
24時間営業発祥の街 郡山
2019年はコンビニの24時間営業が「過重労働」につながるものとして、メディアを賑わした印象があります。
ところで、日本で最初に24時間営業のコンビニが誕生したのは「福島県郡山市」になります。「セブンイレブン虎丸店」という店舗です。
そして、このお店にはさらに深い話があります。
日本初の24時間営業ということで、開業時にはセブンイレブンジャパンの本社から新入社員が店長として派遣されていました。東京生まれの東京育ち青山学院卒であり、本社で勤務するつもりが東北の片田舎で、パートやアルバイトの子たちと一緒に働かされることになってしまった新入社員は、非常に忸怩たる思いを抱いたことと推察します。
昭和55年の話になりますので、インターネットも普及していませんでしたから、本社からの電話や手紙の指示に従いながら、諾として仕事に取り組んでいたことでしょう。
その年の冬、郡山市を含む福島県は「クリスマス豪雪」と呼ばれる大雪に見舞われてしまい、電力会社の電気設備に大きな被害が生じ、大規模かつ数日間に及ぶ停電が発生してしまいました。交通機関も麻痺してしまい、物流もストップし、電話も不通となるという非常事態が発生したのです。
「店長、店はどうするのですか」
パートに聞かれた新入社員店長は、決断します。
「開けよう。来てくれるお客様のために」
蝋燭の明かりの下、本社とは連絡もとれず品物が補充される見通しもない、従業員の安全が確保できるのか、お客は来るのか、不安を感じながらも店を開け続けたそうです。
「開いてて良かった」
そう言ってくださるお客様のために。
この体験は新入社員店長に
「コンビニはただの小売業じゃない。社会に必要なインフラとしての機能を有している」
という気持ちを強く抱かせることになりました。
この新入社員店長が、後のセブンイレブンジャパン、セブン&アイ・ホールディングスの代表取締役社長となる「井阪 隆一」その人になります。
井坂社長の経営者としての原点は、福島県郡山市で生まれたのかもしれません(この稿は井阪社長のインタビュー記事を基にした筆者の創作です)。