
並ぶ理由
私は今、もっちゅりんの列に並んでいる。
二日連続だ。
昨日、「また出会ったら私はきっと並ぶ。」
そう書いた。
まさか翌日に、その約束を回収することになるとは思わなかった。
しかも今日は迷いがない。
並ぶ。
これはもう、並ぶしかない。
十分ほど経った頃。
お母さんに手を引かれた三歳くらいの女の子が、行列を見つけて叫んだ。
「めっちゃ並んでる!」
「めっちゃ並んでる!」
……並んでるよね。
なんでこんなに並ぶんだろう。
私は、その答えを知っている。
美味しいからだ。
そして、期間限定だからだ。
第二弾の販売も予定されていた。
でも、予想をはるかに超える人気で中止になった。
その知らせを見た時、私は思った。
「ああ、今年も食べられずに終わるんだ。」
去年も食べられなかった。
今年もきっとダメだと思っていた。
だから、ミスタードーナツの前を通るたびに、
「もしかしたら。」
そんな淡い期待だけを抱いて店内をのぞくのが、いつの間にか習慣になっていた。
するとどうだろう。
昨日。
そして今日。
二日連続でもっちゅりんに出会えた。
ドーナツの神様は、まだ私を見捨てていなかったらしい。
昨日の私は、少し冷めた目で行列を見ていた。
「あんなに買ってどうするんだろう。」
「なんでそんなに並ぶんだろう。」
そう思っていた。
でも今日の私は違う。
もっちゅりんの美味しさを知ってしまった。
チャンスがあるなら買いたい。
それも一つじゃない。
家族にも。
友達にも。
「これ、美味しかったよ。」
その一言と一緒に渡したくなる。
だから今日、私が買ったのは四つ。
みたらし二つ。
きなこ二つ。
昨日の私が見たら、きっと聞くだろう。
「そんなに買ってどうするの?」
その答えは、もう知っている。
食べたいから。
食べてほしいから。
そして、また食べたいから。
行列は、不思議だ。
外から眺めている時と、その中にいる時では、見える景色がまるで違う。
昨日は、
「なんでこんなに並ぶんだろう。」
そう思いながら列を眺めていた。
今日は違う。
私も、誰かから見れば「あんなに並ぶ人」の一人になっていた。
並ぶ理由は、外からでは見えない。
その列に入ってみて、初めてわかることがある。