
長い夏が来る
粛々と毎日を過ごしている。
仕事の締め切り、子供の学校の行事。
髪が伸びれば美容院に行き、洗剤がなくなりそうなら薬局に行く。
その間に梅雨が始まり、そろそろ夏がやってくる。
ふと、父はもういないのかと思い出す。
実家にも、施設にも、もういないのか。
ここ5年ほどはまともに会話すらできなかったのに
いなくなった事実を思い出すと、やはり寂しい。
夏休みも近づき、高校生の娘は受験のプレッシャーにまだ余裕がある高2の夏にたくさんの計画を練っている。
部活、バイト、合宿、夏祭り。
息子たちは受験が控える中3の夏だが、それでも部活引退後の空いた自由時間にギターを始めようと目論んでいたりする。
若者たちはいつの時代も、毎日楽しいけど、未来への不安は消せないまま過ごすものなんだな。
来年、再来年、どの学校で過ごしているか何も決まっていない。
それを決めるのは自分自身。
誰のせいにもできない、自分が決めて勉強して、結果を自分が引き受ける。
そんなことを繰り返して、大人になっていくのか。
そんな不安を抱えながら、彼らの眩しい夏が始まる。
私はそんな彼らの、内側に秘めている焦りや苛立ちを一手に引き受け、無限の食欲を満たすべく、日々飯を炊く。
私の長い夏も、また始まる。