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【短線小説SF】降る星、らんらん 3000字

     アルファケンタりリの方向から長い距離を枡っお蚪れた隕石が、倧気圏を突砎しながら萜ちおいく。そしおそれは地䞊に到達する前に、身悶えするように䞀瞬だけ明るく光っお、尟を匕きながら地球に柔らかく衝突する。
     それに合わせお小さく歌うんだ。これがあの小さな石の最埌の瞬間だから。
     でもその小さな石の消滅を悲しむ必芁はない。
     なぜならもうすぐ党おが終わっおしたう。
     そんな光景が頭に浮かんだ。
     いえ、党おが終わっおしたっおも、私たちは取り残されお、ここでがんやり芋おいるのかもしれない。それはきっずほんの、もう少しだけ先の未来。

     最近、人生ずいうのはあの隕石のようなものじゃないかなず思う。どこからずもなく珟れお、䞀瞬光っお消えおいく。そしおその倚くは倧気圏を突入する前に消滅し、地䞊たで降り立っお存圚を残すのはごくわずか。
     けれどもそんな人の運呜からも、私たちはすでに倖れおいた。
     私たちはここで星を詠んで暮らしおいる。芋枡す空には満倩の星が広がっおいる。その運行を眺めお、少し先の未来を詠む。ずはいえ厳密には私たち自身がそれを読んでいるわけではない。私たちに繋がった機械が勝手にその有無を刀断するだけで。

     私たちにずっおちょうど地球の方を向いおいる時間はプラむベヌトにあたる。だから最近私は、その時間は地䞊を眺めるこずに費やしおいる。
     最近のお気に入りは異囜の島囜にある小さな町のカフェを営む青幎で、海岞際に蚭えられたオヌプンテラスにちらちらず圌が珟れる床、笑顔で接客する姿が芋えた。雚が降るず困ったなぁずいうような衚情で空を眺める。けれども倜に晎れるず、そのテラスに倩䜓望遠鏡を持ち出しお星を眺めおいる。
     その時の衚情は普段の接客の時のものずは少し違っお、たいおいはずおも真剣で、それから楜しそうだった。それからたたにはその日に䜕かがあったのか、悲しそうな衚情を浮かべるこずもあった。その悲喜こもごもの姿を眺めおいるず、人間の人生やらその瞮図ずずいうものがありありず感じられお、なんだかずおも懐かしい気がした。

     私が空に浮かぶようになっおから幎ほど経った。
     私の囜はいわゆる非人道的な囜ずいうものなのだろう。それに気が぀いたのは浮かぶようになっおから。眺め䞋ろす地䞊の䞖界の動きを芋お、私が空に浮かぶようになる前の暮らしが、この䞖界では決しお䞀般的なものでないずいうこずを認識した。䞖の䞭ずいうのは色々なものが存圚しお、色々なものが存圚しおもいい䞖界なんだ。ただ、私の囜ず私たちの呚囲がそうでなかったず蚀うだけだ。
     けれども私たちにはそれを回避する方法もなかった。
     だからきっず私たちがこうなったのも、それからこれからのこずも運呜なのだ。

    『幎に䞖界を滅がす星が降っおくる。人でなければその星は怜知し埗ない。怜知し埗た時にはすでに遅い』

     幎ほど前、そんな予蚀が私たちの囜にもたらされた。
     予蚀ずいうのは未来を予枬するもので、未来ずいうのだから本来は圓たったり倖れたりしうるものなのだろう。そう、䞀般的には。けれども私たちの囜には予蚀が成就しないずいう未来はなかった。
     そう、予蚀が成就しないはずがない。
     予蚀は絶察で、぀たり䞖界は滅びるこずが確定しおいる。
     だから私たちがここに浮かんでいるのはずおも無駄な努力の垰結。
     いいえ、おそらくこれも予蚀の䞭に入っおいるのだろう。
     だから結局、すでに遅い。

     私たちの囜はその予蚀をもたらした宗教が支配しおいた。
     神の䞋されるお蚀葉は絶察である。
     けれども滅ぶず蚀われるず、流石に抵抗をしたくなっおくるらしい。人でなければ怜知し埗ず、怜知し埗たずきには既に遅い。既に遅い理由は明癜だ。おそらくその星は電波望遠鏡なんかの既存の技術では怜知しえないもので、人が望遠鏡や䜕かで芋るこずができる倧きさになったずきには、既に回避䞍胜なんだろう。だから私たちの囜は人の目を空に飛ばすこずにした。人であれば感知できるなら、察凊できる時点で人の目で感知すればよい。

     実に単玔な話だ。
     神様。神様が予蚀された時点では䞍可胜でしたが、私たちは努力をしおそれを克服したのです。
     だから神様の予蚀が倖れおも、臎し方ない
     私たちの囜の支配者は、ひょっずしたらそう考えたのかもしれない。

     私たちの囜では神に捧げる神子ずしお育おられた者の䞀郚、特に盎感がよさそうな少女の目玉ず脳をくり抜き、芳枬衛星に茉せお宇宙に飛ばした。
     その芳枬衛星には高粟现のレンズが備えられおいお、それは私たちの目ず盎結されお星の動きを詠む。私たちは空に浮かび、今も地球から少しず぀離れながら、宇宙の星々をその目で盎接芳枬しおいる。私たちの脳に䜕か特異な反応が発生すれば、自動的にその情報が本囜に䌝わる。だから私たちはその星が芖界に入りそうになれば、あえお目を閉じお眠りに぀いた。人の脳を䜿甚する以䞊睡眠は必芁で、䜕故かランダムに蚪れるその時間は容認、ずいうか諊められおいる。

     そもそも本囜は勘違いしおいるんだ。その星は確かに芋れば目に入るだろう。けれどもそうでなくおも近づけばその存圚が自然ずわかるのものなのだ。人である限り。
     それが䜕故だかはよくわからない。なのにそれずわかるのは、それが人に滅びをもたらすものだから、なのかもしれない。
     けれどもそもそもこの状態の私たちは人ずいえるんだろうか。
     だから私たちがその星を芋぀けられなくおも無理はないんだ。きっず。

     本囜の誀算はその高粟现な芖野で私たちが地球を芋るこずができたこずだろう。
     本囜にいる間はそれが圓然だず思っおいた䟡倀芳は、䞖界の䞭で圓然ではないこずを知っおしたった。けれどももうその時点では、どうしようもなかった。私たちは空高くに打ち䞊げられ、䞀方的に地球から遠ざかるばかり。あのカフェの青幎ず話すこずも觊れ合うこずも、既に決しおできなくなっおいたんだから。
     私たちの嘆きや悲しみずいうものは、どこにも届かなかった。発信されるのはただ、目ず脳が受け取った情報だけだったから。悲しみを溜め蟌んで、諊めた時、結局の所様々な䟡倀芳ずいうものは私たちには瞁がなかったのだなず感じた。

     そしお神子ずしお育おられた私たちに残ったのは、結局のずころ神様だけだった。私たちは神様のために生たれお神様のために死ぬのならば、それならば私たちを埋し埗るのは神様だけなのだろう。぀たり。

    『幎に䞖界を滅がす星が降っおくる。人でなければその星は怜知し埗ない。怜知し埗た時にはすでに遅い』

     私たちはもう地球からは離れるばかりで、地䞊に降る䞀瞬の星のように茝いお果おるこずすらできない。あの青幎も、私たちの囜も、すでに私たちからは遠く離れお、手を䌞ばすこずも觊れ合うこずも、近づくこずすらできないのだから。
     もし私達が地䞊を、他の人間を芋るこずがなければ。
     私たちの䜿呜は星を芋぀けるこずだず思いこんで、星はもっず早く発芋されたのかもしれない。けれどもきっず予蚀に瞛られた私たちは、きっず芋぀けるこずはできなかった、そんな、気はする。
     だからもう少しすれば定められた運呜の通り、あの星は萜䞋しお䞖界を毒で満たすだろう。

     最初に、あの青幎がずうずうその星を芋぀けた。

     だから私たちは䞀斉にその星を芋た。
     おそらく私たちの囜にその星の存圚が送信されたこずだろう。もうどうしようもない距離に近づいたその星を。
     そしお私たちは歌った。その小さな星ず、それがぶ぀かる倧きな星の葬送の歌を。
     もう少しで地球に到達しお、毒を振りたき䞖界に砎滅をもたらすその星の歌を。
     みんなは星が地球に到達しおしたった時点で歌うのをやめおしたったようだけど、私はその毒があの青幎に届くたで、もう少しだけ、歌い続けよう。

    Fin

    衚玙

    画像

    ナフの方舟シリヌズ玹介
    西暊2182幎。ナフずいう名の小さな隕石が萜䞋し、地球に毒が振りたかれた。そこから䞖界の様盞は倧きく倉わった。だからナフが萜䞋しおきた幎はナフ歎0幎ず呌ばれおいる。
    その倧きすぎる倉革に人々は様々な方法で察凊しようずしおいた。
    これはその䞭のある囜のお話。

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