
社長、貸借対照表って誰のためにあると思いますか?
はい、タッピーです。
今日の相談は、
「貸借対照表って、そもそも何なんだろう?」
というお話です。
「貸借対照表」と聞いただけで、「うわ、難しそう……」と思った社長。
大丈夫です。
今日は、難しい計算の話はしません。自己資本比率も流動比率も出てきません。
まずは、
「そもそも、なぜこんな表があるんだろう?」
そこから一緒に考えてみましょう。
決算書って、誰のために作るんだろう?
会社を経営していると、毎年決算をします。
貸借対照表。
損益計算書。
いわゆる「決算書」です。
では社長。
この決算書、誰のために作っていると思いますか?
税務署でしょうか。銀行でしょうか。税理士さんでしょうか。
もちろん、今ではいろいろな人が決算書を使います。そして、経営者自身にとっても大切なものです。
でも、もう少し原点に戻って考えてみると、決算書には大切な役割があります。
それは、
事業にお金を託した人たちに、そのお金を使って会社がどうなったのかを伝えること。
「あなたから託されたお金を使って、会社は今こうなっています」
「一年間商売をして、こういう結果になりました」
それを共通のルールで伝えるわけです。
そう考えると、決算書が少し違って見えてきませんか。
財務諸表は「世界のお金の共通語」
会社によって説明の仕方が全部違ったら、困ります。
ある会社は独自の方法。別の会社はまったく違う方法。
それでは、その会社がどんな状態なのか比べることも難しくなります。
だから、一定のルールに基づいて会社の状態や経営の結果を表す仕組みが使われています。
それが財務諸表です。
僕はこれを、
「世界のお金の共通語」
のようなものだと思っています。
投資家も使います。金融機関も使います。大きな会社も、小さな会社も使います。
だから経営者である社長も、この言葉を少し知っていた方がいい。
でも、専門家になる必要なんてありません。
英語を話そうと思ったときに、最初から辞書を全部暗記する人はいませんよね。
Helloから始めてもいい。
Thank youからでもいい。
財務だって同じです。
少しずつ言葉の意味が分かってくると、決算書が話していることが聞こえてくるようになります。
貸借対照表は「会社の一枚の写真」
では、貸借対照表は何を表しているのでしょう。
難しく考えなくて大丈夫です。
まずは、
「ある時点の会社の姿を写した一枚の写真」
くらいに考えてみてください。
会社には現金があります。売掛金があります。商品や材料があります。機械や建物を持っている会社もあります。
一方で、銀行から借りたお金があったり、まだ支払っていない代金があったりします。
そして、会社を始めるときに入れた資本金や、これまでの経営によって積み上げてきたものもあります。
それらを一枚の表にして、
「今、この会社はこんな状態です」
と表している。
それが貸借対照表です。
英語ではBalance Sheet。よく「B/S」と呼ばれています。
まず今日は、これくらいで十分です。
でも、本当に面白いのはここからです
貸借対照表には数字が並んでいます。
でも僕は、その数字を単なる数字だとは思っていません。
なぜなら、
その数字の後ろには、その会社が歩いてきた時間があるからです。
たとえば、借入金が増えている。
数字だけを見れば、「借金が増えた」で終わります。
でも、
「なぜ増えたんだろう?」
と考えてみる。
新しい機械を入れたのかもしれません。工場を建てたのかもしれません。新しい事業に挑戦したのかもしれません。苦しい時期を乗り越えるために借りたのかもしれません。
売掛金が増えている。
「売上が伸びたから」かもしれない。でも、回収までの期間が長くなっているのかもしれない。
在庫が増えている。
これから売れる商品のために増やしたのかもしれない。反対に、思ったように売れずに残っているのかもしれません。
数字だけでは、そこまでは分かりません。
だから僕は、数字を見て、
「どうして、この数字になったんだろう?」
と考えます。
そして社長に聞いてみる。
すると、
「いや、実はね……」
という話が始まることがあります。
僕は、ここが財務の面白いところだと思っています。
決算書には、会社のドラマが残っている
会社は、一年でできあがるものではありません。
社長が何かを決断する。投資する。人を採用する。新しい取引先を開拓する。
うまくいくこともある。思ったようにいかないこともある。資金が苦しくなることもある。
それでも工夫して、次の一年へ進んでいく。
そんな経営の積み重ねが、少しずつ数字になって残っていきます。
だから一年度だけではなく、何年かの決算書を並べてみると、また違ったものが見えてくることがあります。
点だった数字が、線になる。
そして線になると、
その会社が歩いてきた道が、少しずつ見えてくる。
僕は、
「決算書には、会社のドラマが残っている」
と思っています。
社長にこそ、この言葉を使ってほしい
決算書は、税務署に提出するためだけの書類ではありません。
銀行に見せるためだけの書類でもありません。
投資家や金融機関など、会社を見る人たちが使っているものでもあります。
だったら、
会社を経営している社長自身が使わないのは、もったいない。
僕はそう思います。
ただし、貸借対照表の左右を丸暗記して、勘定科目を全部覚えてくださいという話ではありません。
大切なのは、
「この数字は、うちの会社の何を表しているんだろう?」
と考えられるようになることです。
利益が出ているのに、どうしてお金が増えていないんだろう。
売上が増えているのに、なぜ資金繰りが苦しくなるんだろう。
在庫が増えると、会社のお金はどうなるんだろう。
借入金は、本当に少なければ少ないほどいいんだろうか。
そんな疑問が出てきたら、決算書はもう「税理士さんが作った難しい書類」ではありません。
経営を考えるための道具になり始めています。
まずは「へえ、そういうものなんだ」でいい
これから知的経営倶楽部では、貸借対照表について少しずつお話ししていきます。
資産とは何か。負債とは何か。純資産とは何か。
そして、
利益とお金は、なぜ同じではないのか。
そんなところにも少しずつ入っていきたいと思っています。
でも、急ぐ必要はありません。
今日は、
「貸借対照表って、会社の今の姿を表しているんだ」
そして、
「その数字の後ろには、会社が歩いてきたドラマがあるんだ」
それくらいで十分です。
財務諸表は、覚えるためだけのものではありません。
社長が、自分の会社を知るために使える言葉です。
世界で長く使われてきた「お金の共通語」を、僕たちも少しずつ覚えてみませんか。
最初から上手に話せなくていいんです。
まずは、
「へえ、そういうものなんだ。」
そこから始めましょう。
そして次は、この一枚の写真の中に何が写っているのか。
一緒に、ゆっくり見ていきましょう。