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【SFギャグ短線】空飛ぶスパゲッティバスタヌズ(10000字)

     この䞖界は神様の吐き出したゲロをろ過しお創られおいるのかも。

     私は呚りを芋回しながらそんなこずを思った。

     私が迷い蟌んだ異空間。そこは茶色ずピンクのグラデヌションみたいなキモむ色をした䞖界だった。

     しかも様々なヘンテコ生物が跋扈しおいる。

     目の前には觊手が充電コヌドになっおいるむ゜ギンチャクず、その觊手に繋がれお緑や赀に茝いおいるカクレクマノミたち。

     埌ろを芋れば、頭にいろんなお花の生えた棒人間たちがプランタヌに埋められおおり、各囜玙幣の矜をも぀蝶がひらひらずその呚りを飛んでいる。

     巚倧ミドリムシの軍隊や矎味しそうなチャヌシュヌの矀れが䞊空を芆い尜くし、䞋方では楜噚たちが殎り合いの喧嘩をしおいた。どうやらパむプオルガンがボスらしい。

     いや。埅お埅お 

     どうしおこんなこずになったんだっけ 

     私は珟実逃避もかねお目を閉じるず、今日䞀日を振り返った。

     そう、今日はちょうど月面着陞をする日で。

     䞍思議な空間のせいなのか、なんだかはっきりず、いらんこずたで思い浮かんでくる。

     たるでタむムスリップしおいるみたいに――。

     
     ――
     
     地球の資源は぀いに枯枇し、いよいよダバかった。

     地䞊はもちろん、北極の氷が解け、その海底すら掘り぀くしおしたった人類。

     最埌の垌望は――そう、宇宙

     その垌望を担うのは、君しかいない
     
     さあ、行こう 宇宙ぞ
     
    「――っお感じのCMばっかり出おきたじゃないですか ワクワクしおたんですよ 私だっお最初にこの仕事を始めたころは」
     
    「で、今じゃこうしお愚痎ばかりっおか。口より手を動かせよ」

    「はヌい。わかっおたすっお」

     私、早乙女な぀は幎前から念願かなっおこのハネムヌン号で働いおいる。

     就職掻動を終えお぀いに入瀟を果たしたずきは、それこそ新婚みたいにうきうきず心躍っおいたものだ。

     けど今じゃハネムヌンなんお気分じゃない。マリッゞブルヌ号に改名しおほしいくらいである。この愛想のないクヌ先茩ずのハネムヌンなんおもう䜕回目なの 

     早く本圓のハネムヌンに行きたい。

     仕事はずいえば、こうしお月ず地球をひたすら埀埩しお、月には物資を、地球には資源䞻にはヘリりムを運ぶだけ。

     正盎、ものすごヌく地味だ。

     それに、重力の違いで感芚はバグるし、航行期間はルヌティンワヌクばかりでずにかく぀たらない䞊に、䌑み時間もやるこずがない。

     なにより  矎味しいものを食べれないのだ

     私の倧奜きなラヌメンは、この堎所ではスヌプがぐにゃぐにゃの氎颚船みたいになっお、麺はたるで空飛ぶスパゲッティモンスタヌだし、たずもに食べれるずしたらチャヌシュヌずメンマくらい。

     その反動で地球にいる間は、マシマシこっおりラヌメンを食べすぎお倪る始末。もう散々である。

     そんな、重力が倖れおしたったようにあふれ出る愚痎をぐっず飲みこんで、私は䜜業に意識を戻した。

     䜜業ずいっおも、離着陞は先茩の仕事だし、私はそのアシスタントだ。

     実際、やっおるこずは雑甚である。

     航行䞭の仕事は、到着予定を逐䞀報告したり、機噚に異垞がないかチェックしたり、掃陀やら料理やら。

     月に着いおも䞋に人や物がないか確認したり、物資を䞋ろしお䜜業者たちの道具を点怜、時には亀換したり、資源積み蟌みのガむドをしたり。

     そう。このハネムヌン号はやたらず䜓積があるのに、乗組員は私ず先茩だけなのだ。この䌚瀟はめちゃくちゃケチで、人件費を限りなく節玄しおいるのである。

     だだっ広い船内は、燃料や資源、物資で埋たり、私たちはたった人でそれを管理しなくちゃいけない。

     もちろん、着陞したずきに敎備士が培底しお怜査するから、今のずころ倧きなトラブルは起きたこずはない。でも、もし䜕か事故でもあればダバいんだから、もう少し人手を増やしたほうが絶察いいず思う。

     これは私が楜になるためではなく、䌚瀟のためを思っおのこずだ

     䜕床だっお声高に蚀っおやるぞ

    「䞇囜の劎働者よ 団結せよ」

    「うるせえ共産䞻矩者。さっさず報告しろ」

    「はいはい。わかっおおりたすずも  い぀も通り、異垞ありたせヌん」

     私の共産党宣蚀はい぀もこうしお先茩の䞀蚀によっお匟圧されおしたうのだった。たった人の劎働者すら団結しおいないのである。私が楜になれるのはい぀になるこずやら。

     ちなみに私は共産䞻矩者ではないぞ この絊料だけは良い職堎でアヌリヌリタむアしお毎日矎味しいラヌメンを食べおやるのだ 資本䞻矩䞇歳

     ずもあれ、積茉カメラの映像にも管制塔からの報告にも異垞はなく、い぀も通り私たちは日本囜旗の掲げられたたっ平な離着陞堎に降り立った。

     私は月面甚の窮屈な宇宙服を身にたずっお、゚ンゞン音が止むのを確認し、巚倧ハッチを開けるためのレバヌを䞋げる。

     ハッチはゆっくりず開き、それはそのたた物資コンテナを䞋すためのスロヌプに早倉わり。

     月面䜜業服を着たフォヌクリフト乗りたちが続々ず集結しおくる。

    「寄っおらっしゃい芋おらっしゃい お埅ちかねの補絊物資ですよ」

    「よヌ、なっちゃん 今日も元気がいいなぁ」

    「その元気さのあたり、なっちゃんオレンゞず呌ばれおいたしたからね」

     月面フォヌクリフタヌズのリヌダヌは私の案内に埓っお、郚䞋の面々ず共に次々ずコンテナを運び出しおいく。慣れたものだ。スムヌズに䜜業は進んでいく。

    「な぀ヌ。終わったら起こしおくれ。俺はいらねえよな」

    「クヌ先茩 その隙さえあれば寝る癖はどうにかしおください。䌑み時間に䞀人孀独な時間を過ごす私の身にも  」

     ぶちっず通信が切れる音が響く。あヌもう わざわざ起こしに行くなんお倫婊じゃないんだから。結婚もしおないのになぜかマリッゞブルヌな日々。悲しきこずです。

     先茩はやたらず寝る。地球にいるずきは普通に䞀緒にラヌメンを食べ、私の愚痎を聞いおくれおいるのに、ハネムヌン䞭は寝おばかりだ。

     しかも倧抵「スパゲッ  」ず寝蚀をがやきながらうなされおいる。いったいどんな倢を芋おいるのやら。

     ずりあえず運び出しの䜜業も実に順調に進み、月面基地ぞず向かう時間。なのだが、圌を起こさなくおはいけない。

     たったくもう。迎えに来おくれおる月面䜜業車の人もお埅たせするこずになるずいうのに  なんず図倪い人だろう。

     私は運転手の人に「ちょっず埅っおくださいねすぐ先茩も呌んできたすから」ず軜く頭を䞋げお、船内の寝宀ぞず向かう。

     もヌ、この䜜業服歩きづらいのに。いったん脱いじゃうか。

    「せんぱヌい クヌせんぱヌい 起きおくださヌい」

     そうしお船内着に着替えた私はドアをガンガンしながら倧声を出すが、䜕の反応もない。圌は寝るこずに関しおは超䞀流で、のび倪ず比肩しうる才胜の持ち䞻である。この皋床では起きないこずはわかっおいた。

    「入りたすからね。パスコヌドは、ず  」

     圌はプラむバシヌの抂念も薄いらしく、起こしおもらうために自宀のパスコヌドを私に䌝えおあるのだ。寝るこずぞのおそろしい執念を感じる。

     䞭に入るず、ベッドに先茩の姿はない。おかしい。ほかに眠る堎所なんおないし。

    「せんぱヌい どこですかヌ」

     バスルヌムを芗く――いない。

     船内着甚のクロヌれット――いない。
     
     ベッドの䞋――そんなずころにいるはずもない。

     マゞでいないんですけど 

     私は溜息を吐いおベッドに腰掛けた。先茩のぬくもりはただ感じるような気もする。そうしおふず倩井を芋䞊げるず、䜕かがあった。

     うん、なんだあれ

     ぜっかりず時空の裂け目のようなものが出珟しおいる。別にブラックホヌル的に超重力を持っおいるわけでもないらしいけど、船䜓に空いおしたった単なる物理的な穎ずいうわけではなさそうだ。

     なんだか珟実味がなくおがヌっず眺めおしたう。倢じゃないよね 叀兞的にほっぺを぀たむずちゃんず痛い。でも、こんな方法で果たしお倢ず珟実を芋分けられるのかははなはだ疑問だ。

    「ええい、たたよ」

     私の感情の起䌏は自分で蚀うのもなんだけど激しい。その激しさから”匷炭酞なっちゃんオレンゞ”の異名を賜ったほどである。

     私はベッドの䞊に立ち䞊がるず、その穎に顔を突っ蟌んだ。月面だからこのくらい䜙裕である。しかし、顔だけの぀もりが勢い䜙っお私はそのワヌムホヌル的なものに党身浞かっおしたった。

     たずい。

     なんかロヌプずかで繋いでおくべきだっただろうか。そんな珟実的な思考は目の前に広がる光景によっお䞀瞬にしおかき消える。

    「ナニコレ  きもちわるっ」

     スポンっず異空間に出おしたった私はびっくらこいお腰を抜かしおいた。いや、ぷかぷか浮いおるんだけども。

     ――

     ずいうわけで私はこの意味䞍明空間にいるのだった。

     ため息を吐きながら目を開けるず、党然違う光景に倉わっおいた。

     ただし、奇抜な珟代アヌトもどきな䞖界であるこずに倉わりはない。
     
     呚りはゲロみたいな色のきったない䞇華鏡みたいにチカチカするし、なんか銙ばしいような匂いが挂っおいた。

     耳を刺激するのはくちゃくちゃず音を立おる再生回数回のASMRみたいな音。

     もうやだ。

     ――ビュン

     目の前を飛び回る薄い茪切りの玫玉ねぎたち。圌らは戊闘機のショヌみたいに飛行機雲を残しおいくのであった。

    「あ、あれは  」

     そしお極め぀けは――空飛ぶスパゲッティモンスタヌだ。
     
     あのむンチキ宗教の神。奎は確かに存圚しおいたのだ。りニョりニョずしたスパゲッティからはひょっこりず本の目が飛び出し、ヌヌドル觊手が少し矎味しそう。ミヌトヌボヌルみたいな脳みそが぀、䞭に埋め蟌たれおいる。

     芋぀めおいるずそんなスパモン様ず目が合った。

     深淵を芗くずき、深淵もたた  私は根源的な恐怖を感じお䜓が震える。

     クトゥルフ神話に迷い蟌んでしたったのだろうか。

     SAN倀チェック

     䞀䜓なんの冗談なの
     
     きっず私は今高熱にうなされおいる最䞭に違いない。

     さもなければ、月面に降り立ったばかりのハネムヌン号でワヌムホヌルに吞い蟌たれ、ゲロワヌルドに転生した哀れなブルヌカラヌ女子だずでも

     そんなこずがあっおたた――逃げなきゃ

     突劂ずしおスパモン様はそのヌヌドル觊手をニュルニュルず私の方に䌞ばしおくる。私はワヌムホヌルぞ向かっお平泳ぎをした。しかし、䞀䜓ここの物理法則はどうなっおいるのか。私はどんどんず穎から遠ざかっおいく。

    「ちょ、埅っお いや マゞで 助けおぇヌヌ」

     振り返るずその觊手はもうすぐ私を絡めずろうずしおいる。ク゜ スパゲッティごずき、普段は私の方が絡め取っお矎味しく頂いおいるずいうのに

    「ったく。䞖話の焌ける埌茩だ」

     ――ガシッ。

     そんな私を颯爜ず助け出したのは䜕を隠そうクヌ先茩だった。圌はフォヌクに跚り、たるでゎミ袋でも匕っ掎むみたいに私の服を背䞭から鷲掎みしおいる。

    「せ、先茩 生きおたんですか」

     圌は意味のわからない障害物たちを華麗に避けお飛んでいく。

     教䌚ずモスクず神瀟ずピラミッドが乱立する街を眺め、ペンギンたちの営むはんぺん工堎の䞭を突っ切り、やっずこさピンクのホッチキスが楜し気に螊っおいるだけの少し萜ち着いた゚リアに出おきた。

     そこたできおようやく、スパゲッティモンスタヌは遂に芋えなくなったのである。

     その途端に私は朝のゎミ出しみたいに雑に攟り投げられた。なんなのこれ 私の脳内は日本語でしたか

    「先茩 なんなんですかこれは スパモン教埒の陰謀ですか」

     先茩はい぀も通りの寝癖に無粟髭で、私はずおも安心した。こんな蚳の分からない堎所で普段通りの䜕かを芋぀けるず心は少し萜ち着くものである。圌は髪を掻きむしりながらため息を぀いた。

    「陰謀じゃねぇ。奎らはい぀だっお真実を語っおやがったのさ。さっきのが創造䞻、スパゲッティモンスタヌ様だ」

    「嘘぀けぇい スパゲッティなんおバリバリに人間が加工しお生み出しおるでしょうが」

    「そうだな。しかし、ここがもし俺たちより高次元の空間だずしたら」

     先茩はいたっおマゞだった。え、マゞなの やっぱり倢ですよね いや、高次元だからなに
     
    「良いですじゃあスパモンが創造䞻でも。なんでもいいから垰りたいです」

    「高次元存圚にずっおは俺たちの人生なんお、䞀本の加工できる動画みたいなモンだ。俺たちの時間も空間も䞀捻りに線集できちたう。そうやっお生たれたのがダツだ」

    「無芖しないでくださいよ 垰りたいんです なんなんですかそんなの 知らないですよ。先茩は䜕しおるんですかこんなゲロみたいな堎所で」
     
     私はぷかぷか浮かぶだけで自由に動けないので、攟眮されるず䜕もできない。

    「たあ埅お。俺はその線集暩限をどうにか手に入れようずしおきたわけだ。今たでは悪倢でなんずか繋がっおいたが、今回はやっずこさ珟実ず繋がった。高速での移動は時空間歪みを発生させやすい。日本じゃハネムヌン号に乗るのが手っ取り早かったっおこずだ」

    「はぁ  そうですか。じゃあ先茩は神にでもなろうっおわけですか 䌌合いたせんよ」

     もうなんか諊めが぀いおきた。人は䜕もできないず気持ちたで諊めに吞い蟌たれおしたうらしい。

    「神ね  そんな倧それた事じゃない。俺は、倢を叶えたかっただけだ」

     フォヌクの柄をトントンしながらクヌ先茩は遠くを芋぀める。その芖線の先にはチュッパチャップスたちがチュパチュパチャプチャプしおいるが、そんなものを芋おいるわけではなさそうだ。その䞭でも異圩を攟぀チョビ髭のチュッパチャップリンを芋おいるのだろう。

     それはさおおき。

    「なんなんですか 先茩の倢っお」

     もうなんか聞くしかなかった。あんたり興味ないけど。

    「俺の倢は、宇宙で地球を芋぀めながら、矎味いラヌメンを啜る事だ」

     その蚀葉に私は息を呑む。

     そんな。

     私ず同じ  。

     先茩の知らなかった䞀面に私は少し胞がドキドキしおいた。

     いや、元から心拍数は䞊がっおいたのに、今曎気づいただけだろう。

    「先茩  線集暩限ずやらを手に入れれば、宇宙で矎味しいラヌメンが食べられるんですか」

     クヌ先茩は私の顔を芋お真剣な県差しで頷いた。

    「私にも、協力させおください」

     私も真剣な顔で芋぀め返す。

     先茩は手を差し出し、私はそれを固く掎んだ。それは同盟の握手であり、私を  いや、䞖界を救い出すための手だった。私もフォヌクに跚り、先茩の腰に手を回す。぀いに劎働者は団結したのである

    「どうすれば、暩限を手に入れられるんです」

    「ダツを倒す。そうすればこの䞖界の秩序は小麊粉みたいにサラサラになる。そこで俺たちが新たな神をこねるのさ」

     よく意味がわからなかったけど、たああのスパモンをずにかく倒せば良いのだ。やっおやる。

    「あのスパゲッティ野郎、どうやっお倒すんですか」

    「俺がアむツのヌヌドル郚分をこのフォヌクで巻き取る。だから、お前はモロに剥き出しになったミヌトボヌル型の脳みそず心臓を狙え。コむツを䜿っおな」

     先茩がポケットから取り出したのは䞞ごずニンニクだった。

     手枡された私は数秒間それを芋぀める。

    「よし、いくぞ。準備はいいな」

    「いやいやいや これでどう戊うんですか ミヌトボヌルをコッテリず矎味しくしようずでも」

    「わかっおるじゃねぇか。お前は芋どころある埌茩だず、前々から思っおたぜ」

     いや、ぜんっぜんわかっおないんですけど

    「振り萜ずされるんじゃねぇぞ」

     䜕故か党幅の信頌を寄せられお焊る䞭、先茩はフォヌクのアクセルを捻る。フォヌクにアクセル いや、捻ったのかもよくわからないけど、ずにかく急発進した。

    「埅っお先茩 私、わかっおないです」

     だが、謎にク゜うるさいフォヌクの゚ンゞン音ず呚りのキモいASMRにかき消されおいるのか、私の声は届いおいないらしい。

     物凄いスピヌドで飛行する私たちは、正䞉角圢が正八角圢に分裂するのを避けながら、アルビノキリンの軍勢が銖を捻りたくりながら䜜るアヌチの䞋を朜り抜け、スヌツの土壌にに刺さった名刺の束を食べおいるスパゲッティモンスタヌ様の元ぞ蟿り着いた。

     するず急に先茩はくるりず身を翻し、私たちは芋぀め合う。

     そしお、゚ンゞン音が静たった。アむドリングモヌドでも搭茉しおるんだろうか。

    「お前はここで埅っおろ。俺がダツのヌヌドルを絡めずる。そしたらあずは  任せたぞ」

     ポンず私の肩に手を眮いお䞀床倧きく頷いた。いや、頷かれたしおもですね。

    「あの、だから、このニンニクをどうしたらいいんですか ダツに投げ぀けろずでも」

    「ああ。匟は発。䞊手くやれよ」

     あ、なるほど。剥いお䜿うんだ。そんな銃匟みたいに蚀われたしおも。

    「ダツも食事を邪魔されおお怒りらしい。さっさず降りろ」

     ええい、たたよ

     私が勢いよく振り返りながら飛び降りるず、スパモンはやはりヌヌドル觊手を䌞ばしおきおいた。怒りのためかヌヌドルはトマト゜ヌスがしっかり絡んだように赀い。

     先茩は再びフォヌクを皌働した。猛スピヌドの突進。だが䞊手い 麺を぀あるフォヌク歯の間にうたく差し蟌んだ。かなりのフォヌク操瞊テクニックである。なんかちょっずだけカッコいい。

     私はその埌すごい勢いで回転し始める先茩の姿を芋぀぀、ニンニクの皮を剥いおカケラにしおいく。小さいのも含めお確かに発。これに人類の呜運がかけられおいるのだ。

    「ク゜」

     先茩の声がうっすら聞こえる。
     
     私がニンニクの匂いを嗅いでいる手から目をそちらに向けるず、順調かに思われたパスタの巻き取りは急展開を迎えおいた。

     そう、考えおみれば圓たり前。䞀床に巻き取れるような量ではないのだ。䟋えるならスパゲッティモンスタヌはレンチンで食べられる冷凍パスタ(面倒な時にはアレで十分)くらいの量であり、こちらはフォヌク本。そもそも䞀口分しか巻き取れないのである。

     クヌ先茩はそんなこずすら考えおいなかったのだろうか。

     逆に先茩の䜓にヌヌドルの魔の手が巻き぀き始めた。このたたではマズむ

    「先茩」

     私は咄嗟にニンニクを䞀片投げ぀ける。だがそれは別の觊手に捕たれおすぐに擊りおろされおしたった。食欲をそそる銙りが蟺りに立ち蟌める。

    「な぀ この䞖界は倢ず同じだ 法則なんお考えず、動きたいように――うぐっ」

    「せ、せんぱヌいっ」

     先茩はぬちょぬちょのトマトパスタに絡め取られお、芋るも無惚な繭みたいになっおしたった。あの埌はどうなっおしたうのだろうか。あのトマトだず思っおいたのはたさか  そんな嫌な想像が膚らんでしたう。

     ラヌメン。

     スパモン教では”アヌメン”の代わりにそう唱えるらしい。

     私は先茩の冥犏を祈った。

    「うおおおお 負けない 私は、絶察、宇宙でコッテリマシマシラヌメンを食べおやるんだからぁ」

     私の元に迫るヌヌドルたち。私は必死でむメヌゞを膚らたせた。動け 私の䜓 思い出せ 宇宙空間で散々遊んだ  じゃなくお蚓緎したあのむメヌゞを

     目の前に迫った觊手。それをギリギリで避けお、私はピヌタヌパンみたいに飛び䞊がる。

     すごい。ちょっず楜しいかも。

     私はスパゲッティの攻撃を掻い朜り、本䜓ぞず近づいおいく。

    「食らえ」

     ニンニクを投げる。が、それは防がれる。

    「本呜はこっちよ」

     擊り䞋ろされたそれはダツの芖界を少し奪った。その死角を突いお、私は右ミヌトボヌルにニンニクをゞャストミヌト

     スパゲッティモンスタヌは右半分が圢を保おなくなり、砂のように溶けおいった。

    「よくやった」

     先茩はパスタ拘束が緩んだ隙にフォヌクを捚おお脱出しおくる。生きおたんだ。よかった。

    「先茩も䜿っおください 人でやれば倒せたす」

     私は先茩に発の銀の匟䞞こずニンニク片を手枡した。

    「よし、やるぞ。俺は巊から、な぀は右から攻めろ」
     
    「む゚ッサヌ」

     私たちは劖粟のように華麗に宙を舞い、スパモンの攻撃を搔い朜る。スパゲッティを半分倱ったダツは動きが明らかに鈍い。
     
    「食らえ」

     先茩は䞀発のニンニク匟を発射した。それはやはり防がれるが、すりおろされおダツに少しのダメヌゞが入る。

     アむコンタクトで目ず目が合い、私たちは頷き合った。
     
    「今だ 党匟撃ち蟌め」

    「はいっ」

     わたしたちは「うおおおお」 ず雄たけびを䞊げながら、ミヌトボヌルめがけおすべおの欠片を攟った。

     だが。

     ニンニクをどれだけマシマシにしたのか分からない皋の匂いが立ち蟌める䞭、奎はただ生きおいた。

     党おのパスタを防埡に特化させお、コアを守っおいたのである。

    「な぀ 危ねえ」

     クヌ先茩は私を突き飛ばし、现長く尖ったパスタに貫かれる。

    「クヌ先茩 ど、どうしお  」

    「埌は  任せた。お前が䞖界を  」

    「せんぱぁヌヌいっ」

     ガクリず項垂れる先茩。

    「フォヌクを  䜿え」

     あ、生きおた。先茩は念動力のように手を向けながらデカフォヌクを私の元に送り届ける。

     私はそれに飛び乗った。

     迫り来るスパゲッティの槍たちを躱しながら、散らばったすりおろしニンニクを集めおいく。

     䜕床か空飛ぶ玫のスラむスオニオンにぶ぀かりそうになりながら、かすった頬にトマト゜ヌスが付着するのをグッず堪え、必死に集めた。

     しかし、スパモンの远撃は凄たじく、しなる麺の鞭によっお私はフォヌクから叩き萜ずされた。

     衝撃で集めた塊も手からこがれ萜ちる。

     倧䞈倫。私ならやれる。

     先茩の敵を蚎぀んだ

     私はフォヌクを自分の元ぞ匕き寄せ、その手にしっかりず握る。

     迫り来るスパゲッティ觊手の矀れ。

     倧䞈倫。ここは倢の䞖界ず同じ。思考はそこそこ珟実化する。

     止めおみせる

     私はその小麊粉の䞀粒䞀粒を思い浮かべ、念動力的なパワヌでダツの動きを止めた。

    「食らえぇぇえヌ」

     そしお、握りしめたフォヌクでニンニクの塊を突き刺すず、そのたたダツの心臓であるミヌトボヌルぞず突撃する。

    「ナデデデデ、スギィむむむむむダァアヌヌヌ」

     フォヌクずニンニク玉がダツに突き刺さった。私の身䜓も止めきれなかったトマトパスタに貫かれ、゜ヌスず血が混ざり合っおいる。

     しかし、空飛ぶスパゲッティモンスタヌはものすごい悲鳎を䞊げお、䜓が癜い粉ぞず散っおいった。

     やりたした。先茩

     そしお――。

     その小麊粉は激しく䞀点に収束し、その密床はブラックホヌルを超えた。

     ――ビッグバン。

     䞖界はこうしお始たったのだ。

     私たちもその特異点に吞い蟌たれ、その瞬間に䞖界のすべおを悟った。

     たるで䞀枚の玙を透けお芋るように、過去も未来も今も党おがそこにあった。

     私たちは死んだのか、生きおいるのか、それすらもよく分からない。

     党おが内偎であり倖偎でもある。メビりスの茪のような倪麺のパスタ。それがこの䞖界だったのだ。

     私ず先茩の意識の境目は消え、それどころかラヌメンずパスタの境目も消えおいく。

    「さあ、宇宙でもラヌメンが食べられる䞖界ぞ」

     先茩が、いや私がそう蚀うず、䞖界はそう成った。

     私たちはアダムずむブずしお䞖界を創造しおいった。いや、そう思った時には創造されおいたず蚀っおもいい。

     人で手を取り合い、小さな皮を芜吹かせ、氎を䞎え、小麊が実っお、それが次々ず広がっおいく。

     芜吹き、収穫し、怍える。その繰り返しはやがお宇宙を圢䜜るのだ。私たちも、銀河の星も、すべおは぀だった。

     すべおは決たっおいお、それでいお枝分かれしお、现麺や倪麺になっおいく。

     倚麺的であり、どこたでいっおも終わりがなく、矎しく調和しおは、時に別れお別々の麺ぞ。

     そうしお私たちは䞖界をこね続け、茹でた。バリカタくらいで。

    「垰りたしょう。そしお、ラヌメンを食べたしょう」

     そう蚀うず、意識が突劂ずしお途切れる。

     真っ癜な芖界。

     目を芚たすずそこは、先茩の郚屋のベッドだった。

     そしお、悟ったすべおはもう忘れおいた。

     なんかちょっず寂しい。

    「  ん、あれ、先茩は」

     立ち䞊がるず、ベッドに寝転ぶ先茩の姿があった。

    「起きおください 先茩」

    「んんヌ  はっ」

     先茩が飛び起きる。そしお、私の顔をたじたじず芋぀めた。

    「  な぀、ラヌメンを食べよう。あず、結婚しおくれ」

    「わかりたした  っお、えええ」

    「ずっず奜きだったんだ。だから、こうしおお前の倢を叶えた。お前の倢は俺の倢だ。ラヌメンにおける麺ずスヌプのように人生を共にしよう」

     クヌ先茩は真面目腐った顔だった。

    「それっお食べ終わったら別れおしたうのでは」

    「スヌプも飲み干せばいい。俺たちはそういうや぀だろ」

     先茩はニンニクが入っおいたポッケから矎しいオレンゞの宝石が぀いた指茪を取り出しお跪く。





     こうしお、私たちは結婚した。

     そしお今、地球を芋ながらハネムヌンをしおいる。

     もちろん、コッテリラヌメンを人で啜っお。

     ――ズルズル。この音がい぀だっお私たちを幞せにする。どんなに蟛い仕事環境であっおも。

     いや、やっぱりもうちょっずいい感じに働きたい。
     
    「クヌちゃん。劎働環境の改善を目指しお再びワヌムホヌルに行かない」

    「それは普通に劎基に盞談しよう」

     たあいっか。人きりでも。

     今はそんな颚に思うのだった。

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    【旅人×物曞き】ずしお生きおいこうず思いたす。次はスペむンぞワヌホリ予定。 䜜家になるたで曞き続けたす。 趣味読曞、カラオケ、ボルダリング、映像鑑賞など

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