
『何が普通かの概念』
近所のスーパーに行った時、変わった眉毛の女の人がいる。
その眉毛の形はなんとも言い表せない。まろ眉でもないし、細眉でもないし、フリーダ・カーロのような太いつながり眉毛でもないし、ゲジゲジ眉毛でもない。
強いて言うなら、扇形かもしれない。眉間から眉尻までの大袈裟なまでのアーチ型は、まるでレインボーブリッジの鉄の湾曲のように細い線を描いている。そして、その湾曲の中はキャンバスのように薄いグレーで器用に塗られている。
はっきり言って、分度器のような扇のような形をしている。
私は最初そのご婦人に出会った時、この人は存在していない人なのかもしれないと思った。なぜなら周りの人はさほど気にも留めないからだ。ベースメイクも白塗りなので、私はギョッと驚いてしまった。
二度目、三度目と出くわすたび、とても不思議な感覚になるが見慣れることはない。
実は今日の夕方も出会したが、他の買い物客は至って普通だった。私にだけその眉毛が見えているのかもしれない。私にしか見えていない人だったりして。
けれど、そのご婦人は普通に買い物をしていたから存在している。
今度は私の概念がおかしいのではという気になってきた。近頃、扇形の眉毛が密かにブームになっているとか、それとも実はその眉毛の描き方は定番で、メイクが上手い人たちの中では当たり前なのかもしれない。私の知らない常識が存在しているのでは、とさえ思う。
もしくはそのご婦人は何か舞踊でもやっていて舞台メイクなのだろうか。それにしても、ごく普通のフード付きトレーナーにジーンズ、サンダルという出で立ちで、舞台を終えた帰りには見えない。
謎が解ける日は来るのだろうか。私にはきっと、その眉毛の秘密は解けそうにない。それともご婦人はユーモアのある人で、誰かを笑わせようとしているのだろうか。
などと様々な憶測が頭に浮かぶ。
そもそも普通とは誰が決めるのだろう。
結局は何もわからないまま、明日には忘れている。
(MacBook)