
風の森のギャラリーに癒されて…赤井川村
#創作大賞2026
#エッセイ部門
赤井川村の街中を抜け余市町に向かって行くと途中から冷水トンネルと冷水峠に別れる道がある。
左側の冷水峠に入る道を行き、峠の入り口から100m程手前を左に折れ(黒壁の家が目印)ゆったりした坂道を降りていくと、林の中に2階建の物置小屋と奥にログハウスが見えて来る。
「風の森のギャラリー」だ。
「風の森のギャラリー」は、30年程前に先代T先生が退職金で手に入れた8万坪弱(東京ドーム6個分)の広大な林野だ。
彫金作家でもあるT先生は、小径を造り、畑を耕し池を掘り花畑を作った中に、ご自身の作品を点在させ眺めながら余生を楽しみたかったに違いない。

ある日、T先生からギャラリーの写真とお葉書を頂いた。その光あふれる樹々や花々の美しさに心惹かれてほとんど間を置かず訪れたのを覚えている。
車を降りて思わず深呼吸をしてしまう空気の清々しさ美味さ❗️
カッコウの鳴き声と小鳥たちのさえずり…
微かに聞こえる小川のせせらぎ…

ギャラリー全体が白樺林の白い木肌とグリーンの薄いレースのカーテンに覆われた様な景色の中でT先生がいつもと変わらずニコニコと迎えてくれた。
その日からほぼ月イチの間隔で私の赤井川詣でが大勢の友人を巻き込みながら20年近く続いた。
最後の数年は 八千代さんご夫妻、時子さん、民子さんそして私の5人でログハウスの掃除をしたり、カメムシ退治をしたり、池まわりや小径の草刈り、時には花壇の手入れ…
昼時にはおにぎりを頬張り、コーヒーを飲みながらギャラリーの景色を眺め、たわいの無いお喋り…
甘党のT先生はいつもメロンパンを食べ、時には居眠りをしながらニコニコと相手をしてくださって…
何と幸せな貴重な時を過ごしたことだろうか…
現在は30年間の雪の重みで朽ち果てて跡形も無いが、私が初めて訪れた当初はギャラリーの入り口にそれは大きな門柱があり、一歩中に入ると右手に T先生の作品である彫金が7〜8点並び出迎えてくれていた。
そしてログハウスに向かって少し行った所に小さな祠があり、小さなお地蔵さまに出会う。

Kさんが編んでくれた赤い毛糸🧶のお帽子を被り T先生によく似た優しいお顔で鎮座している。
私たちは今日も楽しい時間を過ごすことができます様にと手を合わせ安心してギャラリーを散策する。
T先生が身体を壊し、なかなかギャラリーに来れなくなった頃から娘婿のHIDEさんが時々訪れては朽ち果てたデッキを修繕したり、雨漏り防止にブルーシートを被せたり、門の扉を付け替えたりしてくれるようになった。 T先生ともコンタクトを取ってギャラリーの様子を知らせてくれていた…
お陰で私は今でも年に何度かギャラリーの森に、風に癒されて幸せな時を過ごしている。