【もう一度、夢を見てもいいよね】
家族にも言わなかった夢が、まだ押し入れの奥に眠っている。
捨てられなかった、あの頃の一冊のノート。
本が好きだった。
ただそれだけのはずが、気づけばペンを取っていた。
上手く書こうとか、評価されたいとか、
そんなことを考えもせず、
集中して、透明になっていくような時間。
ただ夢中だった。
けれど、生活は待ってはくれない。
働き始め、日々を回すことに精一杯になり、
書く時間は少しずつ削られ、
ノートは、いつのまにか押し入れの奥に置かれていた。
それでも、完全に手放すことはできなかった。
書かなくなっても、捨てることはできなかった。
忙しさの中で、書く理由より、
捨てる理由の方が見つからなかったからだ。
押し入れを整理しているとあの時のノートに目が止まった。
ページをめくると、拙いけど、ひたむきで、真っ直ぐで、眩しくて、少し恥ずかしくなるような、当時の自分がそこにいた。
今さら書く意味はあるのか。
誰にも読まれなかったらどうするのか。
それでも、もう一度問い直してみたいと思った。
書かずに終わる人生でよかったのか、と。
まだ答えは出ていない。
ただ、もう一度ペンを取った。
それが、今の僕にできる、未来への小さな挑戦だ。
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