
競歩で行くよ。
我が家の移動手段は競歩だ。
徒歩ではない、競歩だ。
「ちょっとコンビニ行ってくるね」
そんな何気ない会話。
「行ってらっしゃい」よりも先に、聞くことがある。
「なにで行くの?」
「競歩で」
急いで行ってパッと帰ってくるよ、という意思表示でもある。
というのも、我が家は現在子育て真っ只中で、0歳と3歳の息子の世話に追われ、ジャグリングをするかのようにあれやこれやと目まぐるしい毎日を過ごしている。
せっかちな夫とせっかちな妻の夫婦である。
意思疎通を意識しないとすれ違って同じ道を三往復したこともある。
夕飯の買い物も、お互いの返事を待てないので返事が来る前に買ってはよく牛乳が2本になる。
リスペクトはしているのだが、お互いにとにかく自我が強いから、ひとたび喧嘩でもすると、お互い気の済むまで怒るから言い合いがどんどんヒートアップする。
一番最近の口論は、夫が私に何も言わずに、良かれと思って、スニーカーの中に10円玉を入れたのだ。
知らずに足を入れた私は10円玉の異物感を虫と勘違いして、叫んだ。
お金を踏んでしまったショックと、虫を踏んだんじゃないかと焦った時間が私の言葉を強くしてしまった。
そもそも10円玉で消臭するのは革靴だ。
私の宝物のひとつがスニーカーだ。
我が家は誕生日にはお互いスニーカーを贈り合っていて、ついに6足目が届いた。
今年は夫には黒いスニーカーを。
私は白いスニーカーを貰った。
靴紐を結ぶ必要がなく、かかとが潰れないようになっている素晴らしいスニーカー。
私はとても気に入っている。
我が家の歴代のスニーカー達は履き潰されても左足の靴だけを残して飾るルールがある。
別にルールとして決めたことではないが、なんとなく捨てにくいし、でも置き場所は圧迫するし、でも完全に捨ててしまうのも悲しいし。
そこで思いついたのが、置き場所が半分で済む片足保管ルールだ。
地球のため、なんて言うとそんな大袈裟なことではないけれど、ついでに地球のためになるのなら、一足二鳥だね。なーんてね。
夫の靴はいつもつま先の外側がすり減る。
私の靴はいつも足先に落ちきらなかった泥汚れが残っている。
いつかこの靴たちが置き場所から溢れてくる日は来るのだろうか。
今の靴棚の逼迫具合から考えるに、その日は、案外近いかもしれない。
靴を飾り続ける未来のために、将来は大きなシューズクロークがある家に住みたいな。
ねぇ?