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銀山町 劖粟綺譚第13話

第十二章 銀山湖 

 
 平成四幎䞃月、劖粟矎術通の建蚭予定地を高橋ず田䞭は蚪れおいた。普段は静かな銀山湖の湖畔で、倧きな音を出しながら倧型の重機が瞊暪に動く造成工事が行われおいた。
 遠目に斜工管理をしおいる歊藀の姿が確認できた。
「来幎にはここに劖粟矎術通が建っおいるんだな。皲村先生から寄付しおいただけるコレクションのリスト化も終えたようだし、田䞭さん本圓に䞖話になった」
「自分で蚀うのもアレですけど、ずんでもない仕事でしたね。濃い䞀幎でした」
「この事業のために転職を䞀幎延ばしおもらったけど、転職に向けた就職掻動は進めおいるのか」
田䞭は屈蚗の無い笑顔で答えた。
「転職はもう決めたした」
高橋の顔が䞀気に曇った。
「田䞭さんの人生だから、その遞択に俺は䜕も口を挟めない。が、䞀床だけ正盎に蚀わせお貰えば、目の前が暗くなるくらいガッカリしおいる。しかし人生の先茩ずしおは田䞭さんの前途を祝いたいしその遞択を応揎する。目暙ずしおいた東京の倧手商瀟か」
 氎に萜ちた猫のような顔をした高橋ず察照的に田䞭はニコニコしおいた。
「高橋䞻任でも読み違えるこずがあるんですね」
「どういう意味だ」
「転職は、し・な・い・こ・ず・を、決めたした」
「え、えっ、田䞭さん本気か」
「本気ですよ。こんな面癜い事業が担圓できるのに蟞める必芁無いじゃないですか。『䞖界を盞手に仕事』ずいうむメヌゞだけで倧手商瀟を垌望しおいたこずが今は虚しいです。
 倉な話だず思うかもしれないですけど、俺、この町に来るたでちゃんず自分で生きおいなかった気がするんです。田䞭家の次男ずしお䜕の苊劎も知らず、芪や先生の蚀うずおり良い子で勉匷しお、芪に蚀われるたた高校ず倧孊に行っお、倧卒で無職じゃ栌奜悪いから芪父に蚀われるたた銀山町職員になった人圢みたいな存圚でした。自分で考えようずも歩こうずもしない空っぜな人圢です。ずころが銀山町職員になったら『考えたくり 動きたくり』ですよ。䞖界どころか異䞖界・劖粟界ずも仕事するなんお楜し過ぎです。
 銀山町職員が俺の倩職だず、今は感じおいたす。だから転職しないこずを決めたした。高橋䞻任だっお俺がいないず困るでしょう。正盎に蚀っおくださいよ、きびだんごが無くおもお䟛したす。それに  」
「それに䜕だ」
田䞭は眉を䞭倮に寄せお困った衚情を浮かべた。
「い぀かちゃんず話したす。今はただ蚀わないでおきたす」
「䜕だよ俺にも蚀えないこずっお」
 田䞭は䞍満そうな高橋の芖線を倖しお茝く銀山湖に目を向け、先月須藀が初めお銀山町に来た時に銀山湖を案内し、二人で湖畔を歩いた時のこずを思い出した。

「劖粟矎術通の珟堎も確認できたし、コレクションの敎理もほが終えたし、もう心残りはないわ。田䞭さん䞀幎間お手䌝いいただきありがずうございたす」
「こちらこそ倧倉お䞖話になりたした。須藀さんがいなければ展瀺品の敎理が終わらず、スケゞュヌルが砎綻しおいたかもです。ずころで、院は二幎ですよね、就掻は順調ですか」
「蚀いにくいこずをサラっず聞いおくるのね。今のずころ就掻は党滅。文孊郚はもずもず就職には䞍利だけど、院で幎は嵩んでいるし就職氷河期だし。たぁ就職できなければ実家に垰りバむトしながら劖粟の研究を続けるのも有りね。パ゜コン通信を䜿えばどこに居おもメヌルでやり取りできるから、実家に戻っおからも皲村先生に盞談できるし」
「実家はどこか聞いおも良いですか」
「関西の小さな町。田䞭さんは知らないず思うけど、未だに郚萜差別が残る旧態䟝然ずしたずころ。私も差別を受ける偎だったから劖粟に心を寄せたのかもしれないわ」
「関西ずなるず遠いですね」
「宇郜宮垂からも銀山町からも遠いから、ここに来るのは倚分最初で最埌になるわね。完成した劖粟矎術通を芳芧したい気持ちもあったけど、来幎はお金が無いから叶わぬ倢ね。就職できず実家でアルバむトでは、生掻するだけでも厳しそうだから」
「こんな話は倱瀌かもですが、来幎床に向けお劖粟矎術通の孊芞員ずなる職員を町職員ずしお募集する予定です。絊料が安いので須藀さんにお声をかけるのは躊躇いがありたしたが、埌で募集芁項を送付しおも良いですか」
「本圓にそんな話があるの」
「本圓です」
「私が合栌するずは限らないけど魅力的な話ね。劖粟の研究も続けられるかしら」
「パ゜コン通信で皲村先生ずメヌルでやり取りできたすし、皲村先生のずころに行く時は、俺が車を出したす。道は芚えたしたから安心しおください。是非採甚詊隓を受けおください。須藀さんのような専門家に来おいただけたら、町ずしおも有難いです」
「けど宇郜宮から長い髪の女の子が来たら、虐められるずいう話を聞いたこずがあるから悩たしいわ」
「そんなこず絶察にさせたせん。俺が、俺が守りたす」
「本気」
「本気です。もし孊芞員に萜ちたずしおも、須藀さんに銀山町に来お欲しいです。䜕があっおも、俺が須藀さんを守りたす」
「知っおいるず思うけど、私は可愛げが無いわよ」
「可愛げなくなんおない劖粟を、倢を远い続ける須藀さんが倧奜きです」
「本圓に、本気で蚀っおいるの」
「劖粟の名にかけお、本圓に本気です」
空は青く柄み枡り、倩は二人に埮笑むような柔らかな光を降り泚いでいた。

 田䞭は思い出から珟実䞖界に戻るず、須藀が銀山町に来るこずが決たったら高橋に報告しようず、銀山湖を芋ながら思った。

 倏の倪陜が激しく矎しく、銀山湖を煌めかせおいた。

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犏島倪郎 文孊フリマ東京43 南3-4 え-33 サポヌト、kindleのロむダリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれん぀ふぉヌらむ犏島」さんに寄付しおいたす。 たた2023幎3月からは、倧阪のNPO法人「ハッピヌマム」さんぞのサポヌト費甚ずしおいたす。  皆さたからの善意は、子どもたちの未来に蚗したす、感謝したす。