
携帯電話が解約できない。死後事務の現場で感じたこと
「携帯電話を解約できない」
ご本人だけで各種手続きを行うことが難しい状況にある方から、委任を受けています。
その中で、お亡くなりになられたご家族さまの死後事務を、私が対応しています。
そこで問題になったのが、携帯電話の解約でした。
携帯電話は、契約時にも本人確認など一定の手続きがありますが、解約となるとまた別の難しさがありました。
死亡届があり、相続人であるご依頼者さまのご意向も確認できており、遺産分割協議書もあります。
さらに、公正証書による委任契約書、将来の判断能力低下に備えた任意後見契約、死後事務委任契約も作成しています。
それでも、携帯電話の解約手続きを進めることはできませんでした。
今回、本体自体が見当たらなかったため、まずは回線だけでも止めたいと考えていました。
もし第三者に悪用された場合、取り返しのつかない事態につながる可能性もあります。
その不安もありました。
携帯会社では、後見開始の審判書や登記事項証明書があれば手続き可能との説明を受けました。
一方で、法定後見制度に至る前の段階で支援が必要な方も多くいらっしゃいます。
任意後見や委任契約などの制度についても、これからさらに社会の理解が広がっていく必要があるのかもしれません。
もちろん、携帯会社側にも事情はあると思います。
なりすまし防止や不正利用防止、犯罪対策など、慎重にならざるを得ない背景も理解できます。
ですが、法的な役割を受任し、責任を持って動いている立場としては、とても歯がゆさを感じました。
実際には、「公正証書があるからすぐ動ける」とはいかないことも少なくありません。
高齢化が進む中で、携帯電話やインターネット契約などの“デジタル遺品”の問題は、これからさらに増えていくのではないかと感じています。
今回の経験は、制度と現場の間にある壁を、改めて考えさせられる出来事でした。