deceive 第九話
ある夜・・・。
屋敷の前に不穏な複数の影が。
「ウワサでは此処には一人の老婆が住んでいて
結構な大金をたんまりと
タンスに貯金しているらしいそうだ。」
居合わせた者たちは手にバールを持っていた。
強盗目的で集まった見知らぬ者たちだった。
一人が器用に玄関の鍵を開けて中に入り
静かに家の奥へと入って行く。
一階を探したが、金目の物は見つからない。
強盗たちは二階へと足を進める。
手前にある部屋から探っていると
一番奥の部屋の扉が突然開いた。
「アナタたちダレ?」
気づかれたか。仕方がない。
一人がバールを振り上げ、
家の者の頭をめがけて振り下ろした。
血が飛び散り、頭を殴られた者は
その場に倒れ込み息絶えてしまった。
住人が死んだとわかると物音を立てて
お金を探し始めた。
が、何処にもお金はおろか金目の物も
無かったのだ。
強盗たちは何の収穫もないまま
退散するしかなかった。
翌朝。
屋敷の周りは規制線が張られ、
警察関係者が出入りしていた。
その中に先日の刑事もいた。
「頭を一撃ですか・・・。」
「素人の強盗団、闇バイトってヤツですね。」
「この前話をしたばっかりなのに・・・。」
「でも警察の厄介になる人物だったようですよ。」
刑事たちは庭で掘り出された死体を見て
「コレは出来心とかじゃなさそうだな。」
「この死体、マイケルじゃないですか?」
「わかりづらいが可能性はありそうだな。」
死体は犯罪者のようだが、だからと言って
殺していいわけじゃない。
本人も死んでしまっているから
被疑者死亡で片付けられるだろう。
刑事たちはなんとも言えない感情を抱えていた。
その頃、ある空港で・・・。
「上手くいったわ。なんてグッドタイミング
だったかしら。」
そう屋敷の主人は生きていたのだ。
「刑事が来る度にバレやしないかと
ヒヤヒヤしていたけど、
計画を立てておいてよかったわ。
死んだ人はダレかって?
ここだけの話よ。
アレは生き別れた双子の姉なの。
姉はねワタシにとってお荷物だったのよ。
双子なのをいいことに
ワタシの名前を使って
あちこちから借金をしては
トンズラしていたのよ。
ワタシには身に覚えのないことなのに
容赦なく取り立てがきていたわ。
姉はタチが悪いから
トンズラしててもお金がなくなると
ワタシのところにお金の無心に来るのよ。
姉は取り立てに見つかったとしても
自分になりすましてスリ抜けるのよ。
暫く音沙汰がなかったんだけど
この前ひょっこり現れたの。
また、お金がなくなったのよ。
だから今度は少しの間
ワタシになりすませたら
お金をあげるって言ったの。
何も知らずに喜んでいたわ。
殺されるとも知らずにね。
厄介者を始末してくれたんだから
闇バイトってのにも感謝しなくちゃね。
今から海外に行ってくるわね。
お金は前もってある場所に移してあるから
何の不自由もないの。
コレからは今までの自分を捨てて
嫌だけど姉として生きていくのよ。
一度しかない人生だもの。
もう一花咲かせるわよ。」