
農家さんにもらったジャガイモで作るじゃがバター
農家さんからの思いがけないおすそ分け
屋久島で暮らしていた頃の、とある5月の暑い日の話です。
暑い日と言っても、屋久島は一年を通して暖かいので、特別珍しいことではありません。
その日、上司に頼まれて近所の農家さんのところへ届け物をしに行きました。
用事を済ませて帰ろうとすると、農家のおばあちゃんが
「これ持って行き」
そう言って、大きなジャガイモをビニール袋に入れて持たせてくれました。

少し土の付いた立派なジャガイモです。
屋久島では、近所の方から野菜をいただくことが時々ありました。
ありがたく受け取り、帰りの車を運転しながら考えます。
何を作ろうかな。
カレーはこの前食べたしな。肉じゃがも悪くない……でも作る技術がない……。
そんなことを考えながら寮へ戻りました。
冷蔵庫に残っていたバター
仕事を終えて冷蔵庫を開けると、少しだけバターが残っています。
その瞬間、思いつきました。
「じゃがバターにしよう!」
まずはジャガイモをよく洗います。

ラップで包み、600Wの電子レンジで8分ほど加熱します。

この間にシャワーを浴びます。
今思えば、屋久島でお湯を浴びた記憶がほとんどありません。
5月でも十分暑く、真夏になればなおさらです。
毎日仕事で汗をかいていたので、水のシャワーが気持ちよく感じました。
少し話がそれましたが、レンジから取り出したジャガイモは竹串やお箸がすっと通れば出来上がりです。

熱いうちに十字の切れ目を入れ、真ん中にバターをのせます。

じわっと溶けていくバターの香りがたまりません。
ハンダマを添えて
それだけでも十分美味しいと思うんですが、少し色が寂しかったので畑で収穫したハンダマの若芽を添えました。

ハンダマは葉の裏が紫色をした野菜で、屋久島ではよく見かけます。
ハンダマは沖縄で親しまれている伝統野菜で、正式には「水前寺菜(すいぜんじな)」と呼ばれます。地域によって「金時草(きんじそう)」や「式部草(しきぶそう)」という名前でも知られています。葉の表は緑色、裏は鮮やかな紫色をしているのが特徴です。
βカロテンやビタミンC、カルシウム、鉄分などを含み、紫色の成分であるアントシアニンも豊富です。夏場に不足しがちなビタミンやミネラルを補える野菜として知られています。
緑と紫が鮮やかで、じゃがいもの黄色によく映えます。
料理というほど大げさなものではありませんが、こうして少し彩りを加えるだけで縁側の食卓が明るくなります。
ハンダマは本土でもプランターや家庭菜園でも育てられます。屋久島にいたときもほとんど水やりをしたことがないです。調べると暑さに強いようです。
寮の縁側で食べるじゃがバター
夜の寮の縁側へ。

障子を開けると、少し湿った屋久島の夜風が入ってきます。
虫の声を聞きながら、湯気の立つじゃがバターを頬張ります。
バターが溶けた熱々のジャガイモは、それだけでごちそうでした。
豪華な料理ではありません。
けれど、農家さんからいただいたジャガイモと、畑で採れたハンダマ。
屋久島で暮らしていたからこそ味わえた一皿でした。
今でもじゃがバターを見ると、あの日のジャガイモと屋久島の夜を思い出します。
屋久島で暮らしていた頃のご飯や食の思い出は、他にも記事にまとめています。
最近、それらの記事を「屋久島で暮らしていた頃のご飯日記」というマガジンにまとめました。
びっくり鉄火丼、カツオ梅おにぎり、ハンダマのパスタなど、離島暮らしの中で出会った味の記録です。
興味を持っていただけたら、ぜひマガジンものぞいてみてください。
いいねやフォローをしていただけると、今後の記事を書く励みになります。