
合格発表 | エッセイ
高校受験の出願直前、第一志望校への合格見込みは六割ほどだった。両親や担任は言っていた。受けたいなら受けてもいい。ただ、合格しても、勉強についていくのが大変になるかもしれない。結局、私は志望校のランクを下げた。合格圏内になったかわりに、高校生活への期待は消えていった。
合格発表の日、私は一人で高校に向かっていた。校門を目前にして、後ろから声をかけられた。幼稚園からの友達だった。彼女はずっと、この高校を目指して勉強していた。
校門を過ぎ、玄関前に貼りだされた合格者の番号に目を向けた。合格して当たり前だと思っていると、こんな場面でも緊張しないことを知った。自分の番号を見つけた。彼女の番号は見つけられなかった。
落ちちゃった。頑張ったんだけどなあ。
彼女は泣くのをこらえていた。どんな声をかけたらいいのか。いや、この瞬間に私からかけられる言葉は、ひとつもなかった。私にできたのは、彼女からなるべく目を逸らさないことだけだった。そして、彼女を見ながら、私は合格できてよかったんだと思った。
それから二十年以上が経つ。私は挑戦できなかった自分への不信感と、今も一緒にいる。彼女と一緒に合格発表を見ていなければ、あの日をただ自分が合格した日として覚えていたと思う。