
マルが死んだ
マルが死んだ
(お父さんが死んだ)
2024年3月25日に
(2007年12月31日に)
マルはかわいい犬で
(お父さんは人)
マルはガンで死んで
(お父さんは事故で死んだ)
お父さんが死んだことはみんなが知っていて
いろんなところから連絡が来た
(マルが死んだことはだれも知らなくて
大事な人にすこしずつ打ち明けた)
死んだお父さんの頭を持って運んだ、重かった
足が凍らないように靴下を履かせた
(死んだマルは軽くてまだ温かくて
命だけがないなんて信じられなかった)
お父さんが死んで帰ってきた日
お父さんの友だちはお父さんの髪の毛をこっそり切ってポケットに入れていた
(マルを焼く前の夜にマルのしっぽの白い毛をもらった
幸せを運ぶ白い魔法の毛)
お父さんが死んで、兄がわんわん泣きついていた
わたしはそれを見て泣けなくなった
(マルが死んで、わたしはわんわん泣きついた
ほかの誰にもわたしとマルの間に入らせなかった)
お父さんを焼いたあと骨を見るのはやめた
悲しくなりそうだったから
(マルの骨を見た
骨までかわいいってみなさん言いますって火葬場のお姉さんは言ったけど
骨になんかなるなよってまたわんわん泣いた)
お父さんのお墓はない
お骨も集めていない
どうなったかは知らない
(マルのお骨はひとつ残らず集めて骨壷に入れた
お墓はないけど、部屋の隅にだいじに置いた
ろうそくに火を灯してお水を替えて写真をかざって、話しかける)
お父さんが死んで、思い出話をたくさん聞いた
どれもわたしの知っているお父さんではなかった
(マルが死んで、思い出話をたくさんした)
死んだお父さんを忘れられない
(死ぬ直前のマルを忘れてしまいたい)
お父さんのことで自分を責めた
(マルのことで自分を責めないように
すごくすごくがんばっている)
お父さんはきっと幸せだった
(ほんとのところ、マルは幸せだったのかなあ)