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53歳で始めた刺繍。まさか、こんなに夢中になるとは

🚶ひとり時間の楽しみ方#3

正直に言うと、私の中で刺繍は「乙女のもの」でした。
繊細な手つきで、花や小鳥をこつこつ刺していく。そんなイメージです。

自分が刺繍をする姿なんて、想像したこともありませんでした。
そもそも手先が器用なほうでもなく、裁縫はどちらかというと苦手な分野でした。
それなのに53歳のとき、なぜか刺繍を始めました。
そして気づけば、休日をまるごと使うほど夢中になっていたのです

YouTubeを見ていたら、刺繍をやってみたくなった

もともと趣味の一つにゴルフがありましたが、体調を崩して、なかなか行けない時期がありました。
ちょうどそのころ、天候にも左右されず、自宅でゆっくりできる趣味が何かないかなあと思っていました。

当時、よく見ていたのが、生活系のYouTubeチャンネルです。
主婦の方が自宅で料理や裁縫などを楽しむ動画で、その中で刺繍もしていました。
丁寧に刺繍をしている姿を何度も見ているうちに、
「私も刺繍をやってみたいなあ」
と思うようになりました。

とはいえ、刺繍の道具は何も持っていません。何を揃えればいいのかも分かりませんでした。
一から調べて揃えるのも面倒だったので、手っ取り早く刺繍キットを購入することにしました。刺繍枠とはさみだけは別に用意しました。

選んだのは、刺繍作家・樋口愉美子さんの「12ヵ月のエンブロイダリーキット」です。必要な材料がセットになったキットでした。

季節ごとに部屋の絵や小物を替えるのが好きだった私は、「初心者向けだから」という理由よりも、
「完成したあと自分の部屋に飾りたいと思える図案かどうか」
を基準に選びました。

このシリーズは、2ヶ月先の月の作品が届くものでした。
2024年1月に最初に届いたのは、3月の「モンシロチョウ」。
これが、私が初めて完成させた刺繍作品です。

3月モンシロチョウとミモザ

YouTubeが私の先生

キットには、使用する刺繍糸の本数やステッチの刺し方についての説明が載っていました。
ただ、刺繍をしたことがない私には、それを読んだだけでは、実際にどうやって刺していけばいいのかよく分かりません。
そこで頼ったのがYouTubeでした。

針をどこから入れるのか、糸をどう動かすのか。実際に刺しているところを動画で見ながら、一つずつ覚えていきました。
YouTubeが私の先生でした。

刺し方が分かってくると、黙々と刺繍をする時間そのものが楽しくなっていきました。
休日に刺繍を始めると、気がつけばもう夕方。そんなこともよくありました。
刺繍をしている間は、仕事のことなどすっかり忘れていました。

12か月シリーズの1作品を完成させるのに、私の場合は約1週間半かかりました。
ところが3作品ほど作ったころには、
「もっとやりたい」
と思うようになっていました。
毎月ひとつ届くキットだけでは、もう足りません。
なにせ、凝り性ですから。

もっと刺繍がしたい

今度はポーチや巾着などの小物を作るキットも購入しました。
ピンク色の花柄ポーチは、刺繍部分だけで約3週間かかりました。
刺繍が終わっても完成ではありません。そこからポーチに仕立てる作業が待っています。
ミシンを持っていなかったため、すべて手縫いです。仕立てだけで、休日を丸々2日ほど使いました。

思えば、裁縫なんて中学生以来ほとんどやっていません。時々ボタン付けをするくらいです。
小学校・中学校の家庭科の作品については、8割くらい母に作ってもらいました。
母は手先が非常に器用で、裁縫も得意な人です。
実家に帰るときには、刺繍セットを持っていくこともありました。
刺繍をしている私を見たら、母にはきっと何か言われるだろうなあと思っていました。
案の定、
「また、あなたにしては珍しいことをはじめたね」
とひと言。
「まあ、そうですよね……」

その後、完成したピンクのポーチの写真を母に送り、
「要る?」
「うん。欲しい。」
完成したポーチと巾着は、そのまま母にプレゼントしました。

母へプレゼントした、ポーチと巾着

刺繍セットを持って、旅に出かけた

刺繍を気に入った理由の一つは、どこでもできることです。
一人で黙々とできて、場所も取らず、持ち運びもできる。

2025年12月の兵庫旅行にも、刺繍セットを持っていきました。
このときの旅のテーマは、「ゆっくり、ゆったり、好きなことをする」でした。
持っていったのは、刺繍と手帳、旅日記です。
淡路島では、ひとりで過ごすための宿「hitorigomori」に2泊しました。
大きな窓のそばにテーブルと椅子が置かれた部屋で、最初に宿の写真を見たとき、
「ここだ!」
と思ったのを覚えています。

hitorigomori

宿では主に刺繍をしたり、旅日記を書いたりして過ごしました。
最初は「やってみたい」と思っただけの刺繍が、いつの間にか、「好きなことをする旅」に持っていくものの一つになっていました。

好きだから、今はしない

現在、刺繍は少しお休みしています。
今年は副業にウエイトを置くと決めたからです。
刺繍に飽きたわけではありません。
なにせ、没頭しちゃいますからね。
新しいキットも買わないようにしています。買ったら、絶対にやりたくなってしまうので。

樋口愉美子さんの12ヵ月のエンブロイダリーキットで作った作品は、今も毎月、その月の作品に掛け替えて部屋に飾っています。

6月の紫陽花と10月のケイトウ


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