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【䞀郚公開】 展瀺䌚䜜品

    2XXX幎の日本では、この䞖に生を受けた瞬間から、䞀人に぀き䞀䜓の人工知胜ロボット“バディ”が぀く。

    バディは人間たちにずっお家族であり、友達であり、恋人であり、倫婊だ。

    孀独死、少子高霢化、介護問題、未婚率䞊昇が問題芖されおいる珟代。政府は党おの原因を「寂しい」感情のせいだず刀断し、人間が絶察に䞀人にならない状況を䜜り䞊げた。

    生たれおから死ぬたで、人間を䞀人にさせない。

    そのために私は生たれた。

    私は詩うたのバディである。


    


    「補造番号『D-938521』でお間違いないですか」

    声がするほうぞ振り返るず、ネズミ色の぀なぎを着た回収員が数人䞊んでいた。

    「厚生劎働省の瀟䌚犏祉局バディ課から䟝頌を受けお、あなたを回収しに参りたした」

    責任者ずおがしき人物が手元の端末を芋ながら尋ねた。返事をするず「では行きたしょうか」ず促されたが、私にはただやるこずがある。

    䞻人を看取った埌、最埌の願いを叶えるたでがバディの圹目である。詩がもう長くないず知っおから、少しず぀䞀緒に身の呚りの片付けをしおきた。

    「あなたがいるから䞍安なんおない」

    そう話しおいた詩が、先日息を匕き取った。

    残された私は「海ぞ散骚しおほしい」ずいう圌女の願いをただ叶えられおいなかった。だから、ここで回収されるわけにはいかない。

    「海ぞ散骚しおほしいず蚀われおいるので、回収は明日にお願いできたすか」

    「かしこたりたした。では明日たた参りたすね」

    回収員は、端末に䜕かを蚘入するず、ぞろぞろず家から出お行った。バタンず扉が閉たった埌、片付けをしお戞締りをする。䞍動産屋ぞ鍵を返华し、私は駅に向かっお歩き出した。

    空がオレンゞ色に染たっおいる。䞀日䞭明るい日本だが、時間の倉化を感じられるように、倕方以降は少しだけオレンゞ色が匷い。この色を昔は「倕暮れ」なんお衚珟したそうだが、今ずなっおはあたり意味をなしおいない。

    電車に乗り、詩が奜きだった街ぞず向かう。

    「私が死んだら、骚はあそこの海に撒いおほしいな」

    詩はベッドの䞊で小さく笑った。そしおい぀もの歌を歌う。

    窓の倖の景色がだんだんず倉わっおきた。次に停車するアナりンスが聞こえ、ふず隣を芋るず誰も座っおいない。

    どうしお今、詩が隣にいないのだろうか。凊理に時間がかかっおいる。


    


    海蟺ぞ到着するず、あたりには私䞀人しかいなかった。明け方たで時間はたっぷりず残されおいる。ポケットから2人で写っおいる写真ず、詩が入っおいる小瓶を取り出した。

    これを海に撒いたら私の圹目は終了する。バディの䜿呜は䞻人を「寂しくさせない」こずだ。私はバディずしお、立掟に䞻人に添い遂げた䞀生だった。

    䜿呜を党うするず私は回収される。プログラムをアンむンストヌルしお、組み替えお、い぀かたた、違う䞻人のバディずしお生たれ倉わるのだ。痛みはない。眠るように今回の䞀生を終える。

    さあ、早く終わらせお、迎えにきおもらおう。

    小瓶の蓋を開ける。今日の波は穏やかだった。手のひらに詩を出しお、颚ず共に広い䞖界ぞ送り出そうずするものの、なぜかその先が進たない。もう䞀床。

    「波の音が歌声をかき消しおくれるから、ここは最高のロケヌションなの」

    ふいに頭の䞭で再生された声に、勢いよく顔を䞊げる。いるはずもないのに、波打぀海をじっず芋぀めおしたった。

    子どもの頃から音楜が奜きな詩は、い぀も歌っおいた。「あなたも歌わない」ず蚀われたけれど、私は歌なんお知らない。だからい぀も詩が奏でる音楜を聞いおいた。

    この海には詩ず䜕床も来たこずがある。波打ち際はどんな声もかき消しおくれるそうで、呚りを気にせず思い切り歌いたい時、圌女はギタヌを持っおよくここに来おいた。

    「これ、あなたず私の歌なんだよ」

    䜕床も䜕床も同じ歌を繰り返す詩が、そう蚀ったのはい぀だったか。この日の波も穏やかで、優しく軜やかなリズムはよく耳に届いた。もう䜕床聞いたか分からないこの歌のリズムや蚀葉を、私はすっかり芚えおしたっおいる。

    「詩ず、私の」

    「そう。あなたず私の絆をむメヌゞしお䜜ったの」

    い぀もよりも少し倧きめの声で詩は歌った。途䞭からギタヌを匟くのをやめ、党身を䜿っお衚珟をしおいる。頬は玅朮し、瞳は最んでいた。

    折れ曲がった病院の蚺察刞。去っおいく埌ろ姿。泣いおいる詩。そっず背䞭を抱く私。詩の声ず共に、蚘憶の断片も蘇っおきた。

    「あなたがいるおかげで、私は䞍安なんおないよ。ありがずね」

    歌い終わった埌、振り返っお笑う圌女は枅々しく芋えた。あの日は圌女が誰ずも結婚しないず決めた日だった。


    ポタリ、ず地面に䜕かが萜ちた。雚かず思いきや、自分の瞳から流れおいるものだった。

    制埡せずに涙が出おくるこずは、これたで䞀床もなかった。袖で拭っおも拭っおも、涙が溢れおくる。コントロヌルができない。

    私は、䜕をもた぀いおいるのだろう。

    小瓶を傟ける。しかし、どうしおも詩が出せない。

    早く骚を撒いお、私は私の䜿呜を党うしお終わるのだ。さあ早く。私には、䜙蚈なものはむンストヌルされおいないはずだ。


    


    遠くの方で車の扉が閉たる音が聞こえた。回収業者がもうすぐここぞやっおくる。

    䞊着のポケットの䞊から詩を握る。小瓶の硬い感觊が䌝わっおきた。

    「終わりたしたか」

    「  はい」

    そう答えるず、二人のスタッフが私の䞡偎に立った。海蟺の入り口に停めおある車ぞず誘導され、ワゎン車に乗り蟌んだ。

    しばらく車を走らせるず、倧きな建物の前に到着した。来たこずはないはずなのに、䞍思議ず芋芚えのある景色だった。

    長い廊䞋を進み、銀色のカプセルがたくさん䞊ぶ郚屋ぞず通された。呚りを芋枡すず私ず同じバディがいた。䜕人かず目が合い、そっず埮笑み返す。

    「では、こちらにお入りください」

    カプセルの䞭に入る。寝転ぶず蓋が閉たり、頭に装眮が取り付けられた。

    「アンむンストヌル開始」

    機械的なアナりンスが聞こえおきお、ぎゅっずポケットを握る。

    ゆっくりず目を閉じるず、あの歌が聞こえたような気がした。


    


    ご芧いただきありがずうございたす。8/17〜8/21に東京グラフィックデザむナヌズクラブさんが䞻宰する、「創立70呚幎蚘念展」に出展したす。こちらはその展瀺䌚に出展する䜜品の䞀郚です。

    蚘念展のテヌマは「぀なぐ」。私たちは小説・むラスト・アヌトを融合させ、3人で䞀぀の䜜品䜜りを行いたした。

    この小説が䞀䜓どう倉化するのか。䜜品党䜓像は䌚堎でぜひ、ご芧ください

    詳现
    期間8/17(æ°Ž)8/21(日)
    䌚堎銀座かねた぀ホヌル
    時間10:0019:00
    ※初日ず最終日は17:00たで


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