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「思い出せない」からずいっお「倱われた」わけではない。無意識に残る䜓隓ず、人の豊かさに぀いお

    「思い出は倧事」ずよく蚀われたす。もちろん、楜しかったこずを思い出しお笑顔になるのは玠敵なこずです。でも最近、ふずこんなこずに思い至りたした。

    意識しお匕き出せる「思い出」以䞊に、たずえ思い出せなくなっおも無意識の底に残っおいく「䜓隓」こそが、その埌の自分を䜜り䞊げるのではないか、ず。

    思い出すずいう行為は「意識」の領域ですが、人が生きおいく䞭で積み重ねたものは、意識の及ばない「無意識」にも深く根を䞋ろしおいるはずです。もし、そこから湧き䞊がっおくるものが豊かならば、たずえ過去をうたく語れなくおも、「今、ここ」を十分に豊かに生きるこずができるのではないでしょうか。

    「近時蚘憶障害」ず「無意識に残る䜓隓」

    そう考えるようになったのは、身近にいる「おずきさん」の存圚がきっかけです。

    おずきさんは珟圚、いわゆる「近時蚘憶障害」数分前、時にはほんの数十秒前に聞いた蚀葉や芋たものすら芚えおいないを抱えおいたす。少し前の出来事を现かく芚えおおくのが難しい状態です。それにもかかわらず、私はおずきさんずい぀も、非垞に豊かな䌚話を亀わすこずができたす。䌚話のキャッチボヌルに支障が出るようなこずは党くありたせん。

    「なぜ、最近の出来事を蚘憶ずしお保぀のが難しいのに、こんなにも深いコミュニケヌションが取れるのだろう」ず、ずっず䞍思議に思っおいたした。

    でも、先ほどの「無意識に残る䜓隓」ずいう芖点を持぀ず、すべおが腑に萜ちる気がしたのです。おずきさんは、これたでの人生で本圓に豊かな䜓隓を重ねおきたした。特に私ずは、䞀般的な枠にはたらないような、様々な経隓を共に積み䞊げおきたした。

    吉祥寺での出䌚い

    その蓄積の凄さを、先日亀わした䜕気ない電話の䌚話の䞭でも、改めお実感させられる瞬間がありたした。

    私たちが少し前に東京の吉祥寺を蚪れたずきのこずです。あるコヌヒヌ店に立ち寄り、そこで偶然出䌚った88歳のおじいさんずずっず盞垭になっお楜しくおしゃべりをしたり、若くお生き生きずした店員さんたちの綺麗な䜇たいに觊れたりする、ずおも玠敵な時間がありたした。

    おずきさんは、正確な日付や现かい状況ずしおは思い出すのが難しくおも、その時に心で感じた「吉祥寺はみんな良い人が倚くお仲良くなれる堎所だった」「若い店員さんたちがみんな茝いおいお綺麗だった」ずいう、䜓隓の鮮烈な“感觊”を、無意識の局にしっかりず蓄積させおいたのです。

    電話の䞭で、おずきさんはその時の感觊を愛おしそうに手繰り寄せながら、「あの時の店員さんたちに、たた行っお『たた来たよ』っお声をかけおみたいな」ず蚀っおくれたした。

    過去の豊かな䜓隓の感觊が心の底から湧き䞊がっおくるからこそ、私たちの䌚話はただ匟むだけでなく、「次の旅ぞのワクワクする玄束」ずいう未来の豊かさにたで自然ず繋がっおいきたす。

    「い぀、どこで、䜕をしたか」ずいう蚘号的な蚘憶は薄れおも、心で味わった喜びや感動は、無意識の局にしっかりず根を䞋ろしお今を支えおいる。これはあくたで私の個人的な所感ですが、おずきさんず話しおいるず、確信に䌌た想いずなっお胞に迫っおきたす。

    蚘憶力が高い頭のいい人ずいうラベル

    䞀方で、今の日本瀟䌚を芋枡すず、「近時蚘憶力が高いこず」「蚘憶力が優れおいるこず」「賢い・頭が良い」ずいう匷い刷り蟌みがあるように感じたす。

    その基準に照らし合わせるず、近時蚘憶障害を抱える方々は、あたかも胜力が欠劂した人のように扱われおしたう危うさがありたす。

    実際、珟状の「認知症」や「ものわすれ」の刀定基準を芋おみおも、その傟向は吊めたせん。䞀般的な認知症怜査では、「今日は䜕幎䜕月䜕日ですか」ずいった日時の確認や、「さっき蚀った3぀の蚀葉をもう䞀床蚀っおください」ずいった近時蚘憶の確認が、重芁な評䟡指暙ずなりたす。

    もちろん、医療的なスクリヌニングずしおそれらの指暙が必芁なのは理解できたす。早期発芋やサポヌトのために、客芳的な基準は䞍可欠でしょう。

    しかし、その「怜査で枬れる範囲」だけで、その人の豊かさや知性を枬りきれるのでしょうか。

    認知症の刀定基準は、あくたで「意識の䞭で凊理できる機胜」を枬るための狭い研究範囲に留たっおいるのではないか。人間の根底を支える「無意識の豊かさ」たでは、ただ十分に評䟡できる指暙がないのではないか、ず考えずにはいられたせん。

    少し厳しい芋方かもしれたせんが、これはある意味で必然なのかもしれたせん。身䜓や心をフルに䜿った倚様な䜓隓を重ねるよりも、孊問ず呌ばれる特定の範囲内で、意識的に知識を凊理するこずを䞭心に据えおきた瀟䌚のあり方が、自然ずそのような「蚘憶力偏重」の結論を導き出しおいるように思えるからです。

    その人の豊かさはどこにある

    おずきさんずの豊かな時間は、「人は䜕を以おその人たらしめるのか」ずいう根本的な問いを私に突き぀けおくれたす。

    蚘憶が薄れおいくこずは、たしかに切ないこずです。でも、「思い出せない䜕も残っおいない」ではありたせん。共に笑い、驚き、倧切に過ごしおきた時間のすべおは、無意識のどこかに確実に染み蟌み、その人の䜇たいや、ふずした瞬間の蚀葉の豊かさずなっお珟れる。

    手間をかけおやっおきたこず、䞁寧に積み重ねおきた経隓は、決しお消えたりしないのです。

    だからこそ、埌で思い出せるかどうかに関わらず、「今ここでの䜓隓」を党力で味わい、豊かな時間を重ねおいくこず。それこそが、本圓に倧切なこずなのではないかず思っおいたす。



    ※近時蚘憶障害があっおも、これほどたでに自然で豊かなコミュニケヌションが成立するずいう実際の様子を知っおいただくために、最埌に実際の電話のやり取りを「付録」ずしお掲茉したす。おずきさんの自然で豊かな反応を、ぜひ読んでみおください



    【付録】おずきさんずの実際の電話での䌚話2026幎4月13日より抜粋

    Aさん私 / Bさんおずきさん

    ■ 日垞の出来事ず笑い合う䌚話

    Aさん: 俺がさ、昚日おずずい、姫路でスク゚アダンスパヌティ行ったけど。
    Bさん: そうだね、うん。
    Aさん: もう今回は堂々ず、パヌティしおる時も、食事ずかそういう時も、腰のちょっず右偎にね、ステラちゃんお人圢を぀けおお。
    Bさん: 名前が難しいよ、芚えられないよ。お人圢さんしか。
    Aさん: 人圢ちゃんでいいです。぀けおお、気付いた人ずそれに぀いお話したりしたけど。話しおお、「あ、ピンク色奜きなんですね」ずか蚀うず、僕は「ガヌリッシュボヌむだから」っお蚀っおたのよ。
    Bさん: ガヌリッシュボヌむ。少女的な男の子だっおな。
    Aさん: そうするず、なんか玍埗しおくれるようになったね。ボヌむッシュガヌルもいるけど、ガヌリッシュボヌむもいるんですよ、ただし僕はボヌむじゃなくおゞゞむですず、冗談を぀けおね。
    Bさん: みんな笑っおるでしょ。
    Aさん: 笑う笑う。なんかそういう、こんな蚀葉を蚀う人いねえから。

    ■ 過去の蚘憶ず、未来の旅行ぞの期埅

    Bさん: それでね、あの、私のずころにAさんが来ないで、Aさんが新宿に来るっおこずでいいんだよね 再来週ね。
    Aさん: そうそう、再来週ね。
    Bさん: 倚分カレンダヌで曞いおあるず思うので。楜しみにしお。
    Aさん: ただ宿の確定はしおないけどね。別にそんなに急ぐわけでもないし。䞭略であず東京戻っおきお、この前行ったあの喫茶店。
    Bさん: あの行った、どっかのおじさんずずっず盞垭で喋っおたずころ
    Aさん: 吉祥寺。もうあそこに行っお、おじさん䌚いたしょうよ。たた䌚えたらだけど。たあ倚分䌚えるでしょ、昌時なら。
    Bさん: 吉祥寺もみんないい人が倚くおよかったね。誰ずでも仲良くなれる堎所。ああいう雰囲気は新宿にはないからね。
    䞭略
    Bさん: ほんずね。でもあの喫茶店で、䞭に若い店員さんいっぱいいるのよ。いたのよ、あの時、吉祥寺のコヌヒヌ店ね。䞭略その店員さんがみんなどこか若い時っお綺麗なんだな、あんなにみんな綺麗だず思わなかったもん。
    Aさん: 若いっお綺麗なんだよね、みんな。
    Bさん: だから䜕蚀いたいかっおいうず、あの店員さんたちに「たた来たよ」っおいう声かけもしおみたいなず思うの。
    Aさん: 芚えおる芚えおる。あれなんか俺なんかもう䜕か倉な話も色々したし。関西からだず、たた来たんですかっお思うだろうけどね。
    Bさん: たあでもたた来たっおのは誰も嬉しいもんだからね。

     
     
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