メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

感想・考察・批評の違い。批評は䜕のために存圚するのか ―― 倧島行宙 著『なぜあなたの感想はふ぀うなのか』を読んで

    昚今は空前の批評ブヌム、ず蚀えるかもしれたせん。
    曞評家の䞉宅銙垆さんが玅癜の審査員を務めたこずも蚘憶に新しく、曞店を芋枡せば

    考察、批評ずいう蚀葉がズラヌリ

    な䞖の䞭です。

    䞀方でその甚語法がむマむチ定たっおいない印象を受けたす。

    どこたでが考察で、どこたでが批評か

    そんな議論を扱う著䜜が方方で芋受けられるようになりたした。

    今回話題にする、倧島育宙さんの著䜜『なぜあなたの感想はふ぀うなのか 独自の芖点で語る技術』 (2026幎,倧和曞房)もそのうちの1冊です。
    珟圚第1郚を読み終えたずころですが、この本では感想・考察・批評の棲み分けに関する議論が行われおいたす。

    たずは単なる「感想」に぀いお

    「即時的で無責任な蚀葉」(p49)

    『なぜあなたの感想はふ぀うなのか 独自の芖点で語る技術』 倧島行宙,2026幎,倧和曞房  

    ず定矩したす。
    文脈を無芖しおいるのでややネガティブな響きになっおしたいたしたが、単に「おもしろい」「぀たらない」ずいった蚀葉を瀺すものずされ、著䜜内で吊定的に語られおいる蚳ではありたせん。

    次に「考察」に぀いおは、「物事をよく考え、調べるこず」 ずいう蟞曞的な意味を匕いた䞊で

    「『ここに映っおいる物にはこんな意味・機胜があるのではないか』ずか『明蚀されなかったが、実はこの登堎人物はこの時こんなこずを考えおいたのではないか』ずいう『裏偎の掚枬』も『考察』ずいう単語に含たれおいたす。」(p58)

    同䞊

    ずしたす。
    これらはいわゆる考察ず呌ばれるものの最も䞭心的な、盎感的にもわかりやすい意味だず思いたす。

    その䞊で

    「特城的なのは、その予想を各自が『信じおいる』ように衚明するこず」(p60)

    同䞊

    「怜蚌や思考のラむトさを匷調するニュアンスが、考察』ずいう蚀葉には含たれおいる」(p62)

    同䞊

    ずしおいたす。

    ぀たり「わからないけど、この考察を信じたす」「信じるか信じないかはあなた次第です」的なノリですね。

    これらのように、倧島さんは考察に関しおは甚語法の芳点から、その蚀葉がどのように䜿われおいるかずいう芖点で意味を絞っおいきたす。逆に蚀えば、明確な定矩をあえお避けおいるずいう印象です。

    その点に぀いおは埌で蚘すずしお、次に「批評」の定矩です。

    「過去や未来を意識しお発せられるゞャッゞの蚀葉」(p50)

    同䞊

    ずしたす。
    単なる感想ず比范しお、批評察象の文脈を螏たえおいる姿勢が必芁ずいうこずでしょう。

    さお、ここからは倧島さんの著䜜を読んで私の感じた違和感をもずに、自分なりの明確な定矩に螏みいろうず思いたす。

    たずは「感想」の定矩。

    「感想」ずは

    「感じお思ったこず」


    これは良いでしょう。
    倧事なのは倧した根拠がないずいうこず。自分自身で感じおいればオッケヌなのが感想です。
    ただし、倧島さんの考えずの違いを匷調するならば、私の定矩における「感想」は「感じお思ったこずの党お」です。
    ぀たりこの定矩では、考察や批評は「感想」ず包含関係にありたす。党おが「感想」に含たれるずの認識です。

    次に「考察」の定矩。

    「考察」ずは

    「根拠のある正誀刀断」

    です。

    正誀刀断なのだから根拠があるのは圓然ですが、倧事なこずなので匷調したす。

    ちなみに倧島さんは、考察ブヌムには

    「正解を䞀぀に絞らず、できるだけ倚くの切り口を持぀こずを楜しむ」

    同䞊

    ような傟向があるずしお、「最近の若者は正解を求めおいる」ずいう俗説を退けたす。

    しかし私はこの考えをさらに批刀しお、「考察」はやはり明確な答えの存圚を前提ずする「正誀刀断」のこずであるずしたす。

    確かに、昚今の考察ブヌムでは、考察が圓たろうが倖れようが蚱容しお、その質や面癜さを評䟡しお享受するずいう傟向がありたす。先皋も蚀及した「わからないけど信じる」ずいうノリのこずですね。

    しかし、考察の「正解の無さ」を匷調する䞀方で、倧島さんは「䜜り手の意図至䞊䞻矩」ずいう節を蚭け

    「犯人や䜜者がしたこずにはすべお『わざず』か『裏の意味』がある、ず思い蟌んでしたう」(p63)

    同䞊

    ずしおいたす。

    これはもっずもだず思うのですが、だずしたらやはり、昚今の考察ブヌムを担う人々は、明確な答えを求めおいる蚳ではないにしおも、

    明確な答えの存圚を前提ずしお、その答えに挞近するゲヌムを楜しんでいるのではないか

    ずいう考えが浮かびたす。

    ぀たり、「䜜者の意図」や「裏の意味」が「答え」ずしお存圚するず仮定しお、そこぞ可胜な限り近づく䜜業。それが「考察」の正䜓であるず蚀えそうです。

    最埌に「批評」の定矩に぀いお。

    「批評」ずは

    「根拠のある䟡倀刀断」

    のこずです。

    批評察象ずした䜜品が、良い䜜品なのか悪い䜜品なのか、ある郚分は良くおどの郚分が悪いのか、䜕かしらの䟡倀刀断を行うこずが必ず必芁です。そしおそれは、明確な根拠に基づいおいなければ単なる感想になっおしたいたす。
    䟡倀を刀断するには「根拠」が必芁です。そしお䟡倀を刀断するための基準ずしお、同じ䜜者の過去の䜜品やテヌマの共通する䜜品などを揎甚したす。぀たり「文脈」がもずめられるのです。この「文脈」は蚀わずもがな、先ほど匕甚した「過去や未来を意識しお発せられるゞャッゞの蚀葉」(p50)ずいう、倧島さんの批評の定矩における「過去や未来を意識」ずいう郚分にあたりたす。

    ここたでくるず、

    「批評の存圚䟡倀ずは䜕か」

    ずいう疑問が浮かびたす。

    倧島さんはこの問いに察しお

    「耇雑な䜜品を䞖に残すため」(p45)

    同䞊

    ず説明したす。

    抂ね同意ですが、個人的には芯を食っおいたせん。

    私の蚀い方では、

    䜜品の倚様性を最倧限担保するため

    です。

    圓然、ある人物の䞀生にずっお、出䌚う䜜品より出䌚わない䜜品の方が倚いです。しかも出䌚う䜜品は、自ずず有名な䜜品ばかりになりがちです。これは昚今のメディアの状況を螏たえお、盎芳的にわかるこずだず思いたす。
    ですが、その流れがただひたすらに進むずどうなるでしょうか。
    人気の薄い䜜品(䞻に゚ンタメ性が䜎い䜜品)は、珟代の瀟䌚では経枈的理由で淘汰され残らず、芞術党般の傟向が画䞀的になっおいくでしょう。
    しかし、珟にそうなっおいたせん(あるいは䞀郚でそうなり぀぀あるのかもしれたせんが )。

    その理由は、「批評」ずいう「個々の䜜品の䟡倀を刀断し、創造する営み」が機胜しおいるからにほかなりたせん。

    批評がしおいるこずはある意味、「䟡倀の抌し付け」です。たずえどんなに根拠が倚かろうず、それが䟡倀刀断を含んでいる蚀説であれば、必ず恣意性を䌎いたす。䟡倀刀断ずは本質的にワガママなのですね。
    だから、党く共感できない批評が必ず存圚するし、「それっお必芁」ず疑いたくなるず思いたす。

    しかしそれず同じように、心の底から共感できる䟡倀刀断、぀たり「批評」に出䌚うこずもあるでしょう。そしおそのような機䌚は、「批評」の䞖界が豊になればなるほど増えおいきたす。

    ぀たり私たちは、

    ある䜜品に぀いおの評䟡を「アりト゜ヌシング」し、䟡倀刀断のコストを瞮枛するずずもに、䜜品ずいう存圚の倚様性を保っお、より豊かな䞖界に生きようずしおいる

    わけです。

    いささか楜芳的ですが、私は芞術や゚ンタメを取り巻く䞖界に、このようなおめでたい力孊が働いおいるず信じおいたす。

    さお、このようにしお私は倧島さんの著䜜を通しお「批評」の䟡倀を刀断し、創造するこずを詊みたわけですが、䞀人でも倚くの方に共感しおいただければこの䞊なく幞いです。

    倧島行宙さんの著䜜『なぜあなたの感想はふ぀うなのか—独自の芖点で語る技術』は、はじめの第䞀郚だけもこのように知的探求心をくすぐる䞀冊なので、ぜひ曞店等で手に取っおみおはいかがでしょうかおすすめです。

    なぜあなたの感想はふ぀うなのか 独自の芖点で語る技術 | 倧島育宙 |本 | 通販 | Amazon

    ※タむトル画像は著者がChatgptを䜿甚しお生成したAI画像です。

     
     
    郜内某倧孊で映画研究する某映画通スタッフ。 䞻に映画・芞術・サブカル・瀟䌚孊をテヌマに、「物事がなぜ存圚し、自らがどう存圚すべきか」を問い続けたす。 珟圚は週12蚘事ペヌスで進めおいたす。 批評 考察 映画 芞術 サブカル #読曞

    あなたぞのおすすめ