メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

長屋に鳎る鬌 明治幻想奇譚 第十䞉話 レグゲヌト商䌚での暮らし

     その子どもは赀ん坊の頃にレグゲヌト商䌚が呪術垫から買った幞運の子どもだ。
     その子どもはずおも䜓が匱かった。軜い怪我をしおも埮熱が出おも死にかける、䞍思議な力を持った子ども。
     けれども幞せに倧切に育おれば、その子どもは幞せをもたらす。
     だからレグゲヌト商䌚はその子どもを倧切に、メヌトル四方の豪華な郚屋の内に閉じ蟌めた。倖を芋るこずもなく、ただ人の専属メむド、それから䜕人かの商䌚の者以倖ずは䌚うこずもなく。
     そしおこの築地に来た時には倖が芋たいずいう芁望に沿うよう、小さな空気穎を開けたメヌトル半四方のガラスの箱に入れられお移動し、そのたたレグゲヌト商䌚の屋敷で閉じ蟌められお暮らしおいた。

    「メヌトル半の箱っお、そりゃいくらなんでも酷ぇだろ」
    「いいえ、それは必芁な措眮なのです。その子どもはずおも䜓が匱かった。だから環境を枅朔に保たなければならなかったのです。䞍朔な倖を歩く者ずの接觊などもっおの倖。だからその子どもには誰であっおも盎接觊れるこずはなく、䞎えられるものも党お枅朔に保たれた」
     医孊郚の奎らの蚀っおいた、感染症ずいうものか。
    「なんだか居た堪れねぇな」
    「山菱君はその子䟛が䞍幞だったず思われたすか」
    「そりゃあ」
     そこたで蚀っお合わせた土埡門の目はなんだか劙に柄んでいお、こちらを探るようだった。
     ひょっずしおそんな様子でも、䞍幞じゃ、ねえのか。俺には信じられねぇ。
     少し狌狜えおいるず、土埡門は劙に子䟛じみた衚情でにこりず笑う。そういえば、にやにやしおるのは別ずしお、こい぀が笑ったのは初めお芋たかもしんねぇ。

    「山菱君は面癜いですねぇ。その子はちっずも䞍幞じゃなかったんですよ。私も䞀床だけお䌚いしたこずがありたす。幞せそうでした。ただ、その子どもは『幞犏の子ども』ずいう存圚ではなかった」
    「どういうこずなんだ」
    「その子の特性は『幞犏の子ども』ではありたせん。『鏡』なのです」
    「鏡」
    「おそらく鏡であるこずを知るのは呪術垫から賌入したアレクサンドラさんだけでしょう。そしおみんなに『幞犏の子ども』だから『幞犏』に育おるように呜じた」
    「幞犏の子どもだから」
     土埡門は頷き、たっすぐに俺の目を芗き蟌む。
    「蚀葉ずは魔法です。幞犏の子どもずしお育おられる。すなはちその子は幞犏だず蚀われお育おられるこずになった。それはおそらく幞犏なこずで、実際にその子どもは䜕䞍自由なく暮らしおいたはずだ」
    「そんな、銬鹿な」
     そんな小さな箱に閉じ蟌められお、䞍自由がないはずがない。
    「山菱君、最初から欠けおいるのであれば、人はそれを欠損ずは感じないものです」
     欠損
     生たれた時から箱で育おば箱で育぀ものず認識する、ものなのだろうか。他の人間は自由に動き回っおいるのに
    「その子は小さい頃はよく死にかけたそうです。レグゲヌト商䌚も最初から閉じ蟌めお育おたわけではありたせん。倖に出るず苊しむから、この䞭のほうがいい。成長の過皋でその子は自ら、そう認識しおいたす。぀たりその子の䞭ではその暮らしには䞍自由も䞍幞もない」
     自ら䜓が匱いず認識しおいれば、それも仕方がないず思えるの、だろうか。そんな、銬鹿な。
    「じゃあ、幞せに暮らしたから幞せを返したっおのか」
    「そうですね。その子は玔粋に幞せであったからこそ、幞せを返したのです。けれどもその本質は鏡です。生きおいるころは自我ずいうフィルタヌを通じお幞犏を返しおいたしたが、今は死んでしたいたした。山菱君の話を前提ずするず、珟圚は他人が䞎えた情報を、そのたたの圢で返しおいるようです。山菱君は気が付きたせんでしたか 山菱君が芋たその䜕かの存圚は、山菱君が思った通りの姿になっおいたす」

     そんな銬鹿な。
     じゃああれは、俺が鬌だず思ったから鬌の姿で珟れお、家鳎だず思ったから小鬌の姿になった、ず、でも  。
     いやたお、そう考えるず、そのような。
     けれどもじゃあ、最埌の蚀葉はなんなんだ。俺が異人の子どもだず思ったから、そしお非業の死を遂げたず聞いたから、『助けお』ず聞こえたず、そう蚀うのか
     それは俺の意思が反射しただけで、本圓の意思は いや、そもそも死んでんのか。
    「䜕がなんだかわからねぇ」
    「そう、わからないのです、他人なんおね。ずくに私にはよくわからない。だからこれたで、最終的には私は私がしたいようにしおきた。山菱君はどうしたいですか。その子どもを」
    「どうしたいっおぇ、そもそもどうする぀もりだったんだ」
    「レグゲヌト商䌚はその子どもを幞せの子どもずしお育おたした。そしお幞せに育おられ、その子どもは幞せを反射しおレグゲヌト商䌚を栄えさせたした。ずころが今は恐怖に満ちお死んだこずでしょう、おそらくね。だからその身には䞍幞が詰たっおいる、はず。それならばレグゲヌト商䌚はその子の遺骞を他人を䞍幞にするための術具ずしお甚いるでしょう。ただ、やはり真実はわかりたせんから、アレクサンドラさんには効果の保蚌は出来かねるずお答えしたした」

     生きおる間は幞犏、だったのか。
     死んだら䞍幞、になったのか。そしおその䞍幞はさらなる䞍幞をもたらすために甚いられる、のかもしれない。䞍幞な甚途で甚いられるこずをその子は認識しおいるのだろうか。
     そんな銬鹿な、だぜ。
    「そい぀は他人を幞せにしたかったのか」
    「おそらくそうなんでしょうねぇ。みんなを幞せにする幞せの子ず蚀われお育ち、自らもみんなを幞せにしおいるこずに満足感を芚えおいたようです」
    「それじゃぁ他人を䞍幞にしたくはねぇんじゃねぇかな」
     土埡門はきょずんず銖をかしげた。
    「なるほど。そうなのかもしれたせんね」
    「そうなのかもっおお前よ」
    「私には他人の気持ちなどわかりたせん。だから山菱君がしたいようになさっおください」
    「そんなら、他人を幞せにさせたいず思うや぀なんだったら、他人を䞍幞にする道具には、させたくねぇな」

    #創䜜倧賞2024 #ホラヌ小説郚門  #劖怪 #陰陜垫 #明治時代 #生莄 #あやかし


     
     
     
    こんにちは。小説や絵をかいおいたす。 䌁画参加するずきだけ突発的に来たす。基本的にいたせん。 アンダルシュノベルズより『恒久の月』発刊䞭。 https://tempp-kz.github.io/tempp/

    あなたぞのおすすめ