見出し画像

人類はひとつになれると、波打ち際で確信した話

ちょっと唐突ですが、しばし、おセンチな話にお付き合いください。

へっぽこ太郎は、根っからの平和主義者です。
現代の争いが絶えない世界に、日々心を痛めています。
とはいえ、「俺は戦争で自分以外の人類がほとんど滅べばいいと思っている」なんて豪語する人には、そうそうお目にかかりません。

理想を言えば、世界中のすべての人に、幸せな人生を全うしてほしいと思っています。

……でも、それがほとんど不可能なことも、重々わかっています。

人種の違いも、主義主張の違いも、そこにあること自体は仕方ありません。 ただ、殺し合うのだけは、勘弁してほしいのです。

そんなこと、日本人ならみんな、心のどこかでぼんやり思っているはずです。
それでも、わざわざ口に出さなければいけない時代になってしまいました。
おセンチと笑われても、構いません。
それくらい、世の中は混沌としています。

人類は、わかりあえるのでしょうか。
一丸となって、恒久的な平和へと団結できるのでしょうか。
永遠のテーマです。

へっぽこ太郎は、「できる」と思っています。
なぜなら、確信をもって「体験」したことがあるからです。


あれは、20年ほど前の話です。
へっぽこ太郎とニクミちゃんは、新婚旅行でオーストラリアを訪れました。
大陸東部、ゴールドコーストとシドニーを巡り、雄大な自然と近代的な都市の両方を満喫した旅でした。

その、ゴールドコーストでの出来事。

ゴールドコーストは、海のアクティビティとビーチバカンスの街です。
サーファーにとってはパラダイスらしいですが、残念ながらへっぽこ夫婦にサーフィンの心得はありません。

ビーチのすぐ裏手には、オフィスやホテルの高層ビルが立ち並び、我々の宿もまさに海岸線のすぐそばでした。
ホテルの自室で水着に着替えて、そのまま歩いて海へ向かえる立地の良さでした。

とりあえず海に飛び込み、波にゆられます。
波は、絶え間なく打ち寄せてきます。
特に理由もなく、浜辺から沖へ向かって、ずんずん歩きます。
遠浅の海を、ひたすら水平線に向かって、ずんずん歩きます。
時折、波にさらわれて浜のほうへ押し戻されます。
それでも、また、ずんずん歩きます。
押し戻されては歩き、押し戻されては歩く、を延々と繰り返します。
まるで、クリアする気のないステージを永遠に繰り返す、無限ループのゲームのようでした。

ふと周囲を見渡すと、他の観光客たちも、まったく同じことをしていました。
ひたすら歩いては、波に押し戻されます。
それでも、また歩きます。
押し戻されます。

そこにいたのは、実に様々な人種でした。
欧米人、アジア人、黒人。
体格のいい青年もいれば、丸々としたオッサンもいます。
子どもも大人も、みんな同じ動きをしています。

人類みなずんずん

誰かに指示されたわけでもありません。
ただ、ひたすら沖へ向かって歩きます。
波に戻されます。
それでも、やっぱり歩きます。

理由を聞かれても、答えようがありません。
歩きたいから、歩くのです。

その光景を見て、へっぽこ太郎は思いました。
人類は、ある目的に向かって、ひとつになれる生き物なのだ、と。

やっていることは、控えめに言ってもかなりくだらないことです。
けれど、その「体験」を通して、自分の中に「確信」が生まれた瞬間でした。

別に、「世界平和」だとか「人類みな兄弟」だとか、大げさな言葉を声高に叫ぶ必要はありません。
ただ、日本からはるか遠くの海岸で、いろんな人種の人たちと、ただひたすらずんずん歩くという、たったひとつの単純な行動をともにしただけです。
それだけで、たどり着いた結論です。

人類は、ひとつになれるはずです。

これは、文章でも動画でも伝聞でも伝わりません。
「体験」でしか得られない「確信」というものが、たしかにあります。

この確信を、子どもたちにどうやって伝えられるでしょうか。
もっと、人生の根っこになるような「体験」を、幼いころにさせてやれませんでした。
親として、それは大いに反省すべき点だと思っています。
これからでも遅くはありません。
どうか、たくさん「体験」してほしいと思っています。

自信をもって子どもに教えられることは、実はそれくらいしかありません。


さて、今回のタイトルイラストも、同じゴールドコーストでの出来事を元にしています。

ニクミちゃんも、私と同じように海をずんずん歩いていました。
すると、近くにいた10歳くらいの欧米人の女の子に、楽しそうに話しかけられていました。
少し離れたところから、女の子の母親らしき人が、にこやかに見守っています。

英語かフランス語か定かではありませんが

「こうやって、波が来る瞬間にジャンプすれば、押し戻されずに済むよ!」

というようなことを、女の子はニクミちゃんに教えてくれていたようです。 その証拠に、白波が迫るたびに、女の子は元気いっぱい笑いながらジャンプを繰り返していました。

かわいいです。
実に微笑ましい光景です。

しかし、女の子よ、言わせてください。
きみが話しかけたニクミちゃんは、体が小さいから中学生くらいに見えたかもしれませんが、実はもう30歳を過ぎた、きみのお母さんより年上かもしれない、れっきとしたオバ…いや大人なのです……。
遠目から見たら、本当に子ども同士にしか見えなかったに違いありません。

もちろん英語どころか日本語すら怪しくなりがちなニクミちゃんは、ただひたすら愛想笑いを繰り返すのみという、いかにも「THE☆日本人」な対応に終始していたのでした。


いいなと思ったら応援しよう!

へっぽこ太郎 見つけてくださりありがとうございます!いただいたチップは、これからの執筆活動や新しい挑戦への大切な資金として、全額クリエイター活動に活用させていただきます。私の発信が、少しでもあなたの日常のプラスになれば嬉しいです。温かい応援をどうぞよろしくお願いいたします!