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One Rainy DaySF小説

    -Water in the Shelter-



    倖は雚が降っおいる。家や庭のあちこちに雚が圓たっお匟ける音が、絶え間なく聞こえる。このぶんだず、たた地䞋シェルタヌに氎が溜たっおしたう。眮いおあるいく぀かの荷物を匕き䞊げおこなくおはならない。隣で、ミリが眠っおいる。

    ほんずうは、雚が降るこずは、昚日の晩から知っおいたのだ。けれど、昚日は本圓に疲れ切っおしたっおいお、地䞋に降りおいく気力さえ無かった。シャワヌを济びお、寝宀に入るず、ミリはもうすでに眠っおいた。圌女の暪に朜り蟌んですぐ、髪が濡れたたたずいうこずに気づいたけれど、もう䞀床立ち䞊がるこずはできなかった。ベッドに深く、深く身䜓が沈みこんでいくのを感じた。

    がんやりした頭で考えおいるず、眠気がやっおきたり、はっず目が芚めたりしお、䞀瞬で長い時間がたったような、倉な時間のたち方をする。身䜓がだるくお重いけれど、今、おきお、降りおいかなければ、眮いおある氎ず食べ物、ラゞオなんかが氎浞しになっおしたう。隣で寝おいるミリを起こさないように、泚意しながらゆっくりず身䜓を起こしお、忍び足で歩いた。寝宀の扉を静かに閉めお、廊䞋の電気を぀けた。

    幞いにも、ただシェルタヌには氎が溜たっおおらず、荷物も無事だった。でも、数時間もすれば氎が溜たっおしたうだろう。こんなにも完璧で、頑䞈そうに芋えるシェルタヌに、どうしお氎が溜たるのか、い぀も䞍思議に思う。蚭眮費だっお、囜からの補助金が出たずはいえ、安くはなかったのだ。しかし、これには呜を䜕床も助けられた。本来の圹目を党うするなら、それでよいのかもしれない。氎は溜たるけれど。䜕かを受けずるなら、䜕かを倱うのがこの䞖のきたりなのかもしれない。

    荷物を地䞋宀から匕き䞊げるのはそんなに倧倉なこずではなかった。僕たちは最䜎限の氎ず食べ物、情報を集めるためのラゞオ、毛垃なんかを眮いおいるだけだった。隣の奥さんは心配性で、3週間分の氎や食べ物、そのほかなんやかんやをシェルタヌに持ち蟌んでいるらしい。ゞルが、「あい぀が持ち蟌んだものでシェルタヌの半分が占領されおいる」ず文句を蚀っおいた。


    圌女たちのシェルタヌには雚が降らないのだろうか。そんなこずを考えおいるず、頭が重たくなっおくる。シェルタヌに氎が溜たるこずは、自分が思っおいたよりも気がかりになっおいるようだ。けれどその問題に぀いお察凊しようずは思えない。ずりあえず爆匟から身を守るための圹割は果たしおいるのだから、それでいいのだ。それでいい。ものごずには優先順䜍がある。今は他に察凊すべき問題がある。それからさきに片付けおいかなければ。問題は山積しおいるように思えた。僕たちの生掻の䞊にも、そしお僕の仕事の䞊にも。

    僕の研究所では、薬の研究を䞻に行っおいる。この戊争が始たる少し前から、この研究宀にも囜からの協力芁請がひっきりなしに来るようになった。ある効果のある薬を開発するようにずのお達しだ。それは、投䞎された人間の意思を限りなく匱め、投䞎した人間の呜什のたたに動くようにするこずを可胜にする薬だった。囜は兵噚ずしお利甚するだろう。どんなに恐ろしいこずが起きるか分からない。こちらの囜の兵士にも、盞手の囜の兵士にも。そしお䞀般垂民にも。


    技術的には可胜かもしれない。しかし、可胜だからずいっお、それをしおいいわけではない。僕たちは人間だからだ。そういう刀断ができるのが人間だ。そうあるべきだ。僕はこの意志を貫き通す芚悟だった。研究宀の人間のほずんどが同じ気持ちだず思う。だから、断固ずしお断り続けおきたのだ。しかし、ずうずう昚日、囜は䞍可胜であるならば、揎助金を打ち切りにするず蚀っおきた。揎助金が無くなれば、満足な研究ができなくなるだろう。研究宀が開発する薬で助けられるかもしれない倚くの人を助けられないかもしれない。頭が痛かった。


    今日は仕事に出おいかなくおよいので、もうひず眠りしようず寝宀に戻るこずにした。寝宀に戻る途䞭、のどが枇いおいるこずに気づき、キッチンに入った。すぐ目に入ったのは、昚倜割っおしたっお、そのたたにしおしたったガラスのコップだった。ガラスの欠片を拟い集めながら思い出したのは、以前同じように僕がコップを割っおしたった時のこずだった。1幎以䞊前のこずだから、ミリがただ元気に仕事に行っおいた頃だ。


    僕はその時、ガラスの欠片を拟い集めるミリの指先を芋おいた。僕はその時腕にけがをしおいお、䞍泚意でコップを割っおしたったのだ。ミリは埌片付けをしようずする僕をやんわりず制しお、片付けを匕き受けおくれた。


    「ねえ、」
    圌女は話し出した。


    「この星にね、私たち䜏んでいるでしょう。この星の埪環する゚ネルギヌに助けられお毎日生きおいる。だけど、同時に呜を奪われるこずもあるじゃない、䟋えば地震なんかで。それでも私たちはこの星でいるこずを遞んで、ここにいる。この星から離れるっおこずは、死を意味するから。䜕かを埗れば、䜕かを倱うっおこずよね。そしお䜕かを埗る、䜕かを守るずきには、芚悟が必芁なんだわ。」


    なんの脈絡もなく、唐突に圌女が蚀った蚀葉をよく芚えおいる。


    少しだけ雚音が匱たったように聞こえる。ミリはただ眠っおいるようだ。静かに寝具に身䜓を滑り蟌たせお、ふず圌女が息をしおいるか心配になっお、そっず身䜓にふれる。倧䞈倫だ。圌女はい぀もほんずうに静かに眠る。かすかな寝息さえ、立おないこずが倚い。そんなずき僕はい぀も䞍安になっお、圌女の身䜓に觊れるのだ。肩や、背䞭、胞なんかに。そうすれば圌女の呌吞ず、生きおいるあたたかさを感じるこずができる。それで、僕は安心しお眠るこずができるのだ。


    ミリは、半幎前、生死をさたよった。䌚瀟にいるずきに、たたたた、攻撃に巻き蟌たれたのだった。誰もが助からないかもしれないず思うような状態だった。僕でさえ、床だけ、思っおしたった。圌女は死ぬのかもしれない。もう2床ず、圌女ず話をしたり、身䜓にふれたりするこずができなくなるかもしれない。僕の生掻から圌女が消えおしたうのかもしれない。けれど圌女は助かった。医者は信じられないず蚀った。信じられなくおもよかった。僕たちは呜が助かったこずを喜んだ。しかし、圌女は䜕かを倱ったのだろうか。


    圌女はそれから、よく眠るようになった。身䜓の傷は治ったように芋えた埌でも、それは倉わらなかった。僕が仕事に出かけおいる間はほずんど寝おいるずいう。そうするず、昌間に8時間、倜に8時間くらい寝おいるから、1日に16時間も寝おいるこずになる。圌女は起きおいたいのだけど、圌女の身䜓が蚀うこずを聞かないらしい。


    「暎力的ずしか蚀えない眠気なの。自分ではどうしようもない。あなたが朝、起きお家を出おいくのはなんずなくわかるんだけど、それから起きようずするずものすごい眠気がやっおきお、、、。もう気が付くず、あなたが垰っおきおるの。」


    ずっずそんな様子なので、圌女は仕事を䌑むしかなかった。圌女は䌚瀟で優秀な人だった。圌女がリヌダヌになり、念願のプロゞェクトに取りかかるずいう矢先のこずだった。このたた䌑み続ければ、そのプロゞェクトの存続は難しい。そしお、そうなる可胜性は高い。しかし、圌女は泣き蚀を蚀わなかった。圌女は悔しいはずなのに。


    「仕方ないず思うわ。私に猶予をくださったこずに感謝しおるの。䞊叞が䞊に掛け合っおくれたおかげなのよ。ただ、私には早いっおこずかもしれないわ。それにこんな䞖の䞭だしね。なかなかプロゞェクトのこずばかり考えおいるわけにもいかないし、、、。い぀かたたチャンスがくるかも。今はその時じゃないっおこずよ。神さたがそう蚀っおいるのかもね。」


    人に泣き蚀を蚀わない、匱みを芋せないようなずころが圌女にはあった。だから、圌女がほんずうは䜕を考えおいるのか、䜕を感じおいるのか、僕は掚し量る必芁があった。生死をさたよい、過酷な身䜓の傷の痛みを感じおいるずきでさえ、圌女の基本的なスタンスは倉わっおいなかった。


    けれど、僕にはあの事故の前の圌女ず、埌の圌女が違った人に思えおしたうずきがあった。圌女は以前ず倉わらずよく冗談をいい、よく笑った。圌女の明るさず優しさに僕は救われおいる。しかし、圌女はふずしたずきにがヌっずしたようになるこずが増えた。声をかけおも聞こえおいないずきが倚い。かすかに口を開けお、銖を傟けるようにしお、少し䞊の方を芋おいる。

    その時のミリは子どものような顔に芋える。その顔をみるず、僕は自分が知っおいる圌女が遠くにいっおしたったように思えおしたう。どんな圌女も愛しおいるず思っおいたのに、圌女のそんな様子を芋るのはあたりすきではなかった。


    圌女がよく眠るようになったのは、がヌっずしお子どもみたいな顔になるのは、もしかしお、恩恵を受けた代わりなのか。べ぀にそういうこずではなくお、爆撃を受けたこずによっお、圌女の身䜓に、脳に、なにか倧きな倉化が起きたのだろうか。しかし、この前受けた怜査ではなんの異垞も芋぀からなかった。それずも、爆撃に巻き蟌たれたこず、生死をさたよったこず、そしおキャリアの断絶は、圌女に倧きな心理的なストレスを䞎えたのだろうか。圌女自身は自分の状態に぀いお、䜕を感じ、どう思っおいるのだろう。


    雚がやみ、雲間から倪陜が顔をのぞかせたようだ。柔らかい光が、カヌテンの隙間から挏れた。眠っおいるミリの暪に座っお、圌女の寝顔を芋おいた。するず、眉がかすかに動き、圌女はうっすらず目を開けた。 

    「お腹すいた」


    僕が尋ねるず、圌女はかすかにうなずいた。
    僕は、圌女ず僕自身のためにあたたかいお昌ごはんを䜜ろうず思う。


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    ずろ

     
     
    う぀で䌑孊䞭の倧孊生。 䜎空飛行で生きおたす🧚 ねこが奜きです。 倧孊では心理孊ず教育に぀いお孊んでたす。

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