メインコンテンツへスキップ
見出し画像

入浴委譲/毎週ショートショートnote

    #裏お題

    「さあ、お先にどうぞ、さぁさぁ、
    遠慮なくどうぞ」

    その銭湯♨️では、毎日、こんな会話が飛んでいる。

    入浴の権利を譲る行為、
    すなわち『委譲いじょう』すること。
    そして、それは
    『徳を積む』と、云われるようになったのだ。

    称して 『入浴委譲にゅうよくいじょう』という。

    『徳を積む』というものは、実に効果があるものだ。

    寿命が延びる
    宝くじが当たりやすくなる
    事故に遭わない
    泥棒が入らない家になる
    食品を半額で買うことが出来る、

    此処にあげた以上より、細かいことも含めて多く、良いことが起きる。

    だから誰もが、譲ろうとする。

    それでも、皆が譲っていれば
    入浴する者が決まらず、それにより銭湯は、お湯がぬるくなり
    沸かし直しをしなければならない。

    「よーし!これから、湯に入った10人は無料にしようじゃないか」

    危機を感じた銭湯のオヤジは、
    英断を決めた。

    「おお!無料だと!ありがたい。どれ、わしは入るぞ」と最高齢のじいさんが、湯を向かった。
    それに続いて何人も押し寄せた。

    同じく女湯でも、最高齢のばあさんが湯へ向かうと次々に人が押し寄せた。

    入浴委譲は、やがて消えていった。



     
     
     

    てみ

     
     
    書くことが好きです。映画感想文、読書感想文、短歌、小説、体験談、エッセイなど書いています。宮沢賢治、新美南吉の童話好きです。柳田國男の「遠野物語」は大好きです。初noteは、20240222です。

    あなたへのおすすめ