんと静まりかえったまま。こだまは、どこにも返ってきません。

「これは、ただごとじゃないね」
ソラがそう言うと、情報はかせのピカが、小さなスキャナーをかまえました。ピンポンピンポンと光が点めつし、画面に何かの線が浮かびあがります。
「ソラ、見つけたよ。地面の下から、聞いたことのない周波数のエネルギーが出てる。たぶん、これが音を吸いこんで、こだまが生まれるのをじゃましてるんだ」

「地面の下から……? よし、掘ってみよう!」
発明はかせのポッケが、自分で作った「ほりほりドリル」を取り出しました。ぐるぐると回るドリルが、やわらかい土をどんどん掘りすすめていきます。

しばらくすると、ガコン、と大きな音がしました。
「ポッケ、何か出てきたよ!」
土の中からあらわれたのは、銀色に光る、見たこともない機械でした。機械からは、ぶうんという低い音と、緑色の光がもれています。

ハナがそっと近づいて、木の根もとに手をあてました。
「ああ……木が、とても疲れているわ。この機械が、森の元気を吸いとってしまっているのね」

森の生きものたちのために、テラ・ノッツは力を合わせることにしました。
「ゴロ、機械のまわりの岩をどけてくれる?」とソラが声をかけると、ゴロは大きな両手で、ごろん、ごろんと岩を運んでいきます。
「まかせて! これくらい、へっちゃらさ」

つぎに、ポッケがポケットから取り出したのは、自慢の発明品「音波共振キャンセラー」。
「この音で、機械のいやな音をうち消してみせるよ!」
ポッケがスイッチを入れると、機械から出ていたぶうんという音が、すうっと小さくなっていきました。

最後はピカの番です。ピカは機械の小さな画面に、すらすらと何かを打ちこみはじめました。
「あとちょっと……これで、止められるはず」
ピンと音が鳴り、機械の光がふっと消えました。

そのしゅんかん、森じゅうがしいんと静まり、それから――。
「やっほー!」
ゴロの声が山にひびくと、しばらくして、遠くから「やっほー……やっほー……」と、やさしいこだまが返ってきました。

「やった! 山彦が帰ってきた!」
みんなで顔を見合わせて、にっこり笑いました。木の葉っぱが、さわさわと気持ちよさそうにゆれています。さっきまでしおれていた草花も、すこしずつ、しゃきっと顔を上げはじめました。

ハナは、そっと木の幹をなでながら言いました。
「森も、山も、川も、みんな生きているの。わたしたちが大切にすれば、ちゃんとこたえてくれるのね」

ソラは、なかまたちを見わたして、にっこりとうなずきました。
「これからも、地球のたからものを守っていこう。テラ・ノッツのつぎの冒険が、どこで待っているか、楽しみだね!」

夕やけ色の空の下、ワンダラー号はゆっくりと空にうかびあがり、森に「またね」と手をふるように、きらりと光って飛び立っていきました。

さて、つぎにテラ・ノッツが向かうのは、いったいどんな場所でしょう。そこには、どんな謎と、どんな出会いが待っているのでしょうか。テラ・ノッツの地球大探検は、まだまだ始まったばかり――つづく。

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