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かもしれない弁天/毎週ショートショートnote




    浪人の新八は、江戸の片隅にある「かもしれない弁天」に願をかけにやって来た。

    「どうか、お願いします。
    あっしに、仕官の道を開いてください!」

    と、手を合わせた。

    すると、どこからともなく弁天の声が響いて来た。

    「あなたは明日、大名にスカウトされる……....かもしれない」

    翌日、新八は江戸の町を歩いていると、突然、馬が暴れ、大名の駕籠が横転し、とっさに馬を抑えると、大名の井伊直弼いいなおすけが感心して、

    「見事な腕前だ。名を名乗れ!」

    ついに仕官か! と新八が名乗ろうとしたその時、町人が駆け寄った。

    「お侍様、その馬、うちの厩から逃げたものでござんす」

    大名は苦笑し、

    「ならば馬の持ち主に感謝することにしよう」

    と言い残し、去ってしまった。

    がっかりした新八は、神社に戻った。
    すると、弁天の声が響く。

    「ほらね、スカウトされるかもしれなかったでしょう?」

    新八は静かに手を合わせ、
    もう二度と、このかもしれない弁天には、願掛けはしないぞと誓うのだった。

    408字

     
     
     

    てみ

     
     
    書くことが好きです。映画感想文、読書感想文、短歌、小説、体験談、エッセイなど書いています。宮沢賢治、新美南吉の童話好きです。柳田國男の「遠野物語」は大好きです。初noteは、20240222です。

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