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【創䜜】黒田補䜜所物語 第5話 韍虎

     虎䞀ず䞉井が再䌚する日から遡るこず十数幎、二人は勀務しおいた垝囜玡瞟郡山工堎の宿盎宀で寝支床をしおいた。四畳半の畳郚屋には垃団の他には䜕もない。機械の故障や事故が生じた時のために通垞は䞀人だけが宿盎勀務をしおおり、この日は虎䞀が圓番だったが䞉井が志願し二人圓盎ずなった。
     宿盎の亀代は時々あるものの、二人で行うこずはほずんどなく虎䞀は戞惑いながら垃団の準備をした。黎くさい垃団での熟睡は難しいが、他に嚯楜がある蚳でもなく、この郚屋に入ればラゞオか寝るしか楜しみは無い。

     虎䞀が目で合図をしお裞電球を消そうずした時に䞉井が話しかけた。思い぀めた衚情をしおいた。
    「電気を消す前に、ちょっず座れよ」
     垃団の䞊で胡坐をかいおいる姿に埒ならぬ緊匵感を感じ、虎䞀は自分の垃団に正座しお䞉井の蚀葉を埅った。
    「召集什状が来た。ここでの仕事は今倜限りだ」
     淡々ず呟くように話し始めた。虎䞀に驚きは無かった。戊火が激しくなる䞭、こうしお䜕人かの工員が召集されおいた。そしお今日の䞉井の様子からそのこずを察しおいた。かける蚀葉が芋぀からないたた真っ盎ぐに䞉井を芋぀めた。䞉井は手元に眮いおいた手提げ袋から小瓶ず䞀個の盃を取り出した。
    「勘違いするなよ、氎盃じゃねぇからな。お前ずは生たれも育ちも違うが、ここで四幎間同じ釜の飯を食った。お前が職堎での先茩ずいうだけじゃなく、お前の仕事勘にはずいぶんず助けられたし気を蚱せた。瀌を蚀う、ありがずう。袖振り合うも䜕かの瞁ず蚀うくらいだが、俺ず虎は前の䞖では、兄匟だったのかもしれねぇずも思うのさ。だからよ今䞖でも矩兄匟にならねぇか。生き延びおい぀か今生で䞀緒に飲もうぜ」
     䞉井の頬を䞀筋の涙が走った。

     虎䞀に断る理由は無かった。他瀟から出向で来た男だったが、少し幎䞊の䞉井には仕事を習い瀟䌚を習い、ずっず慕っおきた。䞉井が持぀掞察力、倧局芳の凄さに敬意も抱いおいた。蚀葉に出すこずは無かったが兄が居ればこんな感じなのだろうかず考えるこずもあった。たた䞉井の䞋の名が「韍二」ず知った時は、「韍虎」ずしお盞通じるものも感じおいたずころである。その䞉井ず矩兄匟ずしおの盃を亀わせるこずは玠盎に嬉しかった。二人で過ごす最埌の倜になるずしおも。
    「よく、酒がありたしたね」
    「賄いのばぁさんに頌んで、みりんを、な」
     䞉井が埮笑む。
    「お前にだから蚀うが、この戊争は負けるぜ。けどな、虎、生き延びようぜ。昔の䞭囜の偉い人たちは『生たれは違えども、共に死なん』ず桃園で兄匟の契りを誓ったそうだ。けど、俺たちはこの戊争を生き延びお、長く生きおどっちが良い仕事をできるか競い合おうぜ。その誓いを守る限り、俺たちは兄匟だ」
     䞉井の顔に涙は無く、生き抜くこずを決意した挢の顔をしおいた。
    「五分の兄匟ですか」
    「銬鹿、どう考えおも俺が䞊で四分六だろう、ず蚀いたいずころだが、お前の五厘萜ちでどうだ」
    「合点です」
     䞉井がみりんを泚いだ盃を口にしおから虎䞀に枡す。虎䞀は顔をしかめた。
    「兄さん、矀銬の酒もこんなに甘い感じですか」
    「銬鹿野郎、今床䌚う時はちゃんずした酒を飲たせおやる。旚さに驚くなよ。郡山の、田舎の酒ずは蚳が違うからな」
     二人は声無く笑った。
    「兄さん、仕事も長生きも負けやしたせんから」
    「生意気な匟を持っちたった」
     い぀かたた、共に飲む日を倢芋ながら垃団に朜り蟌んだ。
    第話 おわり

    第1話



    #創䜜倧賞2025
    #お仕事小説郚門

     
     
     
    noteは日垞䞭心、TALESは創䜜小説を投皿しおいおいたす。 創䜜倧賞2025「黒田補䜜所物語」䞭間遞考通過。第29回自費出版文化賞 小説郚門「スプラりト」入遞。 人間讃歌の物語に挑戊しおいたす。

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