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🥀花屋再生記~ただの主婦が赤字の花屋を立て直す実話~Vol.49


    「休み言うとるやん!」

    移動中。

    花屋の携帯は鳴りっぱなしだった。

    結局、足の療養も兼ねて、店を一週間休むことにした。

    張り紙もした。

    常連にも伝えて回った。

    それなのに

    電話は止まらない。

    「店に休みって書いたんよ」

    花屋がうんざりした顔で言う。

    「電話注文のお客様は見てないかもね」

    「みんな忘れとるんやろ」

    「それもあるかもね」

    私は少し笑った。

    「で?」

    「どう?」

    「電話に出ない気持ちは」

    花屋は窓の外を見た。

    「最悪やな」

    ぽつりと落ちる。

    「何が?」

    「仕事なくなる気がする」

    「嫌われる気がする」

    「店潰れる気がする」

    「支払いできんくなる気がする」

    次々と言葉が出てくる。

    私は静かに聞いていた。

    「それが今の原動力なんだよ」

    「え?」

    花屋が振り向く。

    「あなたは今まで」

    「お客様のために動いてると思ってた」

    「でも違う」

    「自分が困らないために動いてた」

    言葉が止まる。

    「本来はね」

    「お客様を喜ばせたい」

    「笑顔になってほしい」

    「そのために動くものだと思うの」

    電話がまた鳴る。

    花屋は画面を見つめた。

    「お客様たちは今」

    「あなたがいなくて困ってる」

    「そんなことないやろ」

    すぐに返ってくる。

    「他にも花屋はあるけん」

    「俺がおらんかったら、そっち行くやろ」

    「それでいいの?」

    静かに聞く。

    「どうせ俺なんか」

    「せっかくできたご縁を、そんな気持ちで扱うの?」

    花屋は黙った。

    「どうせならさ」

    少し笑う。

    「俺じゃなきゃダメだって言われるところまで行けば?」

    「あなたなら行けると思うよ」

    その言葉に、花屋は少し遠くを見る。


    「俺な」

    ぽつりと呟く。

    「コンペで優勝した時」

    「そう思っとった」

    「俺はすごいやつやって」

    「うん、でも」

    「傲慢になったら終わりだよね」

    「才能は自分のものでもあるけど」

    「与えられたものでもあるから」

    「使ったなら還元しないと」

    花屋は黙って聞いていた。


    連れて行きたかった神社に着くと、波の音が聴こえてきた。

    「私はね」

    少し笑う。

    「働いてる時、神様の派遣社員だと思ってるの」

    境内を歩きながら、思いを伝える。

    「は?」

    「なにそれ」

    吹き出す。

    「お客様は神様」

    「私は、その神様を喜ばせるために派遣された
    スタッフ」

    「だから毎日仕事してる」

    「変なやつやな」

    「そう?」

    首を傾げる。

    「でも神様のお給料って、破格だよ」

    「俺もそれ欲しい!」

    即答だった。

    思わず笑う。

    「お金の時もある」

    「でもね」

    「ご縁だったり」

    「奇跡みたいな出来事だったり」

    「幸せだったり」

    「目に見えないものの方が多い」

    外の流れる景色を見ながら続ける。

    「だから私は楽しいの」

    「この人を喜ばせたら」

    「次は何が来るかなって」

    花屋は静かに聞いていた。

    「私は」

    「あなたの花屋を立て直すって決めた」

    「あなたは」

    「町で一番の花屋になるって決めた」

    「だったら」

    「そこまで行こうよ」

    「町で一番」

    「お客様を喜ばせる花屋として」

    世界が静かになる。

    しばらくして—

    花屋が小さく笑った。

    「どうせなら」

    「最高にカッコいい花屋になりたいな」

    「うん」

    「それがいい」





     
     
    ・専業主婦→マーケターとして赤字店舗を黒字2000万に再建。 ・中卒→ FP・カウンセラー・コンサル・コーチング・セラピスト。 うつで3年寝たきりから這い上がった再生法を発信しています🦋.*˚

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