メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo bykosuketsubota

仁義なきネズミとの戦い


    簡単に言うと家にネズミが出ました。実話です。
    そこから約数週間、まるでB級ホラーのように人間の生活空間を徐々にネズミが侵食し追い詰められていく筆者の様子をご覧ください。

    第1章 音、襲来

    「トン……トトトト……」

    天井裏から聞こえた不思議な音。全てはここから始まった。

    とある一軒家、自分はテレワークに勤しんでいた。天井裏から音がすること自体はさほど珍しくない。上に他に家族がおり、その足跡や生活音がたびたびするからだ。

    「トトトト……」

    しかし、数日経ってふと思う。人間の足音にしては……速くないか?

    リズミカルな音。まるで、昔飼っていたハムスターやハリネズミのような、つまり小動物系…………。

    ………ネズミなのでは?

    その疑惑に至り、家族にも伝える。
    しかし、ホラー映画あるあるだと思うが(あんまり見たことないので想像です。すみません)家族を部屋に呼んだ時に限って異変が起こらない、無音なのである。
    一応音がしたことを話すがほーん…という感じの反応。

    違う!ネズミいたもん!!いや音しか聞いてないから確証できないけど!!

    幸い、母は信じてくれた。というのも10何年前にも別の階でネズミが出たことあるらしい。というわけで、気休めに母の友人が勧めてくれた安いネズミ用超音波撃退機(正式名称忘れた)を買い、また、自力で天井裏を除く術がないため業者を呼ぶことになった。

    ただ、業者もすぐには来れない、1〜2週間程度後になると言う。
    そのため、しばらく天井裏の音と一緒にテレワークする羽目になった。
    ちなみに超音波撃退機は普通にうるさくて、人間にダメージはあったもののネズミには全く効かなかった。

    この時は、まあ天井裏が少しうるさいくらいならいいか……作業用BGMいつも流してるし……とそこまで深刻に考えていなかった。

    天井裏の音は、日に日に回数を増していった。

    第2章 姿なき侵略者

    その日は休みで、ほとんど寝室にいて寝たりゲームしたり寝たりぐうたら……いや次の日のための英気を養っていた。

    寝室から普段テレワークしている仕事部屋はとても近い。

    その日、寝室の外で何回か「ガタン!」「カタカタ……」と音がしたような気はしていた。


    ただ、それも普段からよくあることではあった。家族がたまに部屋に物を取りにきたり、通りがかったりするためである。

    夕方、仕事部屋にイヤホンを取りに入った。
    すると、すぐに違和感を持った。視線の先の棚には、いくつかの推しのグッズ……基本アクスタやちっちゃいトレーディングカードが立て掛けてあった。仕事の励みにしていたのだ。

    が、そのグッズの一部が倒れてたり、床の上に落ちたりしている。

    (家族が入った時に落ちたかな……)

    これもそこまで珍しいことではない。そう思い、イヤホンが置いてる机に目を向けた。

    そこに、変なものがあった。

    パウチ袋に入ったお菓子。(きなこ棒)
    これ自体は別になんらおかしくはない。出社した際に食べて余ったのでテレワークの時に食べようと机の上に置いていた物である。

    パウチ袋をよく見ると、上部がギザギザになっている。こんな汚い開け方したっけ………?

    そして、その周りに、大量の紙屑が散らばってた。鳥飼いにしか分からない例えだが、昔飼っていた鳥が、紙を嘴で割いて巣作りにしていたときのような感じだ。

    その紙屑は、きなこ棒のパウチ袋と同じ色をしている。
    そしてパウチ袋をよく見ると……上部に細かい噛み跡のようなものがいくつもあった。

    ネ……ネ……ネズミだ!!!ネズミが齧ったんだ!!!!!

    机の下を見ると、いくつかの黒い塊が落ちていた。昔飼ってたハムスターのフンみたいな……じゃあネズミのフンじゃねーかよ!!!

    つまり、自分が寝室でぐうたらしている際、ネズミはグッズのアクスタを薙ぎ倒した後、机にあったきなこ棒の袋をかじり、あろうことが粗相までして去ったと言うことである。

    ちなみにパウチの壁を越えられなかったようで、袋の上部がボロボロになっただけで中のきなこ棒は無事だった。徒労に終わったらしい。

    なんということだ。
    昨日まではずっと天の上におわし、少なくとも地上に降りてきた形跡は全くなかった。しかし今日、ついに降臨し、人間の生活空間に侵略してきたのだ。
    姿は見せず、形だけを残して。

    仕事部屋のものをアルコール消毒しながら拭いていく。最悪である。

    その折に、家族にもネズミが地上に降りてきたことを報告した。

    すると家族の1人が、違う部屋に野菜を置いていると告げた。家庭菜園のようなものをやっているのだが、冷蔵庫に入りきらない採れた野菜を別室に置いていたのだ。

    そちらも見にいくと……ちょっと齧られてるっぽい!!!!

    元から皮が剥けてたのか微妙に判断しにくい感じではあっだ、多分6割くらいの確率で齧られている野菜が2〜3個あった。
    しかもその近くに……ヤツの黒い塊があった。フンである。こういう痕跡を、ラットサインというらしい。動かぬ証拠というやつである。

    家族は「元々こうだった、齧られてなどない」と足掻いていたが、もちろん置いてあった野菜は全処分である。というか、おそらくネズミが棲みついた原因だと思った。(数ヶ月前からこのようなことをしているため)

    流石に地上に降りてきたヤツは看過できない、ということで自衛のためにホイホイと毒餌を購入し、出没した階に置きまくった。置き「まくった」という表現が適切なほどの数を置いた。


    これで引っかかってくれれば……人がいる間は流石に出てこないだろうから、寝静まった後にかかってくれ……そんなことを祈った。

    第3章 目と目があったらバトル!

    2章から数日経ったある日。またテレワークに勤しんでいた。昼休みは別の階で食事し、戻ってきてから多分30分くらいたった頃だった。

    電気はついてるし、作業用BGMも流れている。がっつり人が生活している……という部屋だ。

    ふと、何かを感じて視線をPCから左にこぼす。

    手を伸ばせば届く距離、仕事に使っているリュックが置いてあった。

    その後ろからニュッと灰色の動物が出てきた。

    その後ろからニュッと灰色の動物が出てきた。

    そして、彼は悠然とした足取りで2〜3センチ開いていた襖から廊下に出てった。

    ゑ?

    ネズミだ。紛うことなきネズミだ。ほんとにいたんだ。
    割とでかい。昔飼ってたハリネズミと同じかちょっとでかいサイズだ。

    予想外すぎて動けなかった。

    え?ネズミってこんな……こんな……超日が出てます!明るいです!バリバリ人いる空間に出るの???警戒心強くて、人が起きてるタイミングでは出ないんじゃ……そんな……こんな目と鼻の先に?

    数秒後、ネズミの出た襖と違う出口から脱出して慌てて家族を呼ぶ。おそらくネズミはまだ地上にいる。しかし1人でネズミと戦う勇気はとても出なかった。

    その後、家族総出でどったんばったん騒ぎ立てるが、ネズミは戸棚の下に隠れた姿を最後に再び地上から姿を消した。つまり、逃したのである。

    周りにホイホイを置いていたのでワンチャン逃走中に引っかかると願っていたが、叶わなかった。

    意気消沈する家族。そして残るは業務時間。全然まだ夕方である。つまり仕事に戻らねばならない。

    しかし、とてもじゃないけど手が届く距離にネズミを目撃した部屋で仕事は出来ない。この中に犯人がいるかもしれないのに一緒に居られるか!俺は自室に戻る!

    しかし自室はここである。事件は現場で起きている。悲しすぎる。

    そんなわけで、自室は放棄し、急遽別の部屋にPC持って避難する羽目になった。
    もちろんその後の仕事が集中できるわけもない。
    キーボードを打つ脳裏には、ゆったりと襖に消えていくネズミの姿が焼き付いていた。

    テレワークしていた部屋にはホイホイも毒餌も置いていた。しかし、それらには見向きもせずに平然と闊歩していたのだ。

    ネズミ、侮れない……そう思ったが、これはまだ序の口だった。

    その真の恐ろしさはこの数時間後に最悪の形で実感することになる。


    第4章 ネクストネズミズヒント「鞄に入っていた謎のやわらかい物体」

    3章で仕事が終わり、諸々用事を済ませた夜0時くらい。まあ寝る準備する時間だ。

    ふと、イヤな予感が胸によぎる。
    テレワークの部屋には、仕事用リュックとプライベート用のa4サイズのバッグ、2つ置いてあった。

    それらはネズミに触られないよう、上に吊り下げておいたのだった……さっきネズミが現れた「後に」。

    いや、食べ物を入れていた記憶もないし……とまずa4のバッグの中を、ビニール手袋とアルコールウェットティッシュで装備して探る。

    すると、カバンの背面ポケットから謎の柔らかい物体が入っていた。丸くて透明感のある黄色で、まるで砂糖菓子、あるいは飴が溶けたような……あるいは、口で含んだ後のような…………。

    しかし、こんな黄色の菓子に全く心当たりがなかった。とりあえずウエットティッシュでつまんでゴミ袋に入れる。引き続き、カバンを探る。
    すると、同じところからもう1つ、カバンの真ん中にあるポケットから更にもう1つ出てきた。

    何、コレ?

    このカバンは前日に使用していたが、前日夜家に帰って中を確認した時点では確実にこんなものなかった。
    つまり、今日入ったはずなのだ。

    まさかネズミの……分泌物!?!?イヤな予感がよぎる。しかし待て。そもそも分泌物ってなんだよ。確実にフンでもない。

    同席していた家族は「昨日電車で入れられたのでは?」と言う。それはそれでイヤすぎる。

    頭に疑問符が浮かんだまま、ネズミが後ろから出てきたリュックも確認する。

    そこにも食べ物はないはず……と思い込んでいた。
    中をよく見ると、とある袋が入っていた。

    そこで、あ、と思い出す。
    休みの前日、出社した時に仕事中に食べるお菓子をコンビニで買ったのだ。結局仕事中食べそびれたから、来週食べようと思っていた……未開封のグミだった。

    大慌てでカバンをガバッと開けて、グミの全体像を見る。



    画像
    これだけ写真撮ってた。一応商品名は伏せます

    食われている

    きなこ棒の袋の時には辿り着けていなかった菓子本体にちゃんと辿り着いている。

    上から中身を開けて菓子を確認すると、丸くて黄色い形をしていた。a4のトートバッグに入っていたのと紛うことなく同じ形である。

    謎が解けた。

    つまり、ネズミがした所業を整理すると

    ①昼休みで一時間不在にしたテレワークの部屋に侵入し
    ②置いてあった仕事用リュックに入りグミを齧る
    ③隣に置いてあったA4バッグに入り、食いきれなかったグミを隠す
    ④逃走しようとしたところ自分が目撃する 

    は??

    あろうことかネズミは自分のカバン2つも中を荒らしたのである。は??

    カバンに食べ物入れてる方が悪いという声はもちろん分かる。しかし言い訳をさせて欲しい。

    (言い訳開始)
    1つは普段はこんなことしない。いつもお菓子を買っても会社で食べきって捨てている。今回は本当に数年振りくらいにたまたま食べるタイミングがなかったのだ。ほとんどないこと故に、入っていたこともすっかり忘れていた。

    2つめはグミを入れたのは第2章よりも前であり、ネズミが地上にやってくるとはこの菓子を買った時点では到底思っていなかった。

    ちなみにこの階、基本外に置いてあった食べ物は野菜ときなこ棒とこのグミだけである。それ以外は全て冷蔵庫に入っていた。外にあった食べ物が全部やられたのだ。的確すぎるだろ。

    リュックが空いてたのは落ち度。しかしそれもネズミが地上に出るとはつゆ知らずで!!
    A4のカバンはそもそも構造的に完全に密閉できないものだった。まあチャック部分はちょっと開いてたのは落ち度なんですけど
    (言い訳終わり)

    カバンを這いずり回られた、あまりにもショックだった。ぶっちゃけ2026年度辛かったことランキング堂々第2位を更新である。

    ネズミなんてもの室内外の小動物に比べてはるかに汚い。菌の温床であるはずだ。
    噛まれでもしたら即病院に行く必要がある。(目撃しても動けなかったのはそれを恐れたからもある)

    そんなのが?カバンに入って?

    †昇天†

    結局その後、自分は深夜にカバンに入っていたもの全てアルコールを吹きかけてカバンは2つともゴミに捨てた。

    最悪である。

    カバンはどうせどちらもそんなに高くないからまだいい。しかし、どちらかというと所持品に触れられたというのがイヤすぎる。めちゃくちゃメンタルにきた。

    何より、グミが入っていたリュックはともかく、普段使いのA4サイズカバンに餌を隠したのがマジで許せなかった。
    なんでそんなことするんだ。もっと隠す場所あるだろ。それこそ天井裏とかさあ!!
    自分のカバンにわざわざ入れなくていいだろ。嫌がらせか????

    そして、それ以上に恐ろしさを感じていた。1つは食への執念である。
    きなこ棒の時は一度開けていたから、まあ匂いが漏れたんだろうと思っていた。しかし、今回は未開封である。少なくとも人間が感じられる程の匂いはしなかったはずだ。しかし、ネズミの嗅覚はそれを察知した。

    2つ目は、安全な場所のなさである。ラットサインも合わせて、ネズミがこれまで地上に降り立ってない場所がほとんどない。扉があり、ある程度狭い寝室・洗面所&風呂場・トイレくらいだ。

    それ以外の部屋は全部出現した形跡がある&目撃した。何度言ったかわからないが最悪である。

    しかも、この時点で天井裏から地上の侵入経路が全くわからなかった。
    上に安全圏を上げたが、それも確実ではない。

    天井裏の音的におそらく1匹と思われたが、それも確証は持てない。天井裏はネズミの卵でいっぱいだー!!

    上の階は安全のように思えたが、それも確実ではない。出現する可能性は十分にある。

    業者が来るまでまだ数日かかる。ものすごく長く感じる。

    その後、全ての動作に敏感になってしまった。
    微かな物音にもネズミか!?と肩を振るわせ、ただ頭上から埃が落ちてきただけでもネズミ!?!?と辺りを見回すようになった。

    周りの全てを疑う日々が始まってしまったのだ。

    ヤツがどこからやってくるかが分からない。気付いたらそばに、それだから体に触れているかもしれない。四六時中、日常に這い寄る恐怖。

    突然の終わり

    さて、本来ならこの後業者が来て駆除成功!ハッピーエンドと締めたい。しかし、それはできない。なぜなら現在進行形の話だからだ。

    これを書いている今も残念ながら業者は来ておらず、ネズミに日々怯えている。

    とりあえず緊急避難してネズミとは別の階で仕事をしているのだが………どうもここでも天井裏から音がする。

    おそらく複数匹いるか、あるいは下の階の天井裏から音がしないため、第3章の時の捕獲失敗時騒がしくしたせいで、ネズミもついてきた可能性がある。

    では何故こんな中途半端な状況で書こうと思ったか?
    それは明日が創作大賞2026の締め切りだからである。

    今日、この個人的最悪な時間をせめて将来の笑い話にしよう……とゆくゆく投稿するための下書きを作ろうとしたところ、創作大賞の存在と締め切りを知った。明日じゃん。3ヶ月もやってて今日知ることある!?

    と言うわけで仕事を終えて急いで2時間くらいで書き上げた。去年のエッセイ部門を読んだらどれも物凄くちゃんとしていたが気にしないことにする。

    この記事を書いたのはもう一つある。意外にネズミに苦しんだ人の記事が少ない(個人の感想)
    というか見つけにくい。おそらく埋もれているのだろう。

    なので、もしネズミに苦しんでいる個人がいて、この記事にたまたま出会えたのなら、少しでも慰みになれば幸いだ。

    生贄となった2体のカバンも報われるだろう。

    ああ、天に!天に!

     
     
    物心ついた時からオタク。てこてこだったりたすくだったりする。

    あなたへのおすすめ