犬も歩けば金の骨 第6話 2匹の犬と金の骨
この世のどこかにふと現れる、「金色に輝く不思議な骨」をめぐる短編集
第6話 2匹の犬と金の骨
先に家族になったのは、出産を何度もくり返した年上のメス犬だった。
人の手の動きにビクつきながらも、それでも静かに尻尾を揺らした。
次に家族になったのは、繁殖屋の檻から助けられた若いメス犬。
家の中では好奇心のかたまりで、怖いもの知らず。何にでも顔をつっこんだ。
初めて2匹で散歩に出た日。
先住犬は、風を切って先に進みたがった。
若いほうは、大きすぎる世界に立ちすくみ、最初の一歩が出なかった。
それは、彼女にとって「散歩」というより、不器用な冒険のはじまりだった。
別々に歩いたり、一緒に止まったり。
リードが絡まって解けなくなったり、抱き上げて戻ることもあった。
それでも季節がひとつ変わるころ、2匹の足音は少しずつ重なっていった。
ある朝、道端で、若いほうが棒切れを見つけた。
かじれば木肌がはがれ、朝日に照らされて金色に光った。
「持って帰る」と目で訴える。
その口には大きすぎて、どうせ途中で投げ出すだろうと思いながらも、私はうなずいた。
案の定、途中で彼女は名残惜しそうに棒を放した。
すると先住犬が前に出て、
「後は任せて」と言うように棒切れをしっかりくわえた。
玄関に戻ると、彼女は棒をそっと置いた。
ただの汚れた棒切れ。
けれど若いほうは尻尾を振り、宝物のように受け取った。
歩き出すとき、立ちどまるとき、また進みはじめるとき。
世界のどこかに、小さな「金の骨」がふと現れては消えていく。
それは、足音を重ねる「時間と気持ち」が見つけさせてくれるものだった。

リアルのお話
この物語のモデルになったのは、実際にうちで暮らす2匹の保護犬です。
茶色の子はトイプードルで「おとは」。9歳。繁殖引退犬として4回ほど出産を経験したあと、3年前に我が家に来ました。落ち着きがあり、あまり物事に動じません。
白い子はマルチーズで「らいな」。4歳。同じく3年前に、ブリーダー廃業で保護され、4か月違いで家族になりました。好奇心旺盛でワチャワチャした性格。最初はカマチョで、おとはにしつこく絡んでは時々うなられていました。
1年ほど過ぎたころから、寄り添って眠る姿が見られるようになり、今では骨ガムを交互にガリガリするのが日課。相手が噛んでいるものを欲しがりつつも、奪わずに待ち続け、やがて交代する。そんな姿に「金の骨」は本当にあるのだと感じます。

あなたにとって、「金色に輝く不思議な骨」はなにですか?
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