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初めてのフジロックは全然楽しくなかった



    今年もフジロック・フェスティバルに行ってきました。

    例年のごとくとても楽しく三日間(帰りも含めると四日間)を過ごしたのですが、ふとした瞬間に思うことがあります。

    これ、ひとりで行ってたら絶対楽しめないな。

    著者プロフィール:伏見瞬
    批評家・音楽系YouTuber。東京生まれ。
    音楽・映画・文学など、表現文化全般に関する執筆を様々なメディアでおこなう。2017~18年「第三期ゲンロン批評再生塾」で東浩紀審査賞を受賞。2018年から旅行誌を擬態する批評誌『LOCUST』編集長。2022年からトークイベント「歌舞伎町のフランクフルト学派」を批評家・西村紗知とともに主宰。会社勤めの兼業作家。
    著書に『スピッツ論 「分裂」するポップ・ミュージック』(2021年、イースト・プレス)。2023年末からはYouTubeチャンネル「てけしゅん音楽情報」を運営(2025年2月末時点でチャンネル登録者数約5万人)

    ふと思ったさみしさ

    人によると思いますが、僕は友人・知人がいない状態で、数万人が苗場の山に集まる特殊な状況を楽しめない人間です。
    ひとりで行っても、会場に友人や知人がいればそれは大丈夫でしょう。
    ライヴ中にひとりきりになってもオッケー。大いに楽しめる。
    ただ、それは数万人の中に信頼できる人や親しみを持てる人がいる、という前提があるから。
    誰も知らない状態で楽しそうな群衆の中に入ったら、孤独が無限に加速してしまいます。

    僕は今回、いつも一緒に行く友人たちと、いつも予約している宿に泊まりました。
    友人には東北や近畿に住んでいる人もいて、彼らとは普段会えなかったりする。
    実際、僕のフジロックの目的は、なかなか会えない友人と会うことだといって過言ではありません。
    ライヴを見るのは主な目的ではなく、サブでついてくるオプションみたいな感じがする。
    友人が行かないのなら、僕もフジロックに行かなくなると思います。

    なんとなく、コミュニティ

    フジロックには、なんとなく一つのコミュニティ感があります。
    めちゃくちゃ祝祭感があってピースフルな雰囲気に包まれてる、というわけではないのですが、一つで全体という雰囲気がどこか漂っている。
    これは、都市型のフェス、例えばサマーソニックやビバラロックにはないものです。

    細かく分析する余裕はありませんが、元々フジロックの発端に「自分たちのコミュニティを大事にしよう」といった思想があったからとも言えるし、苗場の山の中という(多くの人にとって)日常とは異なる空間で行われるからとも考えられます。
    いずれにしても、束の間の共同体、みたいなオーラがうっすら漂っています。

    この「うっすら一つのコミュニティ感」は、心地よいとも限りません。
    フジに来たからといって、全体の気配と馴染めるわけではないからです。
    むしろ、一体感から弾かれて、余計に孤独感を深める結果に陥ることだってある。

    というか、僕は実際にそれを体験しています。


    最初のフジロック

    最初にフジロックに行ったのは、2001年。
    僕は高校一年生でした。
    当時の僕はほとんど友達もおらず、一緒に音楽の話ができる友人もいません。
    自分が周囲の世界と合っていないことに苛立ったり悲しんだりで、孤独感を募らせる毎日でした。

    フジロックは、音楽を好きな人が集まって楽しんでいる場所らしい。
    そう聞いて、胸を弾ませました。
    行ったらなにかが変わるかもしれないと思い、当時はじめたばかりのバイトの給料を使って、チケットを購入しました。
    当時の一日券のチケットは1万4千円程度で、今と比べるとかなり安い。
    でも、高校生にとっては大金です。

    僕が行ったのは二日目の土曜日で、スーパーカーやニューオーダーやナンバーガールなど、当時好きで聞いていたバンドが多く出る日でした。
    他にも気になっているアーティストが複数出ていて、「一緒に見られるなんて夢のようだな」と思っていました。
    特にスーパーカーは当時大好きなバンドで、公認のファンククラブサイトをよくのぞいたり、掲示板に書き込んだりしていました。
    そのサイトで作っていたTシャツを注文して、フジに来てきました。
    記憶が曖昧ですが、同じTシャツを着ている人で集まろう、みたいな呼びかけもあったはずです。

    一人で新幹線に乗るのも初めてで、越後湯沢駅まで緊張しながら乗りました。
    荷物もよくわからず、子供の時からキャンプに行くときに使っていた紺の寝袋を持っていきました。

    会場に着くと、とにかく人が多い。
    そして、当然ながら僕はひとりぼっちです。

    ひとまず、朝一番のグリーンステージでナンバーガールが演奏している。
    ステージの近くまで行って、演奏を聴きました。
    かっこよかったけど、当時は音の大きさにも慣れておらず、ただただ圧倒されていました。

    期待の結果

    4曲ほど聞いて、レッドマーキーのスーパーカーのステージへ。
    一番の目当てです。
    前年に出たアルバム『Futurama』、そして後追いでファーストの『スリーアウトチェンジ』をその冬に聴いて、僕は彼らに夢中になっていました。
    洪水のようなサウンドを生で聴いたら、すごい体験ができるに違いないと、楽しみにしていました。

    そして、肝心のライブはというと

     
     
    YouTube「てけしゅん音楽情報」を運営する、ポップアーティスト/文筆家/YouTuberのてけ(照沼健太)と批評家しゅん(伏見瞬)。毎日が楽しくなって仕事にも役立つ、音楽やアニメ、映画のカルチャー記事と、フリーランスと兼業それぞれの視点からの仕事術やメディア論をお届けします!

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