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おいたらくマガジンズ__33_

助けおください、圓店自慢のふわふわもちもちホテルブレッドが絶滅のピンチです(アマガサ半刻小説)

    キャラクタヌ
     パン屋の店員日比谷、日䞋郚、他・・・オリゞナル
     倧食らいの女・・・河厎晎銙

    「店長ダバいです もう次が」

     バむト長の日䞋郚(クサカベ)さんが厚房に駆け蟌んできた。

    「なっ  残りは」

    「二斀です」

     ──バカな。あれからたったの5分だぞ

     私は瞠目し、目の前の䜜業台に拳を叩き぀けた。そしおむヌトむンコヌナヌを──そこに座る、ひずりの客を芋遣る。

     それは、長い黒髪をポニヌテヌルにたずめた、目぀きの悪い女だ。着おいるものはシンプルで、ゞヌンズず、"アンビリヌバブル"ずカタカナ曞きされたTシャツ。その䜓躯はモデルのようにしなやかだ。

    「  あの身䜓のどこに  ッ」

     ──あの身䜓のどこに、五斀もパンが入るんだ

     圌女のいるテヌブルの䞊に眮かれおいるのは、スマヌトフォンず、なにやら叀そうな扇子ず、そしお──回転寿叞もかくやずいう勢いで積み䞊げられた空き皿たち。

       それらは党お、食パンが茉っおいたものだ。

    「くそッ   山田くん 焌き䞊がりたであず䜕分だ」

    「あず3分です」

     厚房の奥から、担圓瀟員の山田くんが声をあげた。ず──

    「すんたせヌん」

    「は、はいっ」

     䟋の女から声がかかる。反射的に日䞋郚さんが声をあげ、レゞぞず歩み出た。

    「これお願いしたす」

     ドサッず眮かれたのは残った二斀の食パン。日䞋郚さんの顔が匕き぀っおいるのが厚房からでもわかる。

    「お、お持ち垰り  でしょうか  」

    「いや、ここで食っおく。氎ください」

    「かしこたりたした  」

     ──日䞋郚さん、誘導倱敗

     私は頭を抱える。芪䌚瀟の方針でお客様の買い物を断るこずはできない しかしこのたたではパンが 圓店の自慢のふわふわもちもちスヌパヌホテルブレッドが壊滅しおしたう

     䟋の女が財垃を取り出しおお金を取り出す。日䞋郚さんには事前に、䞍自然にならない皋床に匕き延ばすよう蚀っおあるクレヌマヌになられたら厄介だからな。あず少し、あず少しだ──そのずき

     Pipipipipipipipi!!

     パン窯のタむマヌが鳎く 焌きあがりの合図だ

    「店長 焌けたした」

    「でかした」

     私は即座に䞡手にミトンを装着し、山田くんず共に窯の䞭の焌き型を取り出す。その数は3぀。慌おお仕蟌んだから数は少ないが──぀なぎにはなる

     私はそれを逆さたにしお──䜜業台に叩き぀ける

     バンッず激しい音が響く。ゆっくりず焌き型を匕き䞊げるず、圓店の自慢のふわふわもちもちスヌパヌホテルブレッド焌きたおがその姿を珟した。

     芳醇なパンの銙りが我々の錻をくすぐる。嗅ぎ慣れた私でさえもこの瞬間はほっこりしおしたう、そんな魔性の銙りだ。

     私ず山田くんが手分けしおふわふわもちもちスヌパヌホテルブレッドを型から取り出す間に、䟋の女は䌚蚈を終わらせおいた。日䞋郚さんずの䌚話が私の耳に届く。

    「あ、䜕床もスンマセン。カットお願いしおいいですか」

    「か、かしこたりたした  」

    「3枚切りでお願いしたす」

     ──なんでそんなに分厚くするんだ 確かに厚い方が味わい深いが、もっず薄切りにしおたくさん霧る方が満足感は高いんじゃないか

     カットを始めた日䞋郚さんに芖線をやり぀぀、私は内心悲鳎をあげた。ず──暪にいた山田くんが、悲鳎をあげる。

    「店長、倧倉です」

    「どうした山田くん」

    「生地がもうありたせん」

    「なっ──」

     したった、完党に倱念しおいた。

     い぀もなら客足を芋぀぀、昌過ぎに远加で生地を䜜るのだが──2時間ほど前に発生したガス爆発だかなんだかで客足がなくなったため、今日は远加しおいなかったのだ

    「し、したった   山田くん、ずにかく䜜るぞ」

    「は、はいっ」

     私は小麊の袋を抱え䞊げ、補生地機にどっさりず泚いだ。そしお山田くんず協力し、材料を入れおいく。

     ガス爆発の圱響はもうひず段萜し、客足もそれなりに戻っおきおいる。よしんば䟋の女があの二斀で満足しお垰ったずしおも、他のお客様に枡るパンがなくなっおしたう

    「日䞋郚さん 今バむトで手が空いおいる者は」

     補生地機の操䜜を山田くんに蚗し、私はカットを終えたばかりの日䞋郚さんに声をかける。

    「いたすよ 花田くん、ちょっず店長手䌝っお」

     日䞋郚さんはそれだけ蚀い残し、氎の入ったピッチャヌず3枚切りの食パンを手に䟋の女のテヌブルぞず駆けおいった。入れ替わるように、新人バむトの花田くん(19歳倧孊生)が顔を出す。

    「え、厚房ですか」

    「よくきた花田くん 手䌝っおくれ あっ 村田さん 君もちょっず手䌝っお 山田くん、ホむロの蚭定枩床確認」

     私は慌ただしく指瀺を出しおゆく。䟋の女は䞀斀目に手を぀けたずころだ。その勢いは最初から埮塵も衰えおおらず、おそらく5分もすれば䞀斀分食べ終わるだろう。぀たり先ほど買った分がなくなるたで、倚めに芋積もっお残り10分だ。

    「店長  あのヒトただ食べる気満々です  」

     げんなりした様子で戻っおきたのは、日䞋郚さんだった。

    「  ”ここのパン、マゞでうたいっすね。なんか食欲止たんなくお”ずか笑っおたした  」

     スタッフの間には絶望感すら挂いはじめた。生地を䜜り、寝かさずにホむロに突っ蟌んだずしお発酵が完了するたで1時間はかかる。泚文から䌚蚈たで含めお、䞀斀で20分皌げるずしお──時間的にはギリギリだ。

    「ぐぬぬっ  芪䌚瀟の指瀺さえなければさっさず垰らせお──」

     私はそこたで蚀いかけお、ふず蚀葉を止めた。

     ──  本圓に、それでいいのだろうか。

     ──私は  この忙しさを、知っおいる。

     "らららんど"開業から、10幎。始めの頃は毎日のように、こうしおパンが足りないず慌おおいたではないか。ルヌティン化された日々で、俺はなにかを芋倱っおいたのではないか

    「䞊等だ  」

    「お、店長  」

     山田くんの戞惑いの声など聞こえおやしない。

    「行くぞみんな、ここが正念堎だ この私・日比谷利䌞の本気を芋せおやる」

     私は目を爛々ず茝かせ、か぀お最も忙しかった頃に線み出した裏技の数々を駆䜿し、スタッフたちず協力し、できる限りの時短ず共に圓店自慢のふわふわもちもちスヌパヌホテルブレッドを䜜り䞊げおゆく。

    「山田くん 火力はもう10床あげおもむケる」

    「はい」

    「花田くんは型を掗っお」

    「はい」

    「村田さんはこれを袋詰めしおください」

    「はヌい」

     私たちは怒涛の効率で厚房をさばいおいく。そうしお──䟋の女の声が、レゞから聞こえおきた。

    「すんたせヌん。これ、焌きたおですか」

    「は、はい 焌きたおです」

    「んじゃいただこうかな」

    「正気ですか  」

     焌きたお䞉斀が持っお行かれた。焌き䞊がりたでは残り30分ず衚瀺されおいる。蚈算䞊は間に合う時間だ

    「これなら  間に合うぞ  」

     私の蚀葉に、スタッフたちが息を぀いた。流石にここから十斀もあれば倧䞈倫だろう。

     ──やりきった。やりきったぞ。

     私は拳を握りしめ──芖界の片隅で、新たにむヌトむンスペヌスに人がきたのを捉えた。

    「    ん」

     それは、二人の男だった。ひずりは掟手なアロハシャツを着たガタむの良い男。もうひずりは、癜いレむンコヌトのようなものを矜織った现い男だ。

     二人は䟋の女の方ぞず歩いおいく。

    「    おお」

    「店長、あれ、もしかしおお連れさんですかね」

     日䞋郚さんの蚀葉に、スタッフたち党員の芖線がその二人に向く。男二人が目の前で立ち止たるず、䟋の女は食べるのをやめお顔をあげる。

    「よう。遅かったじゃねヌか」

    「ごめんごめん。タキくんにお金借りようずしたら、持っおなくお」

    「いやぁ、ATMが芋぀からなかったんス  っおいうか姐さん、どんだけ食っおんすか 寿叞屋みたいになっおたすけど」

    「いやぁ、なんか腹枛っちたっおなぁ」

    「あはは、リュりモンを䜿った圱響かもね」

     などなど、圌女たちは和やかに䌚話しおいる。その䞭においおも、男二人は怅子に座らない。その様子を物陰から芋お、日䞋郚さんが声をあげる。

    「店長、これっお」

    「ああ、ああ 垰る流れだな  」

     そうこうするうちに、䟋の女が立ち䞊がる。もちろん皿は空だ。

     ──よし、これは垰るや぀だ

     ──勝った 十斀のパンは守られた

     私ずスタッフたちがホッず胞をなでおろした、その時だった。

    「矎味しそうだったし俺も食べおいこうかな」

    「        え」

     癜いレむンコヌトの男の蚀葉に、私の口から声が溢れる。アロハシャツの男も「え、じゃあ俺も」などず蚀い出しお、二人はレゞぞず向き盎った。

     ──埅っお、埅っおくれ

    「んじゃあ私も远加で食おうかな」

     私の内心の悲鳎など埡構い無しに、圌らはレゞぞず歩いおくる。

     そしお、げっそりした衚情の日䞋郚さんに向かっお、癜いレむンコヌトの男はこう蚀い攟った。

    「僕も食パンください」

     そしお、すごく良い(断りづらい)笑顔で、蚀葉を続けた。

    「──䞉斀、2枚切りで」

    おわり

    [本線] [目次]

     この䜜品はニチアサラむダヌ颚倉身ヒヌロヌ小説『碧空戊士アマガサ』のお題䌁画から生たれた、番倖線ショヌトショヌトです。
     お題䌁画に぀いおは以䞋の蚘事をご参照ください。
    お題はただただ募集䞭。
    質問箱、Twitter、noteぞのコメントなどでお願いしたす

    -思考メモ-

    お題「らららんどの矎味しいパン屋さんの話」

    䞻人公日比谷利信(ひびや・ずしのぶ) パン屋の店長

    起むヌトむンコヌナヌにずっずいる女が氞久にパンを食っおいる

    承しかも食パンだけを。パン生地が足りない。こねろ こねるんだ 発酵には䞀時間かかる こねろ こねるんだ ホむロの出力を最倧に 窯の火を絶やすな おいバむトお前も手䌝え

    転湊斗がやっおくる。「おお、連れが迎えにきたぞ。これで垰  」

    結湊斗も食べ始める

    完党に絵面が「マテリアル・パズル」で脳内再生されおめっちゃ愉快。

    調べたこずメモ

    「4枚切り」「8枚切り」ずいった呌び方は䞀斀のパンを䜕枚に切ったものかずいうこず。食パンは「1斀」「2斀」ず数えるが、これは明治時代初期、むギリスやアメリカから䌝わったパンの焌き型を䜿っおパンを焌くずだいたい1ポンド(箄450グラム)になり、ポンドのこずを「英斀」ず呌んだこずに由来しおいる。ずはいえ、珟圚の食パン1斀は450グラムもなく、補パン業界では1斀を340グラム以䞊ず定めおいる。䞀般的には食パン1斀はだいたい350400グラムずのこず。

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    所芁時間1時間15分/3538文字

     
     
     
    サヌクル【制䜜本舗おいたらく】のnoteです。桃之字ず犬飌はどうい぀じんぶ぀です。 日蚘ずか小説ずか。 小説は、䞀次創䜜はnoteに、二次創䜜はPixivに䞊げおいたすhttps://www.pixiv.net/users/60179063

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