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芋出し画像

画家

    た぀きち

    倏だった。
    䜙呜幎ず宣告されお、その幎が経過しおいた。
    䞻治医は「薬が合っお䜕より」などず適圓なこずを蚀うので、地元の病院に通うこずにしお、その最初の蚺察を終えおの垰り道だった。
    新しい担圓医は「すでに䜙呜宣告を受けた方にさらにいう気はありたせん」ず蚀いながらも「珟状では根治はないずいうこずだけは芚えおいおください」ず蚀った。
    「慰みでも䜕でもありたせん。私もあなたも明日死ぬかもしれないし、そうでないかもしれない」
    そう蚀う医垫は自分より10歳くらい幎䞋だろうか
    「僕はワヌカヌホリックを自認しおいたす。仕事を続けおいる間こそ僕は自分の生を実感するこずができたす。野口さんはどうですか」
    「そうですね。私も絵を描いおいる時ずお答えすべきかもしれたせんが、今は描きたいものがないですね」
    「それは残念だ」
    若いくせに仕草も返事も幎寄りくさい。そう思った。
    「未完成で終わらせるのも嫌なんです。新しく描き始めた途端に死んでしたったら、描けなくなったら、ず思うず新しい絵を描く気になれない」
    そう。かれこれヶ月、私は䜜品を描いおいない。
    毎日、窓から芋える景色のスケッチを1、枚しおは終わっおいた。
    ずころがちょうど幎目の日。朝目芚めた自分にホッずしたこずに察しお、愕然ずした。
    死ぬこずは芚悟できおいたはずなのに。
    そこでわざわざ電車を乗り継ぎ、病院ぞ行っお、䞻治医に話すず「おや。そうですね。ちょうど幎ですか。はやいですね。でも、こうしおお元気でいるずいうこずは薬が合っおいるずいうこずです。䜕よりですよ」ず満足気に語られた。
    力が抜けた。
    そしお、その薬は地元の病院でも出しおもらえるのか蚊ねた。
    「長距離の移動がい぀蟛くなるかわかりたせんから」
    医垫は5秒ほどカルテが映っおいるモニタ画面を芋぀めた埌「そうですねぇ」ず呟き䞀床頷くず「玹介状を甚意したす」ず蚀った。
    隣垂にできた倧孊病院に玹介状を曞いおもらい、そちらに通うこずになった。そこたでだったら今はただ車でも行ける。
    「実は僕、画集を持っおいるほどのファンなんですよ」担圓医が蚀った。
    そしおモニタの陰になっおいたずころからいく぀も付箋を貌られた分厚い本を取り出す。
    「ほら」
    数幎前の個展のノベルティである絵葉曞だった。
    「このシリヌズが特に奜きなんです」
    それは姪をモデルに描いた「春の少女」ずいうシリヌズだった。
    癜いワンピヌスを奜んで着る姪を春の様々な景色の䞭に眮く。
    「癜ワンピの女の子がいるだけで、幞せで穏やかな物語を感じたす」
    「ありがずうございたす」
    私は玠盎に瀌を蚀った。
    確かに「癜ワンピの女の子」の䞭にある物語性を私は描いおいた。
    「勝手に次は倏かなぁ、ず思っおいたんですけどね」
    圓時䞭孊生だった姪は今はもう倧孊生でアメリカ留孊䞭だった。
    い぀の間にか恥ずかしがっおモデルになっおくれなくなっお、そのたた「春の少女」のシリヌズは描かなくなった。
    「倏のワンピはノヌスリヌブがいいなぁ なんお思ったりしたんです」
    そう蚀っお担圓医は本を戻した。
    「研修医時代の僕・の心のオアシスでした」
    私はそれに察しお曖昧な笑みを浮かべるしかなかった。
    それから数日埌に蚪れた、い぀も画材を買いに行く店でその子ず䌚った。
    䜙呜宣告の期限を過ぎたこずず、あの若い担圓医が蚀った「私もあなたも明日死ぬかもしれないしそうでないかもしれない」ずいう蚀葉は、䜙呜宣告を受ける前も今も倉わらないものなのだず思ったら、やはり自分は絵を描くしかないずいう気持ちになった。
    「号でよろしいんですか」店䞻が蚀う。
    「うん。たぁ、リハビリがおら」
    倧䜓号以䞊の絵を描くこずを知っおいる店䞻は笑みを浮かべお頷いた。
    幎来なかっただけで店は少し倉わっおいた。
    「随分ずかわいいものを眮くようになったんだ」
    カラヌ芯のシャヌプペンシルを芋お蚀った。
    「知り合いが䜜っおいるんですよ」ずだけ店䞻は答えた。
    「でもそれのおかげかな若いお客さんも増えたしおね」
    店䞻は朚枠を持っお奥の䜜業スペヌスに入っお行った。
    私はキャンバス地にこだわりがあっお、ロヌルで買っおストックしおいる。
    キャンバスを買う時はその郜床、店䞻に匵っおもらっおいた。
    店䞻が奥に行くず同時に店䞻の劻が冷たい麊茶を持っお珟れた。
    「倧孊の矎術科の孊生が今幎から増えたみたいなんですよ」
    それもあっお若い客が増えた。ず劻は蚀った。
    「ふうん」ず冷たい麊茶を受け取り飲んでいたら、店に客がひずり蚪れた。
    それがシオンだった。
    癜いワンピヌスに麊わら垜子。ひず昔前、いや、もっず昔の物語に出おきそうな倏の女の子。
    私の姪にも少し䌌おいるが、姪よりももっず物語の䞭の女の子のむメヌゞがあった。
    「おやシオンちゃん。もう倏䌑み」
    店䞻の劻が声をかける。その蚀葉に頷くず「絵の具を買いに来たした」ず蚀った。
    ポケットからメモを取り出しお色を読み䞊げる。
    店䞻の劻はホルベむンの透明氎圩絵の具の棚から、蚀われた色を揃えおいく。
    そしお玙袋にそれらの絵の具を入れるず、女の子に向かっお「麊茶、飲む」ず蚊ねた。
    女の子が「いただきたす」ず答えるず「ちょっず埅っおおね」ず店の奥に入っおいった。
    「こんにちは」
    女の子は私に向かっお蚀った。
    「こんにちは。絵を描くの」
    「兄が描きたす。私はお぀かいです」
    ず蚀った。
    店の奥から、店䞻がキャンバスを持っお珟れた。
    「やぁ。シオンちゃん」
    春からの垞連だず、店長は蚀った。
    「この人は画家だよ」
    ずその女の子に私を玹介した。店長が私の名前を出すず「あ」ず女の子が声を出した。
    「知っおたす」
    ず蚀い「わぁ」ず声を䞊げ、続いお「どうしよう」ず萜ち着きなく呚りをキョロキョロず芋る。
    「倧䞈倫。時々こうしお店に来るからたた䌚えるよ」
    ず店䞻は蚀った。
    女の子はずおも嬉しそうな笑顔になった。
    笑顔が眩しいず蚀うのはこういうこずなのだろう。そう思った。
    店䞻の劻が麊茶の入ったコップを持っおきた。
    女の子は瀌を蚀っお受け取るず、䞀気にそれを飲み干した。
    「緊匵しお喉枇いちゃった」
    飲み干した埌恥ずかしそうに蚀った。
    女の子が店を出お行くのを私はずっず芋おいた。
    店の倖で麊わら垜子を被るず、トンず地面を蹎っお女の子は駆け出した。
    「描きたい、ず思いたした」
    店䞻が蚀った。
    私は黙っお頷いた。
    それがその埌幎続く、私の最埌の倏の始たりだった。


    先に曞いたこちらの話の前日譚です。

     
     
     
    或いは「達吉」/ 玹介するもの䜕もないんですよ/ こちらは100創䜜垢 AI䞍䜿甚 / 20230814で1000本達成/日蚘アカりント( https://note.com/tatsukichi_24_02)

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