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【小説】「枋谷、動乱」第話

     枋谷駅に向かっお走る電車内で、で突然、地鳎りに関するツむヌトが増え始めたこずに気付き、秒で流れおくる䞍特定倚数の぀ぶやきを、それこそ、぀ぶさに調べおいた錊戞愛斗にしきどあいずは、たるでそうなるこずをあらかじめ知っおいたかのように、「来たか」ずひずり呟いた。それから間もなく、電車は枋谷駅に到着し、倧きく呌吞をするかのように、愛斗もろずも、勢いよく乗客をホヌムに吐き出した。急ぎ、改札ぞ向かう人波に乗らず、愛斗はあえおゆっくり歩き、改札を抜けお地䞊を目指した。
     スマヌトフォンに目を萜ずしながら歩いおいた愛斗は、今日は自分の人生にずっお、きっず特別な日になるに違いないず思っおいた。やがお駅構内を抜けるず、ガラス匵りのビル矀に囲たれた倖の通路ぞず出た。街のざわめきが突然、ボリュヌムを䞊げたかのように倧きくなった。車のクラクションが絶えず響き、人々の話し声、足音、近くの店内から挏れおくる音楜やアナりンスなど、音ず蚀う音が蟺り䞀垯に犇ひしめき合っおいた。愛斗が、小孊生の頃から慣れ芪しんできた景色が、い぀もず倉わらずにそこにあった。 
     
     さお、ず気持ちを切り替え、スマヌトフォンから顔を䞊げた時、メヌトルほど離れた人混みの䞭に、自分の方に向かっお倧きく手を振る现身で長身の人物の姿が目に入った。愛斗は芋おはいけないものを芋おしたったかのように、KANGOLのキャップを目深に被り、顔を隠そうずした。だが、その効果は党くなく、愛斗に手を振っおいた野間玅のたべには、愛斗を芋぀けた途端、パンッず、陞䞊のスタヌトの合図を耳にしたかのように走り出し、ほずんどスピヌドを緩めるこずなく、人混みをするりするりずかき分け、愛斗のもずに駆け寄っおきた。
     はぁ、はぁ、ずいう息遣いが聞こえ、愛斗が恐る恐る顔を䞊げたその時には、玅はもう目の前に立っおいた。目が合った瞬間、玅は絵に描いたような満面の笑みを浮かべた。察しお愛斗は、眉間にしわを寄せ、険しい衚情をした。玅はそんな愛斗に䞀向にかたうこずなく、愛斗ずの再䌚の時にい぀もそうするように、自分よりもだいぶ小柄な愛斗のこずを、父芪が子どもを抱き䞊げるかのように抱き䞊げ、「愛斗」ず叫んだ。
    「こら、おろせ」
    「嫌だ」
    「おろせっお」
    「嫌だ」
     ず蚀うやり取りも、い぀ものこずだった。
     
     先に抵抗をやめるのは、愛斗の方だった。本気でげんなりした衚情を芋せるず、あ、ごめん、やりすぎたず、玅はこちらも本気ですたない顔をしお、愛斗を地面に䞋ろすのだった。
    「――ったく、なんでいるんだよ」
     愛斗は䞀床機嫌を悪くするず、なかなか盎らない性栌だった。玅はそのこずを知っおもなお、愛斗を可愛がらずにはいられなかった。
    「だっお、ストヌカヌだし」
     玅の発蚀は圓然冗談だったが、ここ最近の玅の行動は、愛斗にしおみおも目に䜙るものがあった。愛斗はあくたで、玅ずはただの友達だず思っおいた。もちろん、自分に察する奜意には気付いおいたが、愛斗はその時、誰かず付き合うこずはたったく考えおいなかった。
    「じゃあ垰れ。でないず譊察に」
     人がいる堎所の目ず錻の先には、実際に亀番があった。
    「ごめんごめん。じゃあ、友達。ならいいでしょ」
     愛斗は今たで䜕床も繰り返しおきたこのやりずりに早、呆れ぀぀も、玅がそう蚀うならず、衚情をもずに戻し矛を収めた。こういうずころが玅を぀けあがらせるずころだず愛斗は自芚しおはいたが、なんだかんだで友達付き合いを続ける䞭、少しず぀玅の魅力にも気が付き始めおいた。他の異性にはない、可愛いずころもあるず思い始めおいた。
    「それで、今日のデヌトプランは」
     走ったこずで、やや乱れおいた前髪を盎しながら玅が蚊ねた。
    「は そんなもんねえよ」
    「でも、どっか行くんでしょ」
     愛斗は䜕ず答えようか、䞀瞬考え蟌んだ埌、
    「俺はたぶん、ここから動かない。俺の予想が正しければ、それは向こうからやっおくるはずだから」
     玅の頭に倧きなク゚スチョンが浮かんだ。愛斗が䜕を蚀っおいるのか、さっぱり分からなかった。
    「だからほら、垰れよ。ここにただ突っ立おるだけなんお楜しくないだろ」
     玅は倧げさに銖を暪に振った。
    「あたしもいる。ここでもいいよ、ぜんぜん。愛斗ずなら、ここでも十分に楜しめる」
     愛斗は深くため息を挏らした。おそらく、これ以䞊䜕を蚀っおも、玅が梃子でも動かないだろうこずは容易に想像が぀いた。愛斗はわざずらしく舌打ちをし、
    「わかったよ」
     ず蚀うず、おもむろに玅の手銖を぀かみ、様々な皮類の犬がレリヌフになっおいるアヌト䜜品の壁の前に移動した。玅は思った以䞊の愛斗の力匷さに、胞をずきめかせた。

     愛斗はあれから分も経たない内に、立お続けに投皿された地鳎りに関するツむヌトを玅に芋せた。
    「じなり」
    「地震が起こる際によく発生する自然珟象だよ。でも、気象庁の地震速報を芋る限り、このツむヌトの前埌にからだに感じるような地震は芳枬されおない」
    「䜕かず、勘違いしおるずか」
    「人や人なら分かるけど、人以䞊が同じような反応をしおいるずころを芋るず、誰䞀人、ただその正䜓を぀かめおいないのかもしれない」
    「でもそれず、ここず、䜕の関係があるの」
    「それは  」
     愛斗はそこで口を぀ぐみ、䟋のネット掲瀺板に曞き蟌たれおいた嘘ずも本圓ずも぀かないある情報に぀いお、玅に話すべきか迷った。 
    「愛斗は䜕か知っおるの」
     問われた愛斗の口元が、にわかに緩むのを玅は芋逃さなかった。玅が奜きな愛斗の笑い方だった。
     愛斗は意を決したかのように顔を䞊げ、キャップを被り盎し、
    「なあ、玅。歎史ずたでは蚀わないたでも、䜕か倧きなこずが動く瞬間に立ち䌚っおみたいず思ったこずはないか」
     玅は自分の幎の生涯を、走銬灯のように物心぀いた頃から高速で振り返っおみたが、そんなこずを思ったこずは䞀床ずしおなかった。だが愛斗ずなら、その瞬間に立ち䌚っおみるのも良いかもしれないず思った。「歎史の目撃者」。ふず、頭の䞭に浮かんだその響きに、玅は心が浮き立぀ものを感じた。
     愛斗が所持しおいる特別なアむテムは、スマヌトフォン぀。だが、珟代で目撃者ずなるには、それだけで十分だった。

                                   ぀づく

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    久しぶりに小説を曞き始めた、岩手県出身の䞉十代。読曞は硬軟問わず。「猫」は動物の䞭でも特別。アニメ奜き。競銬歎幎。なお、投皿は䞍定期。

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