メインコンテンツへスキップ
見出し画像

詩・短歌・俳句 2018

    之哲/Yuki Satoru

    短歌 1


    コオロギが蠢うごめく姿すがたに怖気おじけ付く
    夢中むちゅうになってたくさん捕とりしが

    大通りバイクを停とめて穏おだやかに
    「族ぞく通らぬか」と硬派こうはらしき人

    書くことの取り返しのつかなさは
    守れなかった約束に似る 

    解決を求めず行こうその他に
    何のしようもないのだけれど

    晴れた日に梅の咲く頃公園の
    木に見付けしはくびれたる人

    去りし人ただ一歩だけ先を行く
    何と大きな一歩であるかな

    起きた事ただ淡々たんたんと受けとめる
    それ以外には出来るすべなし

    2018.12.29

    騒いそがしく人を選ばず呼びかける
    嬉うれしそうなり血液足たらぬが

    恐おそるべき出来事ばかり起こるなら
    もはや恐れる暇ひまはなかろう

    明け方まで猫が争あらそう声に耐たえ
    諦あきらめること身みをもって知る

    コケコッコここでも鳴なき声かわらずと
    ケニアの村で友 感心す

    顔に見える便座カバーが切な気で
    用を足すたび振り返るなり

    悪夢見て目覚めることがないならば
    果はたたして耐えていけるだろうか

    2018.12.24.

    揺ゆり起こす過ぎ行く暮らしの端々はしばしで
    出し惜おしみする余裕はあらず

    過ぎ行けば本当なのかあやふやな
    淀よどむ記憶の滓かすを集めて

    なんだなんだ何をそんなに騒さわぐのだ
    明日になれば過ぎ行くものを 

    発はっすればただ過ぎ行きて消えていく
    そんな気しつつ言葉に頼り

    2018.12.22.

    駅前の凍こごえる朝の托鉢たくはつを
    有権者ゆうけんしゃらは急ぎ過ぎ行く

    考えて考えて事に当たれども
    日々に追われて時は過ぎ行く

    笑顔にて過ぎ行き人は今いかに
    会社なくなり知りようもなく

    唐突とうとつに木枯こがらし吹いてうららかな
    秋は過ぎ行き冬服を着る

    2018.12.19.

    「しばれるなぁ」父の話した南部なんぶ言葉
    凍こおるBostonで肌身はだみにしみる
    (2021.11.26.改定)

    我が家には手を合わせぬ人多くおり
    気にもとめずに暮らしてきたが

    通いしはお寺の中の幼稚園
    歳重としかさねまた手を合わせおり

    熊襲大和南部の人の混ざりし者
    家族の話 合わせた我は

    2018.12.14.

    20年経っても胸で燻くすぶるは
    2年過ごしたマサチューセッツ
    (2021.11.26.改定)

    東アジアを故郷こきょうと慕したう人となる
    2年のアメリカ暮しの故ゆえに
    (2021.12.17.改定)

    2018.12.12.

    おもむろに古い記憶が滲にじむ夜
    腹に溜たまってじわり汗ばむ

    何もないそれも一つの答えだと
    友が言うのをただ聞きし午後

    静まった夜は寂さびしい心地ここちする
    騒音そうおん響ひびく街まちに育てば

    2018.12.11.

    映画観て帰る夜道に立ちし女
    何の用事か知らぬまま過ぎ

    人々はどこへ移って行ったのか
    あばら家の街にビル建ち並び

    懐なつかしい駄菓子だがしの店のおやじさん
    シンナー売って捕つかまったという

    ハゼ釣りしドブ川のことは懐なつかしい
    オイルが漏もれて汚よごれし事も

    2018.12.9.

    はからずも浸しみ出すままの現実を
    メンテナンスして暮らす日々なり

    落書きも枯葉もなにも自然だと
    思えるときの生活のシミ

    出口ない夢は迫せまりて苦しくて
    目覚めてみれば滑稽こっけいなれども

    話し合うたびすれ違う物事ものごとは
    人の癖くせなり避さけようもなく

    2018.12.8.

    からころろからころころと流れ落ち
    下水の音おとも時に麗うるわし

    旅に出て自分の愚おろかさ身みに沁しみて
    1週間の謹慎きんしん気分

    長旅ながたびより帰り来たれば我が町が 
    おもちゃのように映うつり佇たたずむ

    辛つらきことばかりと思う日々あれど
    写真を見れば笑う我あり

    2018.12.4.

    俳句 1


    次々と人が死にゆく秋の夢

    2018.12.2.

    短歌 2


    元げん使い切ろうとザーサイ買い求め
    うまくて円を両替し友

    酒飲んで幾つかの語と身振りにて
    愚痴ぐちを聞いたりセネガルの夜

    5分から30分の遅れとの
    アナウンスありしボストンの駅

    2018.12.1.

    歩みゆき疲れてしまい寝たのです
    心と体の端々はしばしまでも

    振り向いて出してしまった言葉とは
    他人のようだ自由にならぬ

    ぼんやりとスマホいじりて三日月の
    ような目だねと妻に言われる

    3人でゴミ置場おきばから運び出した
    でかいスピーカー今はいずこへ

    針の穴ほどの可能性あるならば
    やる価値ありと父親言いし

    濡ぬれ場観みてこういう演技する女は
    男に尽つくすと言いし祖母なり

    荒削あらけずるごつごつとした言葉尻じり
    下手へたな手作りこんにゃくの様に

    ありふれた日々の暴力止むことなく
    続いていると感じるのです

    2018.11.30.

    夜が明けたらもう一度だけ拾ひろい出す
    散ちった破片はへんの中からひとつ

    騒ざわめきは静かな調べ響ひびかせる
    雑踏ざっとうでそっと耳を澄すませば

    いさかいも誤解も何もすり抜けて
    洩れる振動そっと添えてみる

    裏表うらおもてときにさらりと翻ひるがえす
    心落こころおち着け移うつろうままに

    2018.11.27.

    俳句 2


    夕立の過ぎてからりと時計塔とう

    晴天せいてんに黄葉こうよう沁しみて登り坂

    花火の音ねスマホ片手に窓を開け

    2018.11.21.

    短歌 3


    急がねばそう思いつつまるまって
    なんとはなしにスマホいじる朝

    寒い朝とても静かな調子あり
    車が通りヒヨドリ鳴なくも

    発火はっかする後のむなしさ身みにしみて
    コーヒー淹いれて哀かなしみてみる

    音もなく流れる糸は粘ねばりつつ
    今日の心はそこそこ安定

    待ってくれよ俺はまだここにいると
    必死ひっしにつかむ夢の中でも

    2018.11.19.

    リハビリに始めたはずが病やみついて
    息継いきつぎぎするも凝こり疲つかれたり

    ベランダは枯れ乱みだれつつ実を結び
    ふらり家出て帰り来たれば

    15年詩を書く事を忘れてい
    ふと始め妻の批評にひひょううろたえ

    空腹でない食欲は際限さいげんなく
    苦しくなって遣やる瀬せなさ知る

    抜殻ぬけがらのような自分を焚たきつけて
    灰になっても灰汁あくとる世よでなし

    鬼太郎きたろうはねずみ男おとこをなぜ許ゆるすと
    ふるえるほどに怒いかりし友あり

    殺されたし殺したからなと祖父そふ洩もらす
    アメリカ行かぬと言ったそのあと

    アルビノになるか実験していると
    灯あかりつけずにドジョウ飼いし友

    生き残っちまったなぁと呟つふいた
    パイロットの祖父そふ90過ぎ逝ゆく

    2018.11.15.

    俳句 3


    枯葉踏み小便すれば秋心地あきごごち

    2018.11.14

    寞芹


    あっという間に
    5つ歳としをとる
    けれど5年後の
    何も分からない
    言葉が溢あふれても
    月日は 
    何も癒いややさず
    人は行き違う
    オクラのように粘ねばる日々
    濡ぬれた体を横たえて

    2018.11.13.

    短歌 4


    だんだんと霞かすみがかかり絡からみみ合う
    死ぬ事だけが褪あせぬ夢夢ゆめゆめ

    上人しょうにんと上人とらが争あらそいし
    身内みうちに溜たまる泥水どろみずの澱おり

    ライフルで軍艦ぐんかんに向かい立ちつくす
    何とはなしに残念ざんねんな人

    汚水おすい出す工場のことが懐なつかしい
    ヘドロの川に鯉こい群れる今

    文学は時代錯誤さくごと思う身みに
    詩を書けという我の無慈悲むじひさ

    ヘドロ川堤防ていぼう破やぶれベランダで
    釣り糸垂たらし怒られた友 

    「お前には言った筈はずだ」との立て札《ふだ》を
    すれば効果こうかありと自慢じまんした友

    壊こわれてるギターとアンプ修理しゅうりして
    第九だいく奏かなでた小6しょうろくの友

    激安げきやすのロングコートとサングラス
    身に着けた友 店潰つぶれ泣く

    平たいらだと何とはなしに落ち着かぬ 
    坂道ばかりの街まちに生まれて

    詩などより絵の才能があるわよと 
    のたうつ僕の絵を見て言う妻

    万引まんびきをしては戻もどして楽しんだ
    ギターのピックが自慢じまんの友友ともとも

    あいそなく注文を取り料理出て
    沁しみる味わい共ともに微笑ほほえみ

    2018.11.12.

    俳句 4


    肩寄せて風に吹かれる花薄はなずすき

    2018.11.3.

    センチメント


    あざむいたのか
    あざむかれたのか
    時はたち
    明るみに出て
    温もりは壊こわれてしまった
    眠りこけよう
    しばらくの間 
    力を待とう
    分からぬことをいとおしく
    分かることをこそばゆく思う
    そんな気分だから

    2018.10.27.

    岬みさきへ


    流れるように
    足音あしおとがする
    ときに急ぎ
    ときに堰せき止められ
    いくつもの穴の上を
    とめどなく、とめどなく

    エンジンがひしゃげ
    動かない
    (不穏ふおんな音おとはするけれど)
    燃料ねんりょうだけはふんだんにある
    枯れた井戸から
    ガソリンが湧わいているから

    火がつかぬように
    気をつけながら寝転ねころんで
    (すでに油まみれなのだし)
    うつろい、うつろい
    ちぎれたまま
    取り繕つくろうこともなく

    2018.10.26.

    街まち


    降り積もった塵ちりが
    風雨ふううと共ともに去っても
    どうしようもなく
    残る臭気しゅうきがある

    重くはなく軽くもない
    深くはなく浅くもない
    ただ息詰いきつまる音おとがする
    掻かき消されることのない
    避さけようのない淋さびしさ

    地面を踏ふみしめると
    沈黙ちんもくが伝わる
    留とどまることなく続く
    静かな交流の時

    2018.10.12

    そっと


    ひずむ言葉の陰かげで
    ほつれる
    あらい麻布あさぬのを撫なで
    それとなく嗅かいだ
    含ふくまれるような
    砕くだかれるような
    そんな心地ここちがする

    2018.9.29

    情景じょうけい


    突然とつぜんうろたえる
    (雀すずめは怯おびえながら啄ついばんでいる)
    沁しみて来たのだ
    30年前の孤独こどくが

    雨が放浪ほうろうへと誘いざなう
    (崖がけの下に虫がたかる)
    帰ろう
    居場所いばしょがあるうちに

    (島々しまじまには
    どこも家が立ち並ぶ)
    恐おそれることはない
    怖こわいと思うままでいい 

    2018.9.26

    寛くつろぐ


    冷ひやややかな優やさしさに
    端々はしばしまでも和やわらぐ
    あえて隠かくすことも
    語ることもない
    溜池ためいけのような穏おだやかさ

    どこにもあり
    どこにもない
    誰にもあり
    誰にもない
    辿たどり着いて思い出す
    前に訪おとずれた事を

    2018.9.15.

    歩く


    都会の人波ひとなみで
    ただ動くものになり
    自由だと思った
    建物の合間で
    どこにも辿たどり着かず
    それが心地ここちよかった

    時は魚の群れのように
    膨ふくらんだり縮ちぢんだり
    揺ゆらぎながら過ぎた
    目が覚めたら行こう
    足元あしもとに注意し
    ゆったりと踏ふみしめて

    2018.9.12.

    昼


    枯れ果はて
    ひと雫しずくも残らない
    殻からの中で眠る
    ごぁっごぁっごぁっ
    草むらから
    声がするまで

    川底かわぞこに転がる骨ほね
    あまりに白く
    もう泣くこともない
    そっと拾ひろって
    土に埋うめる
    新たな始まりを待って

    2018.9.10.

    風


    やわらかな風が
    入り込み
    静寂せいじゃくが生おい茂しげる
    思わず外に出る
    かじかむ空
    埃ほこりが舞まい昇のぼる中へ

    2018.9.7.

    一会いちえ


    今日に突き刺ささる
    繕つくろいなく
    ばらまかれた
    感触かんしょくを探さぐる

    もう会えないとしても
    また会おう
    互たがいに不審者ふしんしゃとして
    不平等ふびょうどうで
    公平こうへいな土壌どじょうで

    2018.9.6.

    預言よげん



    僕の事を
    神秘しんぴ主義者だと
    君は言うのです
    気付いてないだけだと 

    他の人の言葉なら
    気にしないけれど
    君に言われると
    どぎまぎしてしまう

    神秘主義を嫌うのは
    惹ひかれているからこそ
    距離きょりを置こうとしているのかと
    自分を疑うたがい

    神秘主義的なものを目にして
    悪い感じがしないと
    やっぱりかと思う

    君の預言に
    僕はすっかり
    絡からめ取られてしまったのです

    2018.9.5.

    時

    思いがけず
    ぬっくりと出た
    隔へだたった塚つかの間あいだに
    埋うもれるかけら

    繁しげるる葉の向こう
    出ようとする光
    心地ここちよく
    またせつない

    にょろりと這はい
    蝉時雨せみしぐれの中
    干ひからびゆく
    居所いどころを忘れたままで

    2018.9.3.

    営いとなみ


    壊こわれたものは
    そのままにして
    眠ろう
    平たいらにされ
    日干ひぼしに慣なれ
    その分、残酷ざんこくになる
    いけない、いけない
    隠かくれよう
    そして少し休もう

    2018.9.1.

    夏


    コンクリートの橋の下
    誰かが笛ふえを吹いていた辺あたりを
    何度も眺ながめてみたのです
    その時の僕は
    途方とほうにくれていたのでしょう

    橋を渡り
    川辺かわべに降りると
    思いのほかススキが茂しげり
    両側とも背丈せたけを凌しのぐほどで
    大きなバッタが
    たくさん飛び交かっていました
    そんな場所があることを
    それまで知らず
    生き生きとしたバッタの力に
    目がくらむほどでした
    しばし呆ぼうぜんと歩き
    帰宅したのです

    後で何度か思いつき
    その川辺に
    行こうとしたのだけれど
    方向音痴おんちの僕は
    何かに化ばかされたように
    たどり着けたことがなく
    日照ひでりの中をさまよい
    途方とほうにくれるばかりです

    2018.8.31.

    両棲りょうせいの人


    乾かわきと湿しめり気けを
    あわせ持った
    あやふやな
    憎にくめない愛らしさ

    辛抱しんぼう強い足取あしどりで
    ぬかるみながら
    揺ゆれ動き
    旨味うまみを嗅かぎ分ける

    水鳥が
    勇いさましく飛び去り
    でたらめな光が
    交差こうさする沼地ぬまちで

    2018.8.30.

    心の虫


    縮ちぢんだり広がったり
    空間なのか平面か
    それとも線なのか

    バランスを崩くずすと
    静かに騒さわぎ出す
    そして
    背そむけて逃げて行く

    それでも欲よくが出る
    冷飯ひやめしのなんとうまいことよ

    208.8.27.

    黄昏たそがれ


    素朴そぼくな石に刻きざまれた
    文明の匂におい
    侘わびしい厚化粧あつげしょう

    沈黙ちんもくに包つつまれて 
    聞こえる足音あしあと
    すりへらし、へらして
    皆みな、窒息ちっそくしそう
    僕もその一人

    ビルの中の
    滑なめらかな石
    がらんとした人混ひとごみ
    寂さびしい古城こじょうを思い出す

    2018.8.23

    火花


    反逆はんぎゃくは虚むなしい
    成功しても
    膨大ぼうだいな厚あつみの上に
    新たな埃ほこが
    僅わずかに積つもるだけ
    それでも日々
    発火はっかする
    枯れた土の中からでも

    2018.8.22.

    渡河とか


    河かわを渡る決意の
    清々すがすがしさ
    土から逃のがれる歓よろこびに
    眩くらんでしまった
    するとベルが鳴なった
    足がとまった

    留とだまると
    水の気配けはいが肝きもに染しみる
    ぐにゃりと曲がり
    支えを失って
    体が震ふるえる
    思った事を
    悲哀ひあいとともに懐なつかしむ

    2018.8.20.

    燃もえさし


    何気なにげない午後
    ぼんやりと椅子いすに座すわっていた
    突然日差ひざしがなくなり
    左頬ひだりほほに壁かべがひっついた
    遠くの方から怒鳴どなる声がし
    横たわった僕は
    動くことを忘れたようだった

    記憶きおくは次に
    破やぶれた襖ふすまの前で
    泣きじゃくる
    子供へと飛ぶ
    あれは僕なのだろうか?
    自分の姿すがたを
    見た筈はずはないのに

    学生寮りょうの廊下ろうかで
    腹立はらだち紛まぎれに
    素麺そうめんの束たばを床ゆかに叩たたきつけ
    まき散ちらした
    風邪かぜ引きの男おとこ
    これはまあ僕だろう

    追憶ついおくの中の
    燃もえさし
    しっくりとくる
    隔へだたりのない事実には
    辿たどり着けそうもないけれど

    2018.8.18.

    声なき人


    川辺かわべに暮らす人
    沈黙ちんもくが力
    生活が道をつくる

    迷まよい込んだ路地ろじ
    粘ねばる衆人しゅうじん
    持久戦じきゅうせんへと誘いざなう

    沢さわを頼たよりに
    潤うるおしたら行こう
    もう夜よは明けた

    2018.8.16.

    方々ほうぼうへ


    薄情はくじょうな懐なつかしさ
    パサつく臭においや
    どよめく車内の心地ここちがする

    ざらつく舌触したざわり
    酸味さんみの中に
    ほのかな甘みがある
    とてもいい
    虫がざわめく
    方々へ
    向かう足音あしおとがする

    2018.8.12.

    隔へだたり


    流されて
    どこに向かう
    冷たい箱の中
    それとも
    ニジェール川のほとり

    そこで何を見る
    そこで何を見た
    分からない、分からない

    井戸の反射に眩み
    おもわず振ふり返る
    てんとう虫に笑われる
    明日をかたるなど

    アスファルトの煙けむりと
    土埃つちぼこりの匂におい
    交わることのない
    拡ひろがる古今ここんの謂いわれ

    やわらかいんだな
    マシュマロのように
    揺ゆらめくひとひら
    穴だらけの軌跡きせきで

    泡あわから生まれたものは
    泥と月え
    土から生まれたものは
    土へと還かえる
    分からない、分からない
    親の顔さえ、分からない

    208.8.10.

    憂うれい


    昨日まで
    新鮮だった靴下
    タンスの中で
    穴の空いた仲間を横目に
    実にしっかりとしていた
    なぎき
    新しく5組ほどが入り
    擦り切れ者をのかしたら
    今は古びて見える
    決して見劣りするのじゃない
    ただ清新せいしんさは消えてしまった
    友を見送った
    憂いのせいだろうか

    2018.8.9.

    不一致


    メダカを飼いたい
    メダカを飼いたい
    と言うのですが
    妻は乗り気でなく
    一緒に見には行ったのですが
    5種類のメダカを見て
    あれこれ説明したけれど
    妻の目はうつろで
    インド産の
    小さいフグのかわいさに
    見入っているのでありました

    2018.8.6

    弔とむらい


    バナナの皮よ
    あんなにしっかりと
    柔やわらかい実を包つつんでいた
    今はだらしなく
    手足てあしを投げ出し
    あとは捨すてられて
    ゴミ箱の中で
    茶色くなるのを待つのみ
    いま悟さとった
    お前を踏ふんで転ぶ
    古典的こてんてきギャグも
    弔とむらいの1つなのだと

    2018.8.5.

    匝


    僕の詩を見せると
    真剣しんけんに吟味ぎんみして
    ばさりと切り捨てる
    これいる?
    この言葉嫌い
    詩じゃない
    眠らせときな
    どうにも的確てきかくなので
    僕はうろたえて書き直す

    妻の助けなしに
    詩は完成しないのだが
    合作者にされるのは嫌らしい
    まぁ好きにしなと
    妻はしぶしぶ言っただけなのだ
    それでこんな詩を
    書いてみた次第しだいです

    2018.8.4.

    スリル


    寺の池で生まれた
    鯉こいの子供を盗ぬすもうと
    2人で忍しのび込んだ
    池の後ろの壁かべには
    窓やドアは見当たらない
    網あみを手にした
    僕らは夢中むちゅうだった
    何匹ほどとったろう
    そろそろ行くかと
    こそりと話していると
    たくさん取れたか?
    と声がする
    振ふり向くと
    壁かべの庇ひさしのすぐ下の
    細ほそい引戸ひきどから
    坊主ぼうずが覗のぞいていた
    僕らは慌あわてて走り去った

    2018.8.4.

    大丈复


    問題ないと
    呆あきれるほど繰くり返す
    答えはやってくる
    大抵たいてい思わぬところから

    2018.8.3

    おのずと


    すり潰つぶして残る
    ざらざらとした
    表れるモザイク
    曳ひき出される柄がら

    ふるい立つ歌声
    濁にごるハーモニー
    存分ぞんぶんに響ひびき渡れ
    舟まで届く様に

    椰子やしの薫かおりの中
    流れに身を寄せ
    それでも方角は
    独ひとり臨のぞむ辺りへ

    2018.8.2.

    何とはなしに


    しなるほど実って
    落ちこぼれた雫しずく
    憤いきどおる胸に滴したたる

    遠くを見る
    目的はなく
    ただ眺ながめる
    片隅かたすみにうずくまる
    頼たよりなさを抱かかえて

    ひまなふり 
    忙いそがしいふり
    楽しいふり
    苦しいふり
    そんなことする間もない
    のっそりと
    急いでいるのですから

    2018.7.30.

    散髪考さんぱつこう


    しゃきしゃきと
    細胞の連つらなりなりを切り
    体との繋つながりを絶たって
    落ちたものは
    さっさと掃はいて捨て
    細かいものは洗い流される
    何のおくやみの言葉もない
    しらじらしい
    細胞にも生命が宿やどるなんて

    2018.7.30.

    平凡へいぼん


    発光はっこうする
    今と昔の瞬間しゅんかんが
    話をしたり
    眠りこけたり

    こんがらがって
    足取あしどりを眺ながめていた
    がさつで熱がこもり
    隅々すみずみまで腐食ふしょくした

    強風きょうふうはおさまり
    屋根の下でうろつく
    外出を躊躇ちゅうちょしたまま

    2018.7.27.

    弔とむらい


    地表ちひょうから直ぐに
    染しみ込んだ液体
    忘れた頃に
    湧わき出してくる

    20年後の
    ほんの20秒程
    潤うるおしてくれればいいが

    行き倒だおれた人
    疲れ果てたのか
    殺されたのか
    腐くさりゆく

    弔おう、忘れずに
    ついこの前、200年程の間
    20万年分の地層ちそうが
    隆起りゅうきしたとしても

    2018.7.26

    ウサギ


    朝行くと
    小学校で飼っていたウサギが
    5匹ほど子供を産んでいた
    軟体なんたい動物の様なそいつらは
    板敷いたじきのケージの中に
    遠慮えんりょがちに動きながら
    転がっていた
    僕はわくわくして
    眺ながめていたのだが
    呼ばれた先生は
    何かつぶやいて穴を掘ほり
    ぐったりとした
    そいつらを摘つんで
    埋めたのだ
    先生は悲しそうにも
    怒っているようにも見えた
    何も尋たずねなかった
    誰にも言わなかった
    ウサギの世話は続いた

    2018.7.23

    水の音


    おぼつかない
    花火が上がり
    谷間たにまに響ひびく

    ひと呼吸して
    走り、立ち止まる
    煙けむりの匂においと
    雑踏ざっとうが混ざる

    目を閉じて
    聴きここえてくる
    水の音
    ざわめきの終わり

    2018.7.22.

    スカンク


    アスファルトの幸福
    火花を散ちらす
    山へ行こう 
    意いに添そわぬ喜びが
    硬化こうかを阻はばむ所へ

    生業なりわいが何であれ
    放浪ほうろうは続く
    良いも悪いもない
    驚くだけ
    恵まれている

    血の轍わだち
    揺ゆらぎの神学しんがく
    スカンクには敵かなわない
    流れと文字を横目に
    信号を待ちながら

    2018.7.18.

    響ひびく


    すかすかの街まちに
    置いてけぼり
    出口と思ったら入口
    さて始めるか

    風のない
    熱帯夜ねったいやは寝苦ねぐるしい
    らがらがと頭を振ふり
    おどけてはみたけれど

    ありがたい
    未いまだ一寸いっすん先は闇やみ
    音が響く
    歌い踊る拡ひろがりで

    2018.7.14.

    骨


    動き出して
    否応いやおうなしに押し寄せる
    汚水おすいと雨水うすいが混淆こんこうし
    濁流だくりゅうになる

    肯定と否定
    方角も場所も時間も
    全てが入れ替わり
    なお語りつがれる奇談きだん

    形なく広がり
    肉を腐くさらせる
    それでも骨は滑なめらかだ
    水晶製のまがい物だから

    2018.7.13.

    始まる


    はぎれのわるい街まち
    その場を凌しのぐ
    まあいい
    筋違しのいの常識で
    団結や不仲を招まねくより

    事実から具体性を
    言葉から意味を
    感情から熱を剥奪はくだつして
    引き出された
    猥雑わいざつなアップデート

    始まる
    勝手口かってぐちから潜もぐり込む 
    地下室と屋根裏の
    どちらでも暮らせるように

    2018.7.12.

    寝たふり


    傷は舐なめ合えば
    多少は良くなる
    そうならないのは
    舐めすぎるから

    自己と連帯と無
    責任の三角関係は
    罵ののしり合い、疲れ
    結束を恋する

    びびらずに
    逃げるに限る
    非難されたら
    寝たふりをする
    ぐうたらと呼ばれて

    石の上に3年もいたら
    あたたかくなる前に
    足腰あしこしが弱ってしまうね

    2018.7.11

    道


    掘り下げても
    見付からなかったのに
    遊んでいて拾ひろった
    アンモナイト

    紙一重かみへとえをすり抜けて
    生き延びた
    殺あやめ渉わたる
    双方そうほうともの末裔まつえい

    切れ間にl茂《しげ》る
    思いがけない物語
    もつれる新旧しんきゅうの形見かたみを
    じっくりと吟味ぎんみして

    踏ふみ出せば
    うねりが伝わり、進む
    妖あやしくはない
    当たり前の道

    2018.7.10.

    傍かたわらで


    喧騒けんそうとは無縁むえんの淀よどみみ
    どんな熱情ねつじょうの甲斐かいもない
    そのうちゴーグルをしても
    何も見えなくなるだろう

    言葉が雪崩なだれを起こす
    間違いは避さけられない
    かけらを集めて捨てる
    手ぶらが楽だから

    濁にごった大きな川
    櫓ろの支点してんを感じながら
    かすかな隙間すきまを探す
    岩塩がんえんが積まれた傍かたわらで

    2018.7.2

    出かけよう


    裸のヘビ
    裸の雲
    裸の犬 
    裸の靴くつ
    どれも似たり寄ったり
    王政が復興ふっこうしても
    裸はだかの王様はもういない

    泥水どろみずが染しみ込むところに
    アルコールを滲にじませても
    ちょっと匂においを嗅かぐだけで
    先に潰つぶれてしまうくせに

    夜の間に這はい回り
    かすかな湿しめり気を残す
    かわいくて憎たらしい
    はっきりとしないもの
    ブルドーザーで地獄を造り
    幻は狭間はざまで生き続ける

    ぬめりとしてどこにでも
    忍び込んでみたら?
    ずうずうしくうるわしく
    猫のように眠って

    出かけよう 
    とにかく出かけよう

    2018.6.29.

    交差点まで


    店頭に並ぶ
    花々から漂ただよう
    野草の香り
    アスファルトの隙間すきまの
    草の匂においと混じる

    突然なだれ込む
    さまざまな声
    進むのも遅れるのも
    そのままで
    芋虫いもむしとライオンを
    比べるのは品ひんがない

    |錆(さ》びた鉄に
    刻まれた飾り
    慈いつくしみと蔑さげすみが
    溶け合う場所から
    離れたい
    路地と山道の
    交差点の辺りまで

    2018.6.27.

    揺ゆらぎ


    使い古ふるされ晒さらされて
    忘れ去られた抜殻ぬけがらが1つ
    いったいどこへ行ったのかな?

    それは蝶ちょうなの?
    それともカブトムシ?
    土の中にいたの?
    それとも葉の裏に?

    意味ありげに軒下のきしたに
    転がっていたよ
    飛び去ったのか 
    行き倒だおれか
    見当がつかないな

    どこにも行きはしない
    隠れてもいない
    周りを飛んでいるのに
    誰も気付いてくれないの

    蝉せみではないの? 
    確かにね
    蝉なら見慣れみなれているものね
    行き倒れなんてそんなこと
    電車も車もある時代に?

    高速道路を通って
    川を渡って行けばいい
    私はいつまでも皆の中を
    飛び回っていますから

    本当は知っているんだよ
    みんな忘れているだけさ
    見ているけれど見えないし
    聞こうとしても聞こえない

    描えがいてみようと思うんだ
    その抜殻ぬけがらのぬしのことを
    なぜだろう?
    分からない
    そうしなきゃって思うんだ

    見てもいないし
    聞いてもいない
    そんなものをどうやって
    描こうっていうのかしら?

    私は蝶ちょうで、蝶は蝉せみで、
    蝉はあなたで
    あなたは甲虫こうちゅう
    蜘蛛くものように捕とらえなくても
    きっと描けるはずよ

    いつのまにか生はえている
    そんな風に
    やってみようと思うんだ
    できたらきっと見せるから

    そうしてね

    2018.6.25.

    峠とうげで


    離はなれると
    遠くに見える
    選えらんだものが
    ガラクタとして捨すてられ
    ゴミ屑くずから
    別の物が拾ひろわれる

    気を付けて
    浅瀬あさせを歩いて行きなさい
    深ふかみに手を取られないで

    遠くを見て
    もとの通りを歩く
    捨すてたもんじゃない
    またきっと交まじわる
    丁寧ていねいに進んで行けば

    山道やまみちを歩いて
    思いがけず海が見える
    ちょっと嬉うれしいね

    2018.6.24.

    きっと


    思い込み
    まわり道して
    立ち止どまる
    言葉にならない
    絡からまるばかりで

    明あかされると
    自然と影になる
    控ひかえめに寄ってみる
    潜ひそむものに
    ふれないように

    霞かすんだ向こう
    そう辛つらくはない
    きっとうまくやれる
    秘密ひみつを恐おそれなければ

    2018.6.20.

    そこから


    せつなにあふれ出し
    言葉が開かれる
    そこから
    必要なものをすくった
    残りのわずかな淀よどみ
    不具合ふぐあいな社交性しゃこうせい

    口火くちびを切るのは
    ありきたりのこと
    そこから広がった炎ほのうの
    燃えさしから漂ただよう
    煙けむりのにおい
    取り返しのつかない響ひびき

    2018.6.17.

    ありふれたこと


    身近なものが
    まとわりつく
    そうか400年前の
    あの仕返しかえしかと
    ふと思う
    ついこの前のこと
    猛威もういを振ふるう荒あらくれ者を
    手なずけて来たのは

    制せいぎょ御したいという
    ありふれた願い
    平穏へいおんにこそ注意がいる
    間まに合わせの凌しのぎ合いに
    捕とらわれてしまうから

    2018.6.14.

    轍の上で


    波立なみだつ水を眺ながめている
    とてもいい
    かつて老人ろうじんと呼ばれた
    そんなこともあったのだから

    つらい時を抜ぬけ
    苦にがい余生よせいを送る 
    そんな手触てざわり
    明あかすほどのこともなく
    隠かくすこともない
    かすかな甘い匂においいと共ともに
    ただこぼれるがままに

    2018.5.30.

    たまに


    雑踏ざっとうで耳をすます
    頭をからにして
    とき放はなつ
    そんなに難むつかしくない
    恥はずかしい事でもない

    なぜそこに転がるのか
    分からないものばかり
    散ちらばっているから
    通りに出て
    話かける暇ひまがない

    息苦いきぐるしかったら
    忘れるのもいい
    周まわりに注意を向け
    ゆったりと
    水の匂においをかいでみる 

    なんとも
    どうにもならない
    ありきたりの事
    でも嫌いじゃない
    ただたまに
    やるせないんだ

    2018.5.23.

    気楽に


    暴力的な事だ
    意見を持つというのは
    だから少ない方がいい
    どちらにも向けるように
    身軽でいたい

    なぜ選ぶのかと問われても
    答えようがない
    手垢てあかのついた言葉が
    道を塞ふさいでしまうから

    いやだからこそするのだと
    言い切るほどの度胸どきょうはないが
    せめて気軽に行こう
    小さな変化を
    見落とさないように

    2018.5.11.

    本当の事


    会わなければ分からない
    そのいやらしさ
    かわいらしさとか
    魅力みりょく的な瞳ひとみや笑顔えがおは
    幾多いくたの残酷ざんこくさを通とおって来た
    そこから残る力
    驚おどろくべき事
    見間違みまちがえようもない
    本当の事

    惹ひかれる事は恐おそろしい
    驚おどろいて距離きょりを置く
    そしてじっくりと噛みしめる
    息を整ととのえ
    近づくか遠ざかるかを決める
    間違えてはいけない
    本当の事を

    2018.5.10.

    悪くない


    従順じゅうじゅんでいよう
    吠ほえてみても仕方しかたない
    やれる事はある
    獲えるものはなくても
    爪痕つめあとは残る

    混まじり合ったらいい
    いっそ体液たいえきまでも
    ミトコンドリアが
    細胞さいぼうに入はいり込こんだように
    忍しのび込こんでみたい

    ほんの100年前の事も
    よくはわからない
    失うものは何もない
    行き交かえばいい
    笑われたって気にしない

    黙だまっていよう
    叫さけんでみても届とどかない
    歩いていって
    迷い込み
    共ともに笑らえるなら
    そう悪くない

    2018.5.6.

    自然


    体の内も外も
    自然の他には何もない
    溢あふれ出す過剰かじょうなもの
    いばらが外側から
    傷を付けるように
    内側からも
    なにものかが突きあがる
    管理に抵抗する頑固者

    自然は恐ろしい
    それを避けることはできないが
    多様な渦うずは姿を変えるから
    ゆっくりと目を閉じて
    耳をすませる
    なるべく間違えたくはない
    陳腐ちんぷなものを
    必然ひつぜんと思い込まず
    常識に惑まどわされないように

    2018.4.22

    心


    精神せいしんとか魂たましいとか心とか
    なんだか
    つかみどころがない
    だからといって
    精霊せいれいを信じるほど
    純朴じゅんぼくにはなれない
    本当は
    肉体だけなのだとしても
    留とどまることのない体内の営いとなみを
    捉とらえきれそうもないし
    合理ごうり的な文字の裏には
    神秘しんぴ的なものが 
    もぞもぞしている
    支えよう、それでも
    科学に寄りかかり
    たまに神頼かみだのみして
    のらりくらりと生きて行く
    他にしようがないのだから

    2018.4.19.

    今


    目の前の事に追われ
    じたばたすれば
    それでいい
    成果せいかを得えたと思った事が
    百年後に
    何を残すか残さないか
    見る事はかなわない
    今日をおろおろすればいい

    悲惨ひささに慣なれて
    壊こわれた自分を横から見ている
    そんな心持ち
    拳こぶしを振ふり上げて
    ついにひっくり返す
    そんな時、誰を殴なぐる?
    逃げる、逃げる、逃げる
    失われたものはそのままに
    自身が
    おぞましく化ける前に
    隠かくれてしまう
    そしてやり過ごす
    百年後の平穏へいおんを
    知るすべはないとしても
    せめて今、ここだけは

    目の前の事に追われ
    じたばたすれば
    それでいい
    成果せいかを得えたと思った事が
    百年後に
    何を残すか残さないか
    見る事はかなわない
    今日をおろおろすればいい

    2018.4.18.

    いい


    嘘うその中で寛くつろぐ
    時にはそれもいい
    本当の事ばかりでは
    辛つらくて仕方しかたないなら

    逃げ出すわけでも
    ごまかすわけでもなく
    ほんのちょっとの休息
    またゆっくりと始まる

    みじめな安らぎを捨すて
    嘘うそも真まことも携たずさえて行く
    責せめたりしない
    気がすむまで
    泣いたりして

    汚よごれた川を堰せき止める
    そんな事はやめて
    海へ出よう
    そこで無邪気むじゃきに
    笑えたらいいね

    2018.3.31.

    まだ


    いくつもの
    冷ややかな目に見つめられ
    はみだしたものが
    とまらなくなる

    塗ぬりつぶされた紙の裏に
    浮かび上がる絵
    表裏ひょうりを引き裂さく力ちからが
    忍しのびび込む

    逃げよう、隠かくれよう
    新しい芽めが出るのを待とう
    闘たたかいはまだ
    はじまったばかりだから

    2018.3.22.

    息づかい


    誠まことも嘘うそも晒さらされて
    明るみに出されたとしても
    ただ息づかいだけが
    伝わってしまう
    語る言葉がない時には

    輝かがやかしい光は
    ものを見えなくする
    そっと寄り添そって
    耳を澄すませる
    その温ぬくもりまで
    聞こえて来るように

    2018.3.20.

    ゆったりと


    日が暮くれる
    眠りにつく前に
    吐はき出そう
    隠かくす事など
    何もないはず

    夢を見ずに
    終わるかもしれない
    暗闇くらやみが訪おとずれる前に
    ゆったりと速度を上げて
    ほとばしる
    恥はじる事も誇ほこる事もない
    あるがままの姿すがたを

    2018.3.18.

    自由に


    待とう
    嵐が過ぎるのを
    人は昔から
    そんなに変わらないと
    そう思える
    ちょっとしたコツを掴つかみたい
    皆が少しづつ
    楽しくなれるような

    みにくさは
    そんなに捨すてたもんじゃない
    ちょっとした事で味わいは変わる
    受け止めたり、受け流したり
    遊ぶように転がって
    ほんの少しだけ
    自由になれたなら

    2018.3.8.

    自由に


    岩にぶつかりながら
    流される
    思う間もない
    漕こぎ進み
    どこかへ向かう事などは

    内でも外でも
    ぶつかり
    絡からまり
    しぶきを上げる
    間違えないように
    多様な波に
    中心などはないのだから

    2018.2.21.

    (詩・短歌6〜86+俳句、日付はinstagram (philosophysflattail)投稿日)

    この記事が参加している募集

    あなたへのおすすめ