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『嘘吐き』 


    #創作大賞2026
    #オールカテゴリ部門

    『嘘吐き』

    俺の名前はガイア(32)
    元々バンドでボーカルをやっていたが、仲間達はどんどん売れてき、俺達は取り残されていた。
    その後、俺はバンドを辞め音楽も辞めた。
    何もなくなった俺は、友達に誘われるままに新宿歌舞伎町のボーイズバーで働いていた。

    そして、いつもの様に外でキャッチ(お客さんを捕まえる事)をしていたら、
    あまり歌舞伎町では見かけない女の子と出会った。
    名前はミズキ(21)
    最初はお店に呼ぶつもりで声をかけたのだが、どことなく他の人と違う雰囲気だったため興味を持ち、この子と付き合おうと思い告白したらOKしてくれて2人は付き合う事になった。

    思えばそれが、悪夢の始まりだったのだ...

    俺は夜中の仕事なのでいつもデートは昼過ぎからだった。
    何度かデートを重ねていくうちに男女の関係にもなった。
    それから、1ヶ月ほど経った時、子供を1人連れてきた。4歳の男の子だったが、少し幼くまだオムツをしていた。
    「どうしたの?この子はだれ?」と聞くと、ミズキは「親戚の子供で2人が別れてしまい子供を私に預けていったから面倒を見ている」と言った。
    俺はまさかそんな事あるはずがないと思い、何度も自分の子供じゃないのか?と聞いたが、本当に親戚の子供だと言っていた。
    俺もまぁ、この後どんな展開になるのかな?なんて少し楽しんでいた事もあり、その日はその子と3人で過ごしたのだった。

    そうしたらまた思いがけない展開が訪れた。
    今度はベビーカーに乗った1歳の男の子を連れてきたのだ。
    これにはさすがに俺も驚愕し「怒ったり咎めたりしないから本当の事を言って」と言ったのだがミズキは「この子も同じ親戚の子供で、いつもは自分の父親が見ていたが、今日は父親が仕事のために私が見ている」と言って、あくまでも自分の子供ではないと言っていたのだった。
    それからはデートの度に
    子供が2人付いてくる事になるのだった。

    ところが、本当の事が分かる時が来た。

    クリスマスイブの夜
    彼女は実家で父親と、親戚の子供2人と住んでいると聞いていたが、
    「家の場所教えてよ」と
    言ったら「また、今度ね」と誤魔化された。
    だが強引に教えてくれと粘ると、じゃあ場所だけと埼玉県のとある駅で降り、家まで彼女と子供達2人と4人で一緒に向かった。
    しかし、駐車場の中とか砂利道とか家と家の隙間とか、あきらかに普通この道は選ばないだろうという道のりを歩かされた。
    そして家に着いた。
    そこは駅から少し離れたマンションだった。
    だが着いたらすぐに、じゃあ駅に戻ろうと言われ「親父さん仕事なら少し家に入れてくれない?」と言っても「大家さんがうるさいからダメ!」と言われ、よく意味が分からなかったが、かなり焦っているのが分かったので、渋々駅に戻る事にした。
    戻る道はなぜか普通の道だった。
    だが、そのため衝撃の事実を知る事になるのだった。

    駅に戻る途中に坂道があり、そこで少し休んで話をしていたら、
    坂の上を若い男の人が1人横切った。
    すると連れていた長男(4歳の男の子)が
    「パパーッ」と走っていったのだ!
    そうしたら、その男の人はこっちに来て、俺に
    「お前は誰だ?」と言ってきたので「お前こそ誰だ?」と言い返すと、「俺はこいつの旦那だ」「この子供達も俺の子だ」と言ったのだった。
    俺の頭の中は「パパ?旦那?俺の子?俺が悪者?」と戸惑っていた。
    こっちに男は詰め寄ってくるが、そこを彼女が止め「また連絡するから」と、その男(旦那)と子供達を連れて帰っていった。

    途方にくれながら駅に向かい、途中の公演でどうしようか考えていると、彼女からメールが入っていた。内容は
    「あの男は元旦那で、自分のお父さんがお金を借りているから、それを返してもらいに時々来ている。もう別れている。」という様な事だった。
    しかし、あまり信じられなかったので家に電話をかけた。
    すると強い剣幕で
    男「なんだお前!こいつのなんなんだ!」
    そこで俺は冷静に
    俺「元旦那と聞いているが?」
    男「元じゃねー!今の旦那だ!」
    俺「子供は二人とも?」
    男「俺の子だ!」
    俺「...」
    男「(彼女に向かい)お前また嘘ついてるのか?」
    俺「怒るのはやめてあげてください。」
    すると話しているうちに男も冷静になってきて
    男「今どこにいるんだ?」
    俺「駅の近くの公園にいる」
    男「今からコイツ(彼女)行かせるから、話しろ」
    俺「分かった。」
    そして電話を切り彼女を待った。
    旦那が来て殴られるかとも思ったが、ここは話さなければいけないと、1人で待った。

    すると彼女は1人で来て
    ベンチで俺の横に座り
    ミズキ「ごめんなさい」
    俺「どうしてそんな、嘘をついたの?」
    ミズキ「実は結婚していて、あの人は旦那、子供2人も私の子」
    俺「旦那も居て子供も居て、なんで歌舞伎町でフラフラしていたの?」
    ミズキ「旦那と居るのが嫌で...」
    俺「どういうこと?」
    ミズキ「旦那は私や子供達に暴力を振るうし、いつも怒鳴られる。だから逃げてしまう」
    俺「俺と付き合うと言ったのは?嘘?」
    ミズキ「そんな時にガイアが現れて優しくしてくれたから、好きな気持ちは嘘じゃない」
    そんな会話をした後、
    もうこの関係を続けていくのは無理だね。
    と話し、2人はそこで最後に抱きしめキスをして別れた。

    はずだった。

    仕事に入る前にメールが来た。
    そこには「メリークリスマス」と書いてあった。
    俺は「ありがとう、でももう別れなきゃね」と返した。
    すると「別れたくない。また会いたい」と返ってきたのだった。2287文字

    仕事が終わり、メールの返信を迷っていたのだが、とりあえず「また会えるといいね」と送った。
    するとすぐに返信が来て
    「いつなら会える?」
    俺ももう一度会って、落ち着いて話をしてみてもよいかなと思い、
    「来週の◯曜日◯曜日なら大丈夫」と
    そうしたら「じゃあ◯曜日の◯時に待ち合わせ」と送ってきたので、また会う事になったんだ。
    当日、子供は父親が見るということで、1人で来たのでそのまま、ご飯を食べながら話を聞くと
    「旦那にいつも怒鳴られる」「子供達も暴力を振るわれる」
    その話の中で、とんでもない話があり
    「下の子をバッティングセンターの椅子にくくりつけて、ボールがギリギリに飛んでくるのを見て楽しんでいる」などとサイコパス的な事を言っていたので
    俺は「さすがにそれは無いでしょう」と言うと
    「嘘じゃない!本当だ!バッティングセンターの人に助け出された」などと言っていた。
    正直眉唾の話だが、こんな嘘みたいな事を言ったりするのも、旦那のDVのせいかと同情してしまったのだ。
    そして
    俺「旦那と別れなよ!そして一緒に住もう」
    と言ってしまったのだ。

    この発言が後に起こる
    地獄の様な出来事に繋がるのだった。

    ミズキ「旦那が別れてくれないと思う。」
    俺「待ってるから」
    と...

    それから何ヶ月か経ち、俺はボーイズバーを辞めた。
    そして彼女と一緒に暮らす部屋を探した。
    彼女の旦那も渋々離婚する事を認めた様だった。

    部屋が見つかり、彼女も子供を連れて俺の所へ来た。
    もう、これからはミズキも嘘をつく必要もなく、幸せに暮らせるだろうとその時は思いました。

    しかし、その考えはすぐに崩れ去りました。

    一緒に暮らしてすぐには、俺もミズキもなかなか仕事が見つからず、俺も消費者金融で借金をしたり、ミズキも父親からお小遣いをもらったりしたお金で、パチスロをして勝てば良い物を食べたり負けたらカップ麺だったりと、子供2人居るのにどうしょうもなく自堕落な生活をしていました。

    しかし、それから約一年が過ぎた頃に、新しい命が宿りました。
    さすがにこれからは、しっかりと働かなければいけない。

    僕は就職する事に決めました。
    働いた場所は、地元界隈では有名なラーメン屋。

    なぜラーメン屋にしたのかというと、若い頃に某ラーメンチェーン店で、けっこう長く働いていたから、昔取った杵柄という感じで軽く決めたのです。
    でも、いくら前に同業で働いていたとはいえ、働き方もルールも全くの別物。
    何度辞めようかと思ったけど、産まれてくる子供のためにと一生懸命働いたつもりです。

    しかし、ミズキは
    スーパーで働いても、ファミレスで働いても、保険屋で働いても、長続きしなかったのです。
    それどころか、辞めた事を隠して働いているふりをして出かけていき、パチスロを打っていたのです。
    「なぜ?辞めた事を言わなかったのか?」と聞いても黙っているだけ。
    しかもそのパチスロも、計算が弱かったせいか自分ではプラス収支だと思っていても、実はマイナス収支だったのです。
    例えば1万円使って、回収が2万円だった場合、
    収支はプラス1万円のはず。
    それをなぜか回収した2万円を収支だと勘違いしていたのです。
    もっと酷いのは、3万円使って回収が0円の場合、マイナス3万円なのは誰でも分かると思うのだが、それをトントンだと言っていたのです。
    最初はそんな当たり前の事を間違うはずがないと思っていたので、聞いたままを信じていたんだけれど、なぜか、お金が無いと、何度も何度もせびってきていたので、よくよく聞いてみたら、まさかの事実だった。

    さすがに痺れを切らした俺は、
    「もう二度とパチスロはするな」と言いました。
    ミズキは「分かった」と言ったので、その時は話を終えました。

    それから何年か過ぎ、俺は、働いていたラーメン屋が事業形態を変え、売り上げが失速したため、店長と話あったが、意見があまりにも食い違い、その店を辞めることにしました。
    余談ですが、僕が辞めてから3ヶ月後に店は潰れてしまってました。
    その後、少し派遣を続けていたけれど、僕より一足先に同じラーメン屋を辞めて独立した先輩に誘われ、そこで働くことになりました。
    その人は日本でも有数の有名ラーメン店主だったのです。
    ここで働いて、自分も美味しいラーメンを覚えて、人気のラーメン屋になり、家族を養っていこうとあらためて誓ったのです。

    そしてその頃ミズキはというと...

    某配送業者で働いていました。
    どうやら先輩や仲間ともうまくいっている様で、珍しく長続きしていました。
    少しだけ安心しました。
    子供達も上の2人の連れ子が中学生と小学校高学年、僕の子供も小学校低学年。
    このままミズキも落ち着いてくれればと思っていました。

    しかし、そんな簡単に
    変わってなんていなかったのです。

    ある時、一通の手紙が届きました。

    宛名にはミズキの名前。
    送り主は消費者金融会社。
    その日の夜、問い詰めると
    ミズキ「これは私じゃない、私の友達が勝手に私の名前を使って借金をしたんだ」
    俺「そんな他人がそんな事出来るわけがないだろう!名前も住所もしっかり書いてあるのに」
    ミズキ「私は知らない」
    俺「パチスロ止めてないのか?」
    ミズキ「止めた。言われてから1回もやってない」
    俺「嘘をつくな!カバンの中を見せてみろ!」
    ミズキは財布と持っている2つのカバンの中を開いて見せました。
    確かに中には銀行のキャッシュカードはあるが、他には何も怪しい物は見当たらない。
    でも、腰に着けているポシェットを見つけ、
    俺「その中を見せてみろ」
    ミズキ「これはダメ」
    俺「その中にカードが入ってるだろ?」
    ミズキ「この中にカードは入って無い」
    僕は、さすがに頭にきてそのポシェットを奪い、中を開き逆さにしました。
    すると、ありとあらゆる
    消費者金融や信販会社のクレジットカードが、何枚もバラバラと落ちてた。
    数えたら12〜13枚有った。

    人は本当に驚いた時は声が出なくなると言われるが、それって事実なんだなーと頭を過ぎりました。
    まさか、そんなに何社からも借りていたとは...

    さすがに観念したのか
    ミズキ「仕事もクビになったり行かなくなったりして辞めて、それを言うと怒られるかと思い、パチスロでなんとかお金を稼ごうと思ったら、全然うまくいかず借金して、それを返すためにまた借金をして...気づいたら何社からも借りていた」
    と白状した。
    俺「もう自己破産しかない。俺が休みの時に連絡を取り弁護士の所に行くぞ」と言って、もう心身共に疲れたのですぐに寝てしまいました。

    俺が休みの時に、市役所で弁護士無料相談をして、その弁護士さんにあらためて自己破産手続きをしてもらう事にしました。
    手付金や支払いは、俺が先に立て替えて、ミズキに「これは自分の犯した事だから、仕事を見つけて月々俺に返しな」と言い、ミズキも納得しました。
    さすがにこれだけの失敗をしたなら、反省してもう二度と同じ過ちを繰り返さないだろうと...

    でも、僕の心はもうミズキを信用出来なくなっていました。
    出会った時からの数々の嘘が、元旦那のDVのせいなんかじゃなく、元々の性格なんじゃないかと思う様になりました。

    そして、心と身体は繋がっている様で、その日から俺とミズキはセックスレスになったのです。
    別々の部屋で寝る事にしました。

    2人はそのままの状態で、月日が流れていきました。
    もうほとんど会話もなく、話す事と言えば子供の事だけ。

    何ヶ月か後に、子供が先生からの手紙を持ってきました。
    そこには「給食費が支払われてません」と書いてある文章。
    確か、給食費が無料になる手続きをしといて、とミズキに頼んでいたはずなのだが?と
    嫌な予感をしながらも
    休みの日に溜まっていた給食費を分割にしてもらい、学校に持って行きました。
    すると、担任と生活指導の先生が「ありがとうございます」と言いながらも、どこか不思議な表情をしていました。
    ある日、いつもの様に学校に給食費を持っていったら、担任と生活指導の先生が「少しお時間ございますか?」と言ってきたので「大丈夫ですよ」と答え、もう生徒も居ない教室で三人で話をする事になりました。
    生活指導の先生
    「実は、奥様から旦那さんがお金を使い込んでしまい困っていて給食費が払えないと言われたんです」
    俺「そんな事をした事はありません。嫁に給食費無料の手続きを頼んだのに忘れていて、給食費がかかるのを言いたくないから、嘘をついて俺のせいにしてるんです。」
    2人は驚いた顔をしながらも
    生活指導の先生「おかしいな?話が違うな?と思っていたんです、毎月旦那さんが給食費を支払いに来る姿を見て」
    俺「ありがとうございます。これからも何か有りましたら連絡下さい」
    2人「こちらこそ、何か有りましたらいつでも相談しに来て下さい」と言ってくれました。
    家に戻り帰ってきたミズキを、俺は怒鳴りつけた。
    「先生にまで嘘ばかりつきやがって、お前俺を舐めてるのか?」と、
    するとミズキはまさかの態度をとりました。
    下を向きニヤニヤしながら頷いたんだ。
    俺はぶちギレて殴ろうかと思いました。
    しかし、その時頭を過ぎったんです。
    《ここで手を出したら、この先離婚をした時に不利になるのではないか》と
    俺は少し外に出て、1人で居酒屋に行き、止めていたお酒をビール1本だけ飲みました。
    もうアルコールを受け付けない身体になっていたせいなのか、嫁に対する怒りが頂点に達していたのか思い出せないが、とても不味かった。
    それから今に至るまで、アルコールを口にする事は無かった。
    帰ってきたら嫁はいびきをかいて寝ていました。
    それがまた反省してない様で、無償に腹立たしく感じたけれど、俺もこれ以上怒ると血管が切れそうだし次の日も朝から仕事なのて寝ることにしました。
    ちゃんと寝れたかどうかは、もう覚えてないけれど...

    そして問題だったのはお金だけじゃなかった。

    ある日、嫁と子供が居ない時に何ヶ月ぶりかに隣の部屋を覗いてみた。
    すると、嫁の親父さんに買ってもらったテレビが無かった。
    それだけじゃなく、子供達に買ってくれたポータブルゲーム機も、どこを探しても見つからなかったのだ。
    嫁が帰ってきてから問い詰めると
    嫁「仕事場の研修様に必要でモニター代わりに使っていると言った。」
    俺「そんなの会社で用意するだろう」
    嫁「働いている部署にはテレビが無く用意もしてくれないから家のを貸している」
    俺「大手の会社で、そんな事あるわけないだろう」
    嫁「嘘じゃない、本当だ」
    俺「どうせ売ったんだろう。それに親父さんが買ってくれた、子供達のゲーム機はどうした?それも売ったのか?」
    嫁「売ってない、友達の家に預けている、子供達に聞いてみて」
    子供(次男)「僕の友達の家に預けているよ。ママが売っちゃうから」
    嫁「本当でしょ」
    俺「そんな事普通に考えてあるわけないだろう。なんて言って預かってもらってるんだ?」
    子供「家に置いとくと無くなるからって」
    俺「まぁいい、どうせ嘘はすぐにバレるからな。親父さんが来た時に全部話すから」
    嫁「話してもいいよ、本当だから」
    そこで俺は話を切り上げた。
    なぜなら怒りとストレスで、こっちの体調がおかしくなりそうだったから

    それから数ヶ月が経ち今度は、
    嫁が配送業者の人達と飲み会があるというので、仕事場でうまくいっているなら、ギャンブルや借金もしなくてすむし、正直な話、嫁が居ないほうが気持ちも休まるので行かせた。
    子供達にご飯を食べさせ
    寝かせてから、ゆっくり借りてきたビデオを観ていたら、庭でなんか男の人の話し声がする。
    借りていた部屋は1階なので窓の外がすぐ庭だった。
    最初は隣の部屋の若いお兄ちゃんの所に友達が来ていて、外で話しているのかと思い、人の庭の方まで来て迷惑だから文句でも言おうかと思い、少し話を聞いているとどうやら誰かと電話で話しているらしい。
    大きい声だったので内容も丸聞こえだった。
    男「家に行って迎えに来てもらうぞ」
    「なんでダメなんだよ!酔っ払ってて動けないんだろ」
    「家に行くからな」
    などと話していた。

    ん?これは隣の家の友達じゃなくて、嫁の働いている仕事場の人だな!
    と感づいた。
    そして声がしなくなり、まもなくチャイムが鳴りました。
    出ると外に居たのは、服装から、やはり嫁の仕事場の人。
    玄関を開けたら「え!?」とビックリしていたので、俺も「え!?」となったけど、すかさず
    俺「嫁の仕事場の人ですよね?」
    男「はい。え!?お兄さんですか?」
    俺「え!?旦那ですけど」
    男「え?え?え?」
    すぐに察しました。
    俺「アイツ、なんて言ってたんですか?」
    男「あのー、旦那さんが亡くなって、旦那さんのお兄さんが子供を見てくれていると言ってました」
    俺「はぁ(ため息)、全部嘘ですね。俺は殺されてましたか(苦笑)」
    男「... あ!写真も有ります」
    彼のスマホを見せてもらうと、それは韓国の歌手か俳優の切り抜きの写真、しかも枠まで付いているお粗末なもの。
    それを説明するとハッと気付いたみたいで、
    男「彼女が嘘をついている事は分かりました。
    おかしいなとは思っていたのですが...」続けて
    「飲み過ぎて酔っ払って動けなくなっているので、迎えに来てくれませんか?」と言われました。
    俺は「旦那は死んだ」と言われていた事に頭にきたと同時に呆れ果ててしまい
    「死んだと言われていたし、もう愛情も何も無いので、自業自得で動けなくなっていたとしても、迎えになんか行きません。
    お手数かけて申し訳ないですが、公園にでも放っておいてください。」
    と言い放ち玄関を閉めて鍵をかけた。
    その日、嫁は帰ってきませんでした。

    嫁は次の日の昼に帰ってきたので
    俺「昨日は何してたんだ?」
    嫁「公園で今まで寝てた」
    俺「嘘をつけ!昨日来た男の家にでも行ってたんだろ!」
    嫁「嘘がバレたから突き放された。だから公園のベンチで寝てた」
    俺「人を死んだ事にする奴なんてどうでも良いけどな!」
    嫁「...」
    俺は怒りを通り越して呆れ果てていたので、そのまま外に出ていきました。
    そして確信したのだ。
    嫁は『嘘つき』なんて生易しいものではない、吐く言葉が全部嘘の『嘘吐き』なのだと

    やがて嫁は、某配送業者の仕事も知らぬ間に辞めていて(嘘がバレて居づらくなったんだろう)、今度は警備の仕事を始めた様だった。
    俺はもう、家庭内別居の様な生活をしていたので、ストレスがかからない為に嫁の事に何も興味を持たなくなっていた。
    しかし、お金の事だけは気をつける様にしていたのだが...

    あれから何事も起こらず平穏な日々を過ごしていた。
    ただ、逆にそれが気にかかっていた。

    そして、この静けさこそがこれから起こる大嵐の前触れだった。

    第一部 完

     
     
    19ロックな年の寒い月に生まれました。 ☓1 成人した息子が居るシングルファザー。 BOØWYの氷室京介さんで人生が変わり、90年代ヴィジュアル系バンド「DEJAV」Vo演ってました。 現在も多数のライブ活動や「劇団ヤミツキ準備中」で演劇にも出演中。 よろしくお願いいたします♪

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