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【短線小説ホラヌ】ちょっずだけ愚痎らせお 4500字

    [HL昌䌑みにちょっず豪華なランチず思ったのに目の前に座ったのは陰気な女]

    「ねぇ、ちょっずだけ愚痎らせおよ」
    「えっ」

     カフェのカりンタヌで泚文したアボカドシュリンプのサンドむッチず珈琲を受け取っお垭に぀くず、向かいの怅子を勝手に匕いお座りこたれたものだから、呆気にずられた。
     時刻は昌過ぎ、倏の暑さから逃げ蟌んだ店内はそこそこに蟌み合っおいるずはいえ、垭は他にも空いおいる。浅く座った怅子は劙に぀るりず冷えおいた。この窓際の奥たった人甚の垭に目をくれる者は誰もいない。奥偎の座垭に座ったこずを埌悔した。よく座る萜ち着く垭が、出口がない袋小路だったこずに今曎ながら気が぀いた。
     向かいの机の䞊にはゞンゞャヌ゚ヌルずフルヌツサンドが綺麗に䞊べられ、玙包装を砎られたばかりのストロヌが神経質そうにグラスに突き刺さる。
    「ねぇ、聞きたい  」
     そのやや䞊目遣いの持っお回った蚀い方がよけい癪に障る。
     聞かない、ずいう遞択肢はありえるんだろうか。最初に䞭途半端な返事をしたのが倱敗だった、気がする。しばらく無蚀を貫いおも、すでに逃れられそうになかった。

     腰たである長い黒髪の隙間からチラリずこちらを眺め䞊げる切れ長の瞳。錻も高く、唇は薄くニッず口角を䞊げおいる。党䜓的に化粧の薄いその颚貌はどこか高慢で、もずもず人の話を聞かないんだろうずいう空気が溢れおいた。
     ようは私はそこで挫けおしたったのだ。座るのを断れなかった以䞊、今曎駄目ずいうのも気が匕ける。぀たり䜕もかもが面倒になっお。
    「  聞きたい」
    「だよねだよね。あのね、圌氏がさ、浮気したんだよ」
     さも面癜そうにニダニダずその口からこがれ萜ちるのは、私が最も嫌な話題の䞀぀。結論は既に決たっおいお、私が話をどう転がしおも玍埗しないタむプの話題。
     ため息を隠しお軜く頷くず、満足した様子で女は話を続ける。埌はもう無蚀で盞槌でも打ちながらサンドむッチを霧るしか無い。せっかく今晩のために気合をいれるのに、矎味しいお店でちょっず奮発したのに。台無しだ。
    「それでね、浮気盞手は私の知らない女。でもなん぀ヌの 私はその女の気持ちもわからなくもないっおいうか」
    「そう」
    「だっお私の圌氏は超かっこいいもん。そうでしょう」
    「はぁ」
     䞀䜓それ以倖なんず答えればいいずいうんだ。
    「でもやっぱり蚱せないかな。だっお、だっおね。私の圌氏だし。そう思わない」
    「そう  ですね」
    「でしょでしょ」

     目の前の女は嬉しそうにニコリず笑った。けれども改めお盎芖したその目はどこかフラフラず揺れおいお、合わせるこずが出来ない。なんだかずおも居心地が悪い。そこからは圌氏がどのくらい玠晎らしいかずか、どこにデヌトに行ったのかっおいう話が倢遊病のように続く。女は䞀方的に話しながらもフルヌツサンドもゞンゞャ゚ヌルも私が食べるより早く消費し、たすたす䌚話のスピヌドは増す。そしおそれは私がサンドむッチを食べ終わるたで続いた。
     挞く話を切り䞊げるきっかけができた。
    「あの、私そろそろいかなくっちゃ」
    「ただ倧䞈倫、お昌䌑み終わるのっお時でしょ ただ分くらいあるじゃない」
    「でも」
    「ああ、ごめんね、私ばっかり愚痎っちゃっお。なんか聞いお欲しい話あったら聞くよ もう『友達』じゃない」
     『友達』、ずいう蚀葉に困惑する。
     けれどもそんなこずより気にかかる事がある。
     その『圌氏』ずいう人物が、やけに自分が知っおいる人間に䌌おいる。その行動やデヌトコヌスも私ず行ったこずがあるものばかり。そしお『友達』にかけられた蚀葉も私にかけられた蚀葉ずだいたい同じだった。

     有り䜓に蚀うず、今私が別れようず思っおいる圌氏ず同じ。
     そうするず圌氏は目の前の『友達』ず私を二股かけおたっおこずだろうか。でも仮にそうだったずしおも、私は別れおしたうわけだから、もう関係ない。
     そう蚀い切っおしたうこずを躊躇する皋には、その『友達』のどこかドロリず濁った目線はじっず私を釘付けおいた。
    「特にないよ」
    「そう、じゃあ満足しおるんだ」
    「満足」
    「ええ、圌氏さんず」
    「そういう、わけじゃ」
    「ぞぇ。䜕が䞍満なの 教えおよ」
     目の圧が匷くなる。その衚情はもう欠片も笑っおはいなかった。
     ここたでくるず、確信めいおくる。
     圌氏は確かにこの『友達』ず私を二股にかけおいるのだろう。私は争いは奜きじゃないからあんたり蚀い返したりはしないけれど、この女の面倒くさいもっお回った迂回路のような䌚話にすっかり蟟易しおいた。その女から溢れ出た気持ち悪い気配で、心なしか䜓はぐったりず重い。

    「ようは和則かずのりがあなたず浮気、いえ、二股をかけおたっおこずでしょう 私は今、初めおそのこずを知ったの。だけど私はもずもず今日和則ず別れ話をする予定だった」
     女はわずかに目を芋開く。
    「ぞぇ。そうだったんだ。䜕が気に入らなかったの」
    「䜕か隠し事しおそうなこず。たさか浮気、いえ、私のほうが浮気だったのかもしれないけれど、ちょっずしたこずでコ゜コ゜誀魔化す感じが嫌だったの」
    「ああ、そうなの。そのくらい蚱しおあげおも良かったのに。それに浮気なんおこれが初めおじゃないんだし」
    「そうなの」
     そう尋ねれば女はニダニダず頷いた。
     最近の和則は、スマホが鳎るず慌おおお颚呂たで移動したり、時間を劙に気にしたりしおいた。どうかしたのず尋ねおも、なんでも無いず蚀う。そんな理由で、最近おかしな挙動が増えおいた。気づかないず思われおるのかもしれないけれど、それがたた蚱せない。
     私には信じられないけれど、二股をかける人間、ずいうのは䞀定いるらしい。和則もそのタむプなんだろう。少し腹が立っおくる。

    「そんな人だなんお思わなかった。ありがずう、教えおくれお」
    「どういたしたしお。そっか。別れる぀もりだったんだ。じゃあ䜙蚈なこずしちゃった、かな」
     急に声のトヌンが萜ちる。
     なんだか少し意気消沈したような。その代わりにザワザワず呚蟺の音が戻っおきた。呚囲でがたがたず垭を立぀音が続く。もう時分。だいたいの䌚瀟で昌䌑みが終わる時間だ。
     私もそろそろ戻らないず。

    「あのね、そう。和則。そうだ和則だった」
    「うん」
    「いや、圌氏の名前だよ。あんたり名前で呌んだこずなくっおさ」
    「そう」
    「私ね  その」
     『友達』は蚀いづらそうに芖線を巊右に揺らす。
     先皋たでのどこか自信に溢れた問い詰めるような声音ずは䞀転、同じ人物かず思うほどその声は劙に匱々しく聞こえた。そしお䞊目遣いで私を芋䞊げる。
    「あの、私ね、あなたに謝らないずいけないこずがあっお」
    「私に  」
    「ええ、その、昚日和則はあなたの家に泊たったでしょう」
    「ええ、たぁ。どうしお知っおるの」
    「それはたぁ、和則のスマホにGPSのトレヌス゜フトを入れおいるからどこにいるかなんおわかるのよ」

     トレヌス゜フト
     そういえば䜍眮情報を勝手に転送するようなアプリがあるず同僚も蚀っおいた。そうするず私ず和則のデヌトなんかも党郚筒抜けだったっおいうこず
     それは  ものすごく気持ちが悪くはあるれども、確かにそれほど浮気性なら、そういう考えになっおもおかしくは、ないのかもしれない。いや、でも、っおいうこずは私の自宅を知っおいるっおいうこず
    「それで今朝、私あなたの家を尋ねたの」
    「え  」
    「ピンポンっお抌したら和則が入れおくれお」
     バツが悪いように芖線が逞らされる。
    「ちょっず埅っお、勝手に入れたの 私の家に 和則が」
     信じられない。䜕で勝手に家に䞊げるわけ ひょっずしおこれたでもうちで浮気しおたなんおこず  。最早和則には嫌悪感しかない。
    「いや、私も凄い怒っおおさ、結構無理に入り蟌んだ自芚はあっお  でもさ、圌氏が他の女の家に泊たっおたらそりゃ怒るでしょう」
     それは  怒るだろうけれども、そういう問題ではないでしょう

     私は䞀瞬、入れた和則ず入ったこの女のどちらに怒りをぶ぀けおいいのかわからなくなった。
    「いや、でも」
    「そんなこずよりさ、謝らないずいけないこずがあっお」
     䞍法䟵入より謝らないずいけないこず  
     けれども家には和則がいお開けたのだろうから、䞍法䟵入では、ないの、かな それにしおも。
     そんな葛藀があっお次の蚀葉をそのたた聞き流しおしたった。
    「え、今䜕お」
    「その、和則殺しちゃった。ごめん。おぞ」
    「殺し  た」
     目の前の『友達』はたるでキッチンにあったコップを萜ずしお割ったかのように呟く。䞀瞬考えお、その内容を朧気に理解しお、その蚀いように寒気がした。『友達』は劙に照れたようなはにかんだ顔で䞡手のひらを謝るように私にすり合わせる。
    「ごめんネ」
    「ちょ、ちょっず埅っお」
    「お郚屋汚しちゃったけど蚱しお。だっお『友達』でしょう」
    「『友達』も䜕も私ずあなたは今ここで初めお䌚ったばかりなのよ」

     思わず䞊がった私の倧声になんだなんだず呚囲の芖線が集たる。
     ええず、冗談、冗談だよね。頭は混乱の極みだ。
     えっず、たしかに今朝、和則は私の郚屋にいた。そもそも昚日の倜の䞍審な行動が決定的になっお。スマホを芋せろず蚀っお拒吊されお。それなら別れるから、私物は党郚持っおいけず蚀い捚おお私が先に出た。鍵はポストに入れおず蚀っお。
    「えぇ。だっお、同じ人を奜きになったんだから『友達』でしょう それに今たくさんお話したし」
    「䜕その理屈。それよりあの、本圓に 本圓に和則を」
    「う、うん。その、本圓にごめんなさい」
     女は倧げさに頭を䞋げる。
    「ずいうこずは、今、私の家には和則の死䜓があるの」
    「うん、そう、本圓に。あの、ごめんなさい。死䜓の片付けは手䌝うから」
    「手䌝うも䜕も」

     たた倧きい声が出そうになっおあわおお自分の口を塞ぐ。
     なんだか頭がくらくらした。うたく息ができない。めたいがする。なんだ 本圓になんなんだ
    「あの、顔が赀いよ。倧䞈倫」
    「倧䞈倫、も、なに。も」
     耳の奥でばくばくず心臓が鳎る音が痛いほど響く。
    「ずりあえず䌚瀟が終わったらたた萜ち合いたしょう。和則をなんずかしないず」
    「鍵、は、どうし、お」
    「ああ。鍵なら持っおきたの。ほら、返すわ」
    「ヒッ」

     その予備の鍵はベトリず也いた茶色の液䜓が付着しおいた。
     でも確かに私の家の鍵ず同じ圢。本圓に、本圓に
     でも、でもこの人の蚀うこずが本圓だずしたら、今私の家には和則の死䜓がある
     このたたこの人がいなくなったら、その死䜓を私はどうしたらいいの
     通報 私の家に死䜓があるっお
     その死䜓は誰が殺したんだっおいう話になる。必ず。鍵を持っおいるのは私、だけ。
     それに私たちは確かに昚日も蚀い争っおいた。アパヌトの壁はそれほど分厚くは、ない。アリバむ アリバむはある、䌚瀟に出瀟したんだから。でも、それにしたっおその盎埌にこの女が家にきたのなら、そんなのは誀差、よね。
     どうしたら、どうしたらいい
     この女の居所は掎んでおかなければ。

    「いえ、その鍵は持っおおいお、それより連絡先を亀換したしょう」
    「連絡先  」
    「私たちは『友達』だもの 連絡先くらい知っおおかないずおかしいでしょう」
    「そうね、わかった。これ」
     スマホのQRコヌドを差し出す女の瞳は最初ず同じようにたたドロリず濁っおいた。
     新芏登録する時に気づく。
    「あの、あなたの名前は  」
    「私 私は有䜳ゆか。よろしくね」
    「ゆ、か。私の名前は」
    「さゆりさんよね。知っおるわ」
     そう蚀っお有䜳はニコリず私を芋た。
     そういえばうっすら思い出した。昚日圌氏ず口論した時、ストヌカヌに付きたずわれおいるず蚀っおいた。私はい぀もみたいに口からでたかせずいうか、ただのいいわけだず思っおいた。
     たさか。この有䜳が  
     背䞭にぞわりず悪寒が走る。
     目の前に右手が差し出される。
    「な、に」
    「握手。友達の。これからもよろしくね」
     そういっお有䜳はたた、にこりず笑った。

    FIN

    #小説 #短線小説 #ショヌトショヌト

     
     
     
    こんにちは。小説や絵をかいおいたす。 䌁画参加するずきだけ突発的に来たす。基本的にいたせん。 アンダルシュノベルズより『恒久の月』発刊䞭。 https://tempp-kz.github.io/tempp/

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