
記事解説:AI疲労について
AIの過剰な利用が引き起こす「AI疲労」の実態が、ボストン・コンサルティング・グループやカリフォルニア大、ハーバード大などの共同研究で明らかになったという。
AI疲労は、AIエージェントの監視やAIのマルチタスクによって引き起こされる極度の精神的疲労と定義されている。米国のビジネスパーソンの14%がこの「AI疲労」を経験しており、特にAIを使う優秀な人材ほど深刻な影響を受けているらしい。結果、集中力の低下や意思決定の遅れが生じ、企業の生産性や人材定着に大きな影を落としているようだ。AIが自律的に高度なタスクを処理するようになると、人間の役割は単なる作業者から、AIのアウトプットを確認して、修正する監督者へと変化する。この絶え間ない監督作業は人間の記憶力と注意力を著しく消耗させ、従業員の精神的な負担を増大させるのが原因のようである。
ビジネスITの記事によると、具体的な症状として、頭の中にブザー音が鳴るような感覚や思考に靄がかかる「メンタルフォグ」、集中力の著しい低下、意思決定の鈍化など、さらに眼精疲労や頭痛、首の痛み、睡眠障害といった身体的・感覚的な疲労も確認されているという。これ、後者は最近のTwitterモニタリングで僕もなっているんだが⋯⋯。
3つのAIツールを並行して使用する段階で生産性はピークに達するが、4つ以上のAIツールを同時に稼働させるとタスクの切り替えによる脳への負荷が大きくなり、かえってパフォーマンスが低下するといい、また、多くのAIは過去のチャット履歴や指示のやりとりを記憶できないため、ユーザーは利用のたびにプロンプトやコンテクストを説明し直す必要があり、これがさらなる人間の脳の限界や精神的疲労を招いているという。「AI疲労」による意思決定の麻痺は、軽微なミスを11%、安全性や成果に関わる重大なミスを39%増加させると報告されている。
記事はAIの導入効果を最大化し組織やシステムの破綻を防ぐためには、AIツールの同時使用数に制限を設け、人間の思考を発揮するための「余白」を確保するワークフローの再設計が急務となっている――と結ばれている。
個人的に、生成AIは実用に耐えうるレベルに達しつつあるが、AIエージェントはまだ発展途上で、テスト運用の段階を超えていないのではないかと思っている。