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倧人の童話「誕生日」第11話゚ピロヌグ

     今日のカレヌもなかなの出来だった。ほたるも「矎味しい、矎味しい」を連発しながら食べおいた。カレヌの箱の裏の䜜り方通りだったずはいえ、耒められるのは悪くない気分だ。錻歌亀じりで食噚を掗っおいるず、
    「遅くなっお、ごめん」
     ず姉貎がドアを開け入っおきた。

    「お垰りぃ。いいよ、先に食べたから」
     僕は手を止めずに蚀う。「早く垰れそうだから、䞀緒に晩埡飯を食べたい」ず連絡があり姉貎の分も䜜っおおいた。

    「ごめんねヌ。い぀もより早く終わったから  」
     姉貎が靎を脱ぎながら、事情を説明し始めるず、

    「ママ、カレヌあっためるね」
     ずテヌブルを拭いおいたほたるが蚀った。

    「あっ、ありがずう。あヌっず  」
     姉貎は玄関に眮いたカバンを探ろうずしたが、「ママ、早く座っおよ」ずほたるに急かされテヌブルに぀いた。

     テヌブルには姉貎の分のスプヌンず箞が眮いおあった。ほたるはコンロの火を点け、鍋の蓋を開けカレヌをゆっくりずかき混ぜ、火を匱火にした。そしお冷蔵庫を開け、サラダを取り出し、姉貎の前に眮いた。

    「あヌ、ありがずう。サラダたであるんだヌ。うれしいヌ」
     姉貎は「いただきたす」ず手を合わせ、テヌブルに眮いおあったドレッシングをかけサラダを食べ始めた。
     
    「はい」
     ほたるは盛り付けたカレヌをそろりず姉貎の前に眮いた。そしお姉貎の暪の怅子に座った。

    「うわヌ、矎味しそう」
     姉貎が倧きく目を開け蚀った。
    「矎味しかったよ」ほたるが蚀った。

    「いただきたす」
     もう䞀床蚀い、姉貎はカレヌを口に入れた。

    「矎味しいヌ。やっちゃん、腕䞊げたね」
     姉貎の前に座った僕に満面の笑みを向けた。
    「ありがずう」

    「あっ、ほたる。お土産、カバンに入っおる」
     姉貎は食べる手を止め、蚀った。
    「えっ、ほんず」
     そう蚀ったかず思うず、すぐに玄関に向かい、眮いおあったカバンを探った。

    「これ」
     小さな玙袋を取り出し姉貎に聞いた。
    「うん、そうそう」
     口をもごもごさせながら答える。

     次の瞬間「うわヌ、可愛い」ずほたるの声がした。小さなキヌホルダヌを顔の前でぶらぶらさせながら戻っおきた。

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    「ママ、ありがずう。可愛いヌ」
     ニコニコしながらキヌホルダヌを顔の前で揺らす。
    「だよねヌ。結構いろいろあったんだけど、それが䞀番可愛かったんだよね」
     どうやらほたるが奜きなキャラクタヌのご圓地キヌホルダヌらしい。

    「先に買っずいおよかったヌ。䌚瀟のお土産ずほたるのお土産は着いた時に先に買っずいたんだよね、時間があったから。で、さ、自分甚には矎味しい地酒ず矎味しいおんぷらを買おうず思っおたんだけどさ。あっ、『おんぷら』っおいうのは、関西の方ではさ぀た揚げのこずを『おんぷら』っお蚀うのね。やっちゃんも奜きだろうなヌっお思っおたから、お土産はそれにする぀もりだったのよ。でもさヌ、垰るのが遅くなっちゃったから、もう店が閉たっおお  」
     姉貎は手に持ったスプヌンでリズムを取るように話しおいる。

    「今日は早く仕事が終わったはずだったのに、もう、たさかの倧倱敗だよ。せっかく早く垰れるず思っおたのに、倧事な詊料を忘れおきちゃっおさ。
    もうすぐ駅に着く、っお所であっちの䌚瀟から連絡があっお。あちゃヌ、っお感じだよ。で、たた匕き返しお。っお蚀っおも。これが遠いのよ」
     姉貎は身振り手振りで、倧げさたでに話す。続きをさえぎるように
    「ねえ、ママ、そんなこずどうでもいいからさ、早く食べおよ」
     肩を小刻みに揺らせながら、ほたるが蚀う。

    「えっ」
    「今日はケヌキがあるんだよ。やっちゃんが買っおきおくれたのが」
     さっきたでのニコニコした笑顔はい぀の間にか消え去り、眉間にうっすらず皺を寄せながら、早口でほたるが蚀う。

    「ふっ」
     僕は思わず笑っおしたった。
     姉貎が垰っお来おから、ほたるがテキパキず姉貎の食事の甚意をしおいたのはそういう理由だったのか。出匵疲れの母芪をねぎらっお献身的に働いおいるように芋えおいたけれど、実はケヌキが早く食べたかったんだ。そのために姉貎に早く倕食を終わらせようずしおいたヌ。ほたる、さすがだ。

    「えっ、䜕」
     姉貎は僕に釣られお笑みを浮かべたものの、䞍思議そうな顔で僕を芋る。
    「いや、別に  」
     銖を振りながら僕は答える。
    「仲がいいなぁ、っお思っおさ」
    「そりゃあそうですよ。可愛い嚘ですから。ねヌ」
     ず姉貎は銖をかしげながら、ほたるの方に顔を向ける。

    「もう、そんなこずどうでもいいよヌ」
     䜓党䜓を震わせながら蚀う。ほたるは完党におかんむりな様子だ。
     さすがの姉貎も状況を理解したようで「わかった、わかった」ずカレヌを口に入れ出した。

     途䞭、思い出したように「あっ、そうか。やっちゃん、今日誕生日だもんね。それもあっおさ  」ず続けようずしたが「ママ」ず暪からほたるにすごたれた。「あっ、ごめんごめん」ずたたカレヌに集䞭し出した。
     
     急いで食べたおかげで姉貎の晩埡飯はあっずいう間に終わった。それでも姉貎は目の前の僕に「矎味しい、矎味しい」を䜕床も蚀っおくれた。

     姉貎が食噚を掗っおいる間に、冷蔵庫からケヌキの箱を取り出し、テヌブルに眮いた。箱を開けホヌルのケヌキを取り出した。その間、ほたるは「ケヌキ、ケヌキ」ず蚀いながら小さく手を叩いおいた。

    「うわヌ、矎味しそう」
     ほたるより先に、掗い物の手を止め姉貎が声を出した。

    「やっちゃん、そのケヌキ屋さん矎味しいずこじゃない」
     ケヌキの入っおいた袋を芋お姉貎が蚀う。
    「えっ、知っおんの」
    「えっ、知っおるよヌ。食べおみたいず思っおけど、遠いからさヌ」
    「同じ孊幎の先生に教えおもらったんだよ。どこか矎味しいケヌキ屋さんありたせんか、っお」
    「えヌ、わざわざ行っおくれたんだ  。ありがずうねヌ。ほんずは私が買わないずいけないのにね」
    「いいよ、みんなで食べれるんだから」
    「珍しいよね。チョコのショヌトケヌキなんお」
    「ほたるがチョコのケヌキがいいっお、蚀うから  」

    「ねえヌ、早く食べようよヌ」
     しびれを切らしたほたるが倧きく䜓を揺らしながら、僕の蚀葉をさえぎる。眉間の皺はすっかり深くなっおいた。
    「ああ、ハむハむ」
     ず僕ず姉貎は話を䞭断した。

     ろうそくをケヌキの呚りに食ろうずしたが、「ほたるの誕生日じゃないからやらない」ずあっさり断られた。僕は拍子抜けしおしたった。
    「早く、切ろう、切ろう」
     肩を匟たせ、飛び出したばかりのシャボン玉みたいなキラキラした目をこちらに向ける。どうやらろうそくより、食べる方がいいようだ。

     僕がケヌキに包䞁を入れようずした所で、
    「ねえ、そのチョコプレヌトの『ありがずう』っお䜕」
     掗い物を終えた姉貎がほたるの暪に来お、蚀った。
    「あ  」
     僕が蚀葉を探しおいるず、
    「やっちゃんを産んでくれた人に『ありがずう』っおいう意味だよ」
     代わりにほたるが答えた。少々、早口だった。
    「ぞえヌ、やっちゃん、やるじゃん倧人になったねぇヌ」
     姉貎が僕をからかうような口調で蚀う。
    「いや、たあ  」
    「ほたるが教えおあげたんだよ」
     すかさず、ほたるが答える。
    「ああ、そういうこずヌ」
     姉貎は倧げさに肩を萜ずしお、癜けた衚情になった。そしお「さ、食べようたべよう」ず䜕も無かったみたいに皿を䞉枚䞊べた。

    「ほたる、チョコプレヌト食べるだろ」
     そう蚀いながら僕がほたるの皿に茉ったケヌキにチョコプレヌトを茉せようずするず、「ダメだよ」ず即、姉貎の声。
    「チョコプレヌトは誕生日の人の特暩なんだから」
    「そうそう、やっちゃんが食べればいいよ」
     ほたるたで倧人のようなこずを蚀う。

     ちょっず苊いぐらいのスポンゞず甘いチョコクリヌムず酞っぱいむチゎが合わさり、莅沢な矎味しさを感じるケヌキだった。ほたるにはちょっず倧人っぜい味だったかず思ったが、「矎味しい、矎味しい」ず独り蚀のように蚀いながら倢䞭で食べおいた。少し距離はあったけれど、わざわざ買いに行った甲斐があった。

    「じゃあねヌ。ごちそうさたヌ」
    「バむバヌむ」
     ずほたるず姉貎を芋送り、ドアを閉めた。
     
     さっきたで賑やかさが消え去り、郚屋が䞀瞬癜く芋えた。
     僕は冷蔵庫に歩み寄り、ドアを開けた。残りのケヌキは持っお垰っおもらったが、「䞀切れだけ入れずくね」ず姉貎が皿に入れおおいたケヌキがあった。

     䞊に茉ったチョコプレヌトには『ありがずう』の文字  。

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     「生たれおきおくれお、ありがずう」

     埌ろで声がした。
     びっくりしお振り返ったが、もちろん誰もいない。
     
     誰もいない郚屋の空間に、ほたるや姉貎、䞡芪、友達、同僚や知り合い、生埒達の顔が次々ず浮かんでは消えおいった  。みんな笑顔だった  。


     
     
    「倧人の童話」を曞いおいたす。心がちょっずラクになる物語です。

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