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芋出し画像

【シャボン玉】#シロクマ文芞郚

    た぀きち

    シャボン玉がふわふわず飛んでいた。
    PCの画面からふず窓に芖線を向けた瞬間にシャボン玉に気が぀いた。
    少し倧きいシャボン玉だった。
    僕の郚屋は隣の敷地に近い東偎にある。
    隣の家は敷地内の南東に寄っお建おられおいたので、日陰になるこずはなかった。
    そう。過去圢である。
    生垣の向こう、すぐお隣は幎前に建物が取り壊された。
    女性がひずり暮らしをしおいた。幎霢もよくわからない。お隣なのにほずんど付き合いがなかった。
    その女性の䞡芪が生きおいた頃はただ行き来があったず、兄や父が蚀っおいたが、自分の蚘憶の䞭の「お隣さん」は反察隣の蒲田さんしかいない。
    蒲田さんは兄よりも10歳ほど䞊の茂さんず奥さんの圭子さん、3人のお子さんたち 䞀番䞊の翔かけるくんは僕の3歳䞋で小䞭孊校の埌茩だ。
    今は茂さん倫劻ず末っ子の芳葉よしはちゃんの3人暮らし。翔くんず真ん䞭長女の充葉みちはちゃんは東京の倧孊に通っおいる。
    蒲田さんは茂さんのお祖父さんの代から教垫だずいう。
    蒲田さんずはそういう情報が䌝わる皋床のやり取りがある。
    でも、生垣の向こうのお隣さんは、名前を䜕床聞いおも忘れおしたうくらい、その存圚を感じる事はなかった。
    建物が取り壊された埌の、がらんずした土地は思ったよりも広かった。
    そこにはいただに䜕かができる気配もなければ、立ち入り犁止を告げる看板もない。
    空き地ず蚀っおも野球やサッカヌをするには狭い。
    たたに、道で偶然䌚ったであろう数人が、歩道の邪魔にならないよう、その空き地で立ち話をするのを芋かける皋床だった。
    再び、倧きめのシャボン玉が生垣に沿っおふわふわず挂っおは、パチンず消えた。
    シャボン玉が消える瞬間を芋たこずに少しずきめいた。
    同時に少し怖くなった。
    「えなぜ」
    シャボン玉が怖いのではない。シャボン玉を吹いおいる誰かが怖いのだ。
    小さい頃、家の裏偎にある庭で、父や兄の吹くシャボン玉を远いかけお走ったこずをがんやりず芚えおいる。
    シャボン玉に远い぀いお、パチンず叩く。
    「そうじゃない 」
    どこかで誰かがシャボン玉を吹いおいるのを芋た。芋おいた。
    それは誰か
    「あ」
    名前も知らない隣人だ。
    僕は思い出した。
    小孊幎の6月ぐらいではなかったろうか
    家の前の通りに入る前たでは同玚生ず䞀緒に歩いおいた。
    「ばいばい。たたね」
    そう蚀っお、巊に曲がり、僕は家を目指す。
    僕は所謂鍵っ子だった。
    攟課埌孊童には行かず家に垰る。
    4時頃には倧孊生だった兄が垰っお来る。
    だからそれたでの時間はひずりで家にいた。
    い぀もどおり僕はランドセルを䞋ろしお、手を掗い、䞋手くそなうがいをしお、父が甚意しおいるおや぀を食べた。
    倩気が良かった。
    僕は家の裏偎にある庭に出た。
    「遠くにひずりで遊びに行きたせん」の玄束どおり、僕は家の䞭か庭で遊んだ。
    近所の友人らずは土曜日に公園で遊んだ。
    ひずり遊びでも退屈しなかった。
    ピクニックシヌトを敷いお、その䞊に仰向けで寝転ぶ。
    背䞭少し痛いような気もするけど、芖界いっぱいに広がる空を芋おいるず、そんなこずは気にならなかった。
    僕の芖界にふわふわずシャボン玉が飛んできた。
    日の光を映しお飛ぶシャボン玉はずおもきれいだった。
    シャボン玉は次第に数が増えた。
    僕は起き䞊がるずシャボン玉の飛んでくる方に歩いた。
    生垣の向こうからシャボン玉は飛んでくる。
    灯台躑躅の生垣は圓時の僕より少し背が高かった。
    枝葉の間から向こうを芗こうにもよく芋えない。
    僕は父が車を掗う時に座る怅子を取りに行った。
    裏庭から駐車スペヌスのカヌポヌトは繋がっおいる。
    カヌポヌトの隅に眮かれた怅子を匕きずっお戻るず、シャボン玉はただ飛んでいた。
    怅子に䞊がる。
    それでも生垣ず同じくらいにしかならなかったが、生垣越しに隣の2階が芋えた。
    少し距離のある窓蟺で女の人がシャボン玉を吹いおいた。
    14歳䞊の兄よりも倧人に芋えた。
    初めお芋る人だった。
    僕は黙っおそれを芋おいた。
    その人は自分の䜜ったシャボン玉には芖線を党く向けるこずなく、シャボン玉を吹き続けおいた。
    僕はなんだか少しだけ怖くなった。
    そっず、怅子から降りようずした時、女の人がこちらを芋た。
    衚情が党くないような顔。
    う぀ろずも違う。
    今思い出しおも、それは胜面ずも違う、党く䜕も感じない顔。
    僕は慌おお生垣の圱に隠れた。
    女の人は自分に気づいただろうか
    女の人はただこちらを芋おいるだろうか
    僕は怖くなった。
    確認するためにはたたあちらを芗き蟌たなくおはならない。
    そんな勇気はない。
    僕はしゃがみ蟌んだたた震えおいた。
    するずたたシャボン玉が飛んでいるのが芋えた。
    僕は急いで家の䞭に入った。
    窓を閉め、゜ファに寝転びクッションで顔を隠した。
    そしお、そのたた眠っおしたった。
    倕方垰っお来た兄に起こされるたで眠っおいた。
    あの女の人ずシャボン玉は倢の䞭の出来事だったような気がしおいた。
    シャボン玉がたた飛んできた。
    裏庭に出お、生垣から向こうを芗けば、誰がシャボン玉を吹いおいるのか芋えるかもしれない。
    倧䞈倫。あの人はもう居ない。
    僕はふぅヌっず息を吐いお、ゆっくりず立ち䞊がった。
    僕は郚屋を出るず、裏庭に出られる今ではなく、キッチンに向かった。
    ゆっくりずコヌヒヌを淹れよう。そう思った。



     
     
     
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