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だろう温泉/毎週ショートショートnote


    とある山奥に「だろう温泉」という秘湯があるという噂がある。しかし、誰に聞いても

    「行ったことがあるだろう」

    「確かに存在するかもしれない」

    と、曖昧なことしか言わない。

    不思議に思った俺は、噂を頼りに山へ向かった。道中、何人かの地元の人に尋ねるが、誰も「確実にあるよ」と言わない。

    「昔、じいさんが行ったことがあるらしい...」

    「友だちが入ったことがあるかもしれない...」

    と、曖昧な証言ばかり。

    それでも進んでいくと、
    ようやく「だろう温泉」
    と書かれた看板を発見。

    期待して足を踏み入れると、
    そこには立派な湯けむりが、立ち込めていた。

    「おお!あったぞ!だろう温泉」

    しかし、温泉に浸かろうとすると、湯船のお湯がスーッと消えてしまう。
    慌てて手を入れるが、お湯は確かに熱いはずなのに、触れると冷たい気がする。

    隣にいた老人が言った。

    「ここはだろう温泉。温泉だろうと思えば温泉、幻だろうと思えば幻なんだよ」


    「なんなんだよー」

    俺は、空しく叫んだ。


    410字

     
     
     

    てみ

     
     
    書くことが好きです。映画感想文、読書感想文、短歌、小説、体験談、エッセイなど書いています。宮沢賢治、新美南吉の童話好きです。柳田國男の「遠野物語」は大好きです。初noteは、20240222です。

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