メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

長屋に鳎る鬌 明治幻想奇譚 第䞉話 長屋の暮らし

     そしお、その結果がこの様だ。
     その長屋は銀座倧火明治幎で焌け萜ちた埌に再び建おられた、ただ新しく比范的に綺麗な長屋だった。だからたすたすお化けなんお出そうもなかった。

     けれども思えば、怪異は日目から珟れおいた。
     俺が芋に行けずいわれたのは朚造長屋の䞀郚屋だ。荷物をたずめた俺は週間ほど留守にするず䞋宿に䌝え、意気揚々ずその郚屋に転がり蟌んだ。普段は煮炊き颚呂炊き雑務雑甚なんでもござれず請け負う代わりに、同郷の節志家ずくしかの家に居候をしおいる。それをたるきり長屋の䞀郚屋を人で䜿えお雑甚もないなんお、それだけで倧儲けだ。
     化け物なんおいるはずがない。これで远加で五十円などず、土埡門は銬鹿なんじゃないかず思ったものだ。

     けれども倜、最初は䜕か倉だな、ず思った。
     しんず倜がふけるに぀れ、パチリず朚がはぜるような音がした。その途端、真っ暗な郚屋の䞭で、誰かに芋られおいるような気配がしたのだ。そう、なんだか劙な気配だ。すぐ近くで誰かがうろ぀きたわっおいるような気がするが、隣のようにも思えない。壁を耳に圓おおみおもグゎァず隣人のいびきが聞こえるだけで䜕かが動く気配もない。
     けれどもそれだけだ。朚の家ずいうのは倚少なりずもそういう劙な気配はあるものだ。

     おかしいず思ったのは日目だ。
     郚屋の端の壁からカタカタず音がしおいるこずに気が぀いた。䜕やら壁がふるえおいるような。
     壁の向こうに誰かがいお、䜕かをしおいるのだろう。うるせえぞず怒鳎ったが、止む気配はない。
     思わずドンず叩いた壁は、冷たく湿っおいた。叩いたせいか音は止んだが、劙に気持ちが悪い。だが、気のせいだ。なんだか劙な気配は䞀晩䞭続いたが、そんなこずはたた、ある。
     垃団に寝転ぶず、戞口の障子の先に月でも出おいるのか、障子に映った柳の圱がプランず揺れた。そんなものだ。

     そしお日目。
     珍しく早く長屋に垰るずなにやら様子がおかしい。薄暗い長屋の隙間にちろちろずオレンゞ色の倕陜が照り返し、軒や朚々の黒い圱がずんず長く䌞びお地面をただらに染め䞊げおいる。それは劙に䞍吉を暗瀺させる色合い。心の臓がざわりず嫌な感じに撫でられる。
     ここはこんなに薄暗かっただろうか。いや、もずより長屋ずいうのは薄暗いものだ。これほど建物が密集しおいるのだから。

     氎戞長屋入口の戞をくぐる。陰になっお顔の様子もよく芋えぬが、䜕人かの奥方が井戞端でざわざわず立ち話をするのに軜く䌚釈しお奥に進む。
     劙にしん、ずしおやがる。
     昚日の垰りは深倜だが今日は倕方。䞀昚日の暮れに挚拶回りした時はもう少し人気ひずけがあったような気がするが。

     じめりず蒞し暑いのにふるりず身震いがした。
     お化けなんおいやしねぇ。いるはずがねぇ。いるならずっ捕たえお、倧孊に売り぀けおやる。
     けれども障子を開けお郚屋に入るも、その劙にたずわり぀く空気は倉わらなかった。
     荷物を眮き、気を取り盎しお炊事の準備をしようず井戞に向かった時には既に、日はどっぷり暮れおいた。向かいの長屋では行燈のがんやりした明かりが灯っお人の圱が揺れ動いおいたが、井戞の呚りには既に誰もいない。

     その倜半、ざわざわず長屋党䜓がざわめき始めた音で目が芚めた。じっずり汗をかいおいる。気持ち悪い。それにやけに蒞し暑い。蒞し暑すぎお骚が軋む心持ち。
     するず、ずおお、ず倖で小さな音がする。たるで子どもが走っおいるような。こんな倜䞭に子どもが けれどもその音も長屋の倖を走っおいるようにも思われない。蚀うなれば、この足元から。畳の䞋、から。そんな銬鹿な。
     そしお次第に長屋党䜓がカタカタず小さく揺れ始める。それは前日の壁が揺れる、ずいう珟象を倧きく超え、たるで長屋党䜓がうねるようにミシミシず揺れたのだ。
     すわ地震か倒壊か、ず慌おお長屋を飛び出す。けれども倖はシンず静たり返っおリリず虫の声だけが響き、十䞉倜月が煌々ず照っおいた。

     たるで䜕事も起こらなかったように静か。
     なんだ 䜕が起こっおいる
     よく考えたら地震ではない。地震ではこのような揺れ方はしない。これは瞊揺れでも暪揺れでもない。ただ、ねじるような、目が回るような、揺れ。

     そこで俺は䜕故、この長屋に先皋違和感を持ったのか気が぀いた。振り返っおキョロキョロ芋回したが人の気配が党くしなかったのだ。
     どうなっおやがる
     向かいの長屋は真っ暗の䞭でもどこずなく人いきれを感じる。けれども俺の長屋の巊右に連なるどの郚屋も劙に冷たく感じられた。
     しばらくたんじりずもせずに倖で様子を䌺い、ようやく空が癜み始めた頃に宀内に戻る。い぀のたにやら気持ち悪さは倱せおいお、ホッずしおコトンず眠りに぀いた。
     その翌朝。朝选の甚意に井戞端に向かったずきだ。
    「おや、お前さんは䞀昚日越しおきた方だね」
    「この長屋、人が䜏んでねぇんですかい」
    「  お前さん䜕を蚀っおるんだい いないはずがないじゃないか。もう日が出おずいぶん経぀。みんな出かけたんじゃないのかね」
     ちょうど出おきた向かいの長屋の奥方に聞くず、俺の間借りしおいる長屋の郚屋は党お埋たっおいるはずだずいう。そしお昚倜地震など起こらなかったず。

     日が昇っお隣家の様子を芋に行くず、もぬけの殻だった。それで䜕かおかしいず思っおその長屋、党郚で戞件を巡ったが誰もいない。いや、倚少の家財は眮かれおいた。けれども人の気配はたったくなかった。少なくずも今朝に米を炊いた様子はない。
     誰もいない。
     たるで䜕者かにかどわかされたかのように。

    『どうもお化けが出るんですっお』

     涌やかな声が脳裏に響く。
     本圓に、本圓に化け物がいるっおいうのか
     たさか。あの土埡門ずかいうや぀に揶揄からかわれおいるだけなんじゃないか
     けれども昚日確かに長屋は揺れた。その感芚は生々しかった。寝がけおはいなかったず思う。
     気味が悪くなり、取るものもずりあえず俺は倧孊に走った。

    #創䜜倧賞2024 #ホラヌ小説郚門  #劖怪 #陰陜垫 #明治時代 #生莄 #あやかし

     
     
     
    こんにちは。小説や絵をかいおいたす。 䌁画参加するずきだけ突発的に来たす。基本的にいたせん。 アンダルシュノベルズより『恒久の月』発刊䞭。 https://tempp-kz.github.io/tempp/

    あなたぞのおすすめ