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あくび#片思い文芸部


    あくびをする隣りの席の男子。

    「ふあぁ......」

    1限目の現代文、教科書を開いた瞬間、隣の席から聞こえてきたあくび。
    それはもう見事なまでに、退屈の象徴って感じのあくびだった。

    「眠そうだね」

    思わず声をかけたのは、ただの気まぐれだった。けど、隣りの斎藤くんは、ちょっと困ったような顔で笑った。

    「うん、ちょっと夜更かししてて」

    「ゲーム?」

    「いや、妹が熱出しちゃって。
    ずっと看病してたんだ」

    その一言で、胸の奥がふっと熱くなった。
    あくびは、眠いからじゃなかった。
    優しさの後に来た眠気だった。

    それ以来、私は斎藤くんのあくびに、ちょっと敏感になった。
    小さなあくびを見つけるたび、

    「あ、誰かのために頑張ったのかな」

    なんて思ってしまう。
    そしてそのたび、私は、勝手に好きになっていく。
    彼の優しさを、あくびの数だけ知ってしまうから。




     
     
     

    てみ

     
     
    書くことが好きです。映画感想文、読書感想文、短歌、小説、体験談、エッセイなど書いています。宮沢賢治、新美南吉の童話好きです。柳田國男の「遠野物語」は大好きです。初noteは、20240222です。

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