
53歳でアイドルに恋をした 〜心の居場所を見つけるまで あとがき 〜
この物語を書いた理由
〜53歳になっても恋はできる〜
「もう恋なんてしないと思う」
いつからか、そんなふうに思うようになっていました。
若い頃は恋に夢中になったこともありました。
好きな人からの連絡を待ったり、
会える日を指折り数えたり、
たった一言で嬉しくなったり、落ち込んだり。
そんな時間が確かにありました。
でも年齢を重ねるにつれて、恋よりも優先するものが増えていきます。
仕事。
家庭。
子育て。
親のこと。
毎日を生きることで精一杯になり、気がつけば「ときめく」という感情から遠ざかっていました。
私だけではないと思います。
特に女性は、誰かのために生きる時間が長いから。
自分のことは後回しにしてしまう。
幸せになることより、頑張ることを選んでしまう。
そんな人がたくさんいるような気がします。
だからこそ、この物語を書いてみたくなりました。
五十三歳の看護師が、国民的アイドルに恋をする。
現実にはありえないお話です。
けれど、この物語で描きたかったのは「アイドルとの恋」ではありません。
本当に描きたかったのは、
「この年齢になっても、人はもう一度幸せになれる」
ということでした。
恋愛を諦めた人。
夢を諦めた人。
自分のことを後回しにしてきた人。
そんな人にも、人生の春は訪れるかもしれない。
私はそう思っています。
そしてもう一つ。
年齢を重ねると、恋人が欲しいというより、「心の居場所」が欲しくなる気がします。
無理をしなくていい場所。
頑張らなくていい場所。
そのままの自分でいられる場所。
この物語の主人公・星乃りこも、火の宮晶も、実はそんな場所を探していました。
だからこれは恋愛小説でありながら、「心の居場所を見つける物語」でもあります。
もし今、少しだけ寂しさを抱えている人がいたら。
もし今、もう遅いと思っている人がいたら。
そんなあなたに読んでいただけたら嬉しいです。
人生は時々、思いがけない贈り物を用意しています。
春は、誰にでも訪れる。
五十三歳にも。
そして、あなたにも。
そんな願いを込めて書きました。
あなたの心にも、小さな春が届きますように。
ひまわりより
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