
番外編_私の旅のテーマは「何もしない」
いつもはアラフィフの恋活・婚活体験記を綴っているが、今回は創作大賞「#エッセイ部門」に応募すべく、私の旅について書こうと思う。
私の旅のテーマは「一人旅」と「癒しのお籠り」だ。
このテーマが定まったきっかけは、友人との旅行の約束がなくなったことだった。
毎年夏、会社の同僚と旅行に行っていた。今年も当然一緒に行くものと思い、私はせっせと行き先を探し、提案していた。
ところが同僚は、一向に決めようとしない。
そして最後に返ってきた言葉は、
「やっぱり行かない」
だった。
散々待たせて、それか…
その瞬間、私の中で何かが決まった。
「じゃあ、一人で行く」
怒っていた。かなり怒っていた。
だから私は、彼女と行く予定で提案していたバリへ一人で旅立った。
行き先はウブド。
そしてホテルに到着して、私がやったこと。
それは、プールサイドでボーっとすることだった。
朝から夕方まで、ただボーっとしていた。
目の前には深い緑。
鳥のさえずり。
風の音。
どこからか聞こえる竹の風鈴の音。
私は五日間、ひたすらボーっとした。
不思議だった。
せっかく海外まで来たのに、私はどこにも行きたいと思わなかった。
そのうち気づいた。
私は観光がしたかったわけではなかったのだ。
休みたかった。
仕事に疲れていた。
人付き合いにも疲れていた。
そして、自分でも気づかないうちに頑張り続けていた。
鳥の声を聞く。
空を眺める。
風を感じる。
それだけでよかった。
何かを達成しなくてもいい。
誰かに合わせなくてもいい。
私は五日間かけて、少しずつ力を抜いていった。
あの時間は旅行というより、避難だったのかもしれない。
帰国する頃には、不思議と心が軽くなっていた。
それ以来、私の旅のテーマが決まった。観光ではない。
"一人で籠もり、自分を癒す旅"
私は今でも、このスタイルで旅をしている。
現実から逃げるためではない。
現実を続けるために。