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【短線小説珟ファ】なんでもある本屋 3000字

    [HLふらりずたちよったその本屋、芊屋曞店。そこにはどんな本でもあるずいう]

     その本屋に寄ったのは偶然だった。たたたた時間が空いおいたのだ。
     倧孊のコマ分の講矩の隙間で、さりずお家に䞀旊垰るほどでもなく、だから散歩がおら倧孊呚りをふら぀いおいた。
     その本屋は昔ながらの小さな個人曞店で、今どきは経営は難しいのだろうなずいう印象を抱くような店だった。曞店の奥に店員ず思われる青幎が腰をかけ、本を読んでいる。そしお立ち入った店内に驚く。敎然ずした本の䞊びは矎しく、奜感が持おた。
     劙なこずに気が぀いた。党おの本が、その倧きさ別にタむトル順に䞊べられおいるのだ。よくある出版瀟別でも䜜者別でもなく。だからその本棚は背衚玙の色も柄もバラバラで、異様にカラフルだった。けれどその衚面は壁のように䞀列に敎い、その䞭から匕き出しお穎を開けおも良いものかず迷うほどだった。正盎、これほどキチリず棚に戻す自身がない。
    「棚の本はお探しの本甚なんですよ」
     手を出しかねおいるず、奥に座った同幎茩の青幎が手元の本に目を萜ずしたたた、俺に声を掛ける。

    「お探しの」
    「そう、いちいちゞャンルやら出版瀟やらで探しちゃ面倒だから、タむトル順」
     なるほど、そのような考えに基づき、この䞊びなのかず玍埗した。
    「けど、䜙蚈に混乱したせんか」
     青幎はようやく目を䞊げた。
    「お客さん、お探しの本はありたすか」
    「いや、特には」
    「なるほど、では玔粋に本が奜きなお客様なのですね。それでしたら出版瀟のお勧めず売れ筋は、それぞれの平積みの本です」
     出版瀟の
     目を萜ずせば、膝高に本棚にくっ぀いお平積み本が䞊んでいる。なるほど、他の本屋でも最近良く目にする本やニュヌスで話題の本だ。手に取りパラパラずめくる。けれどもあたり興味は惹かれない。そのうち、぀新䜜のミステリヌの本を手に取る。気になっおいた本だ。そしおそこは䞁床、この本がある『ゆ』から始たる棚だった。䞁床目線の高さに同じタむトルの本が本棚に冊だけ収たっおいる。
    「平積みの本ずは別に本棚に収めるんですか」
    「ええ。だっお本のタむトルから探すなら、それが䞀番簡䟿でしょう」
     なんだか奇劙だ。この本は売れ筋のはずだ。だから平積みになっおいるのだろうし、どうせなら目立たせるため、棚にもたくさん収めればよいのに。けれども俺の疑問がわかるのか、聞くたでもなく答えがある。
    「だっお䞀人で冊も買いはしないでしょう」
    「そりゃぁたあ、そうですが。ただ、補充が倧倉でしょう どっちからずったかわからないのに」
    「補充は棚がかっおにしおくれたす」
    「棚が」
     そんな銬鹿な。ず思いはするけれど、この䞍可思議で敎然ずした棚はそんなこずもできそうな、気がしおくる。けれどもそんな銬鹿な。きっずからかわれおいるのだろう。

     青幎は小さくため息を付く。
    「お疑いですね ではお客さんのほしい本を思い浮かべおください。ああ、珟行垂販されおいる本じゃないず駄目ですが、きっずありたす。皀芯本の堎合は奥に保管しおいるので、お申し付けください」
     その青幎の挑むような芖線が劙に面癜く、最近どうにも芋぀からず、ネットで送料を負担しお叀曞を求めるのも気がずがめおいた皋床の本を思い浮かべる。『お䞃火事の謎を解く』。だから『お』の棚に移動しお䞊から順に調べれば。
    「あった」
    「ほらね」
    「たたたたでしょう」
     あたり手に取られなさそうな本だが、そこたで叀い本じゃない。
    「そうですね、きっずたたたたです。でもこの店ではどんな本でも芋぀けられる、そんな評刀です」
     どんな本でも その他人事のような蚀葉遞びに興味を惹かれる。改めお芋回しおも、その本屋の店内はそこたで倧きくはない。ではもう䞀぀だ。『䌝染病研究所  近代医孊開拓の道のり』。『お』の行。
    「あった  」
     䜕故こんなずころにこんなニッチな本が 狐に぀たたれたようだ。あたりを芋回しおも、医孊文献や歎史文献が倚いようにも思われない。ハりツヌ本やラノベなどず混じっお唐突にそんな本がある。

    「叀い本でもあるのですか」
    「ええ、もちろん、ただし貞本になりたす」
    「貞本」
    「ええ、貎重ですからね」
    「では『金玉積䌝集きんぎょくせきでんしゅう』はありたすか」
    「少々お埅ち䞋さい。ただし耇補本ですが」
     青幎はすらりず立ち䞊がり、奥に䞋がり、あっけにずられた。たさか。あるはずがない。金玉積䌝集は平安時代の兌明芪王かねあきらしんのうが蚘した曞法や故実に぀いおの本だ。閉じ本ずしお囜䌚図曞通や倧孊曞庫などに残っおいるくらいだ。
     萜ち着かない気分で埅おば、青幎は運んできた青い颚呂敷を開き、そこから癜い閉じ本をずりだした。本物、っぜい。けれどもそれにしおは綺麗で、平安時代の本ずも思われない。
    「そ、その、これは拝芋しおも」
    「もちろんです。本は読むためにございたす」
     信じられない。僅かに震える手にずれば、経幎の劣化を感じない矎本だ。パラパラずめくれば、囜䌚図曞通のデゞタルアヌカむブで芋たものず筆跡は異なるが、内容は同じものなのだろう。
     ああ、読みたい、読みたいぞ。デゞタルアヌカむブではどうも達筆な字がかすれお刀然ずは読めない郚分があったのだ。
    「その、これをお貞しいただくには、おいくらが必芁でしょうか」
    「ああ、うちの貞本は䞀埋日円です」
    「せ、せんえん」
     貞本の倀段ずしおは高めかもしれないが、そもそもこの原本は貞出されおいない。これを円で貞すずは正気を疑う。

    「も、もし私がこれを持ち逃げしたらどうする぀もりですか」
    「倧䞈倫ですよ、貞本申蟌曞を曞いおいただきたすから」
     そしお青幎は、手元の机の匕き出しから䞀枚の玙を取り出した。それは䞀般的なもので、名前や䜏所や電話番号などを蚘茉するカヌドだ。ペンを枡され、情報を蚘入する。けれどこんなもの、停の䜏所を曞いおしたえばそれでおしたいじゃないか。
     緊匵しながら差し出せば、青幎はざらりずその衚面を眺めた。
    「はい、ありがずうございたす。これで貞本の契玄が成立したした。有効期限は幎ずなりたすから、幎経ちたしたら新しく䜜成いただきたす。䜏所等が倉曎された堎合は、次回借りる際にお申し出ください」
     青幎は颚呂敷に金玉積䌝集を包み盎し、俺に枡す。本圓に受けずっおもいいんだろうか。今曎ながら、冷や汗をかく。手に取るこずなどないず思っおいた本を受取れば、ふわふわずした非珟実感の隙間から、保管しなければならないずいう緊匵が心の底から湧いおくる。この貎重な本を もし俺がこれをチョロマカしおしたった堎合、この店の損害は蚈り知れないだろう。それをたった円で 補償もなく
     信じられない。
    「そんな䞍安そうにされなくおも倧䞈倫ですよ。それからお貞しできる本は䞀床に冊だけです。有効期限幎以内なら、い぀お返し頂いおも結構です」
    「そんな、長く 返华を忘れおしたったらどうするんです」
     青幎はぜかんず口をあけた。
    「あなたはその本の返华を忘れるんですか」
     そんなこずが有りうるはずがないだろう、ず思わず叫びそうになる。
    「い、いえ。䞀刻も早くコピヌしおお返ししたす。コピヌはかたわないのですよね」
    「勿論です。砎損汚損されない限りはね」
     青幎は再び穏やかに埮笑んだ。
     そしお颚呂敷を恐る恐る鞄にいれお本屋の入り口を出たずき、ひゅるりず冷たい颚が俺の呚りを逆巻き、鞄を匕っ掛けた右肩が少しだけ重くなったのを感じた。きっずこんな貎重な本を借りたからだろう。早くコピヌしお返さなければいけない。そうしないずきっず  きっず 䞀䜓䜕があるずいうんだ。けれど、これを早く返さないずいけない。だいいち心が䌑たらない。
     そうだ店名、ず思っお振り返れば、看板には『芊屋あしや曞店』ずあった。

    Fin

    芊屋曞店も埓兄匟の逆城町にある芊屋質店ずセットで小さくシリヌズがありたす。
    話の䞭に出おくる本は圓時僕が欲しかった本ですどうでもいい情報。

    画像
    神接地図

    芊屋曞店は神接北西の孊園通りの少し奥たったずころにありたす。他シリヌズずしおは神接倧孊の民俗孊研究宀の金子さんがたたに利甚しおいたす。環君はこの店ずの盞性が呪術的に悪いので、店に入るこずが困難です。

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