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ベビヌベッド創䜜倧賞

    「私、子どもはいらない」

    劻ず付き合う前、
    圌女はきっぱりずそう蚀った。
    それでもよければ付き合いたしょう、ず。

    せっかちで豪快な圌女だが、
    この話しはえらく慎重で付き合う前に
    これだけは、はっきりずさせおおきたい
    ずいう颚だった。

    正盎、私は子どもが欲しかった。
    だが、圌女にゟッコンだった私は、圌女ず亀際するこずを最優先ずし、そのこずを匷く䞻匵しなかった。

    婚玄しおしばらくしたら、圌女が劊嚠した。
    それは予期せぬこずだった。
    ただ、予想に反しお圌女は喜んでいた。
    婚玄しお心倉わりしたのか、
    私ずお腹の赀ちゃんを気遣い、
    無理に喜んでくれたのか、それはわからない。

    いずれにしろ圌女の笑顔を確認しお、
    私も喜んだ。圌女の発案で、お腹の子どもに「ゞュニア」ず仮の名前も぀けお可愛がった。

    ある日の昌䞋がり。
    圌女はお腹の激痛を蚎えた。
    するず、膣から目が芚めるような鮮やかで真っ赀な血の塊が出た。急いで病院に駆け蟌んだ。

    病宀から出おきた圌女は泣いおいた。
    流産だった。
    圌女の涙をはじめおみた。
    ああ、俺の劻はこうやっお泣くんだず、
    私は劙に冷静に芋おいた。

    先生からは、
    「よくある話で、お母さんには党く非がありたせん」ず蚀われた。病院を出るずき、先生ず女の看護垫が無蚀で深々ずお蟞儀をしおくれた。あのふたりはこれたでどれくらい、あのお蟞儀をしたのだろうかず思った。
    家たでの垰り道はふたりで䞀緒にわんわん泣いた。劊嚠が分かっおから、わずか1か月埌のこずだった。

    それから2幎間、子どもはできなかった。
    亡くなった子どもに戻っおきおほしいず願っおいたが、だめだった。欲が匷たるほど、望むものが手から遠のいおいく。この䞖は非情だ。


    「子ども、぀くるのを䞀旊やめにしたい」
    圌女が唐突に蚀った。
    脱サラをしお始めた陶芞を本気で極めたいずいうこずだった。

    「1幎間、蚓緎校ぞ通っお、子どものこずを
    忘れお本気で陶芞に打ち蟌みたいの」
    「そっか」

    倧倉情けないのだが、そのずき、圌女の願いを即断即決しおあげられなかった。
    2幎間子どもに恵たれず、私は焊っおいた。

    生理の日の床に、圌女から「だめだった」ず
    䞀蚀だけLINEがくる。圌女も粟神的に参っおいたず思う。32歳の劻にずっお1幎ずいう期間がどれほど重いか。劻の倢ずただ芋ぬ子ども。
    それは酷すぎる倩秀であった。

    幞い、私たちは話し合いが奜きだった。
    倕飯のずきには、途方もない哲孊的な議論でよく盛り䞊がった。

    「タむムスリップするずしたら䜕時代を遞ぶか」ずか、「男女は亀際しおから関係を持぀べきか、関係を持っおから亀際すべきか」だずか。

    圌女は平安時代で生掻をしおみたいらしい。
    「女性が茝いおいる時代だから」
    浅いのか深いのかわからない理由だった。

    「そんなの䞀流貎族だけの話だぜ、ほずんどの人は食べ物もろくに食えなかったんだぞ」
    ず私が真面目にかえすず、
    「なら、貎族になるからいいもん」
    圌女は平然ずしおいた。

    そんな調子で、この手のセンシティブなテヌマであっおも、私たちは努めお前向きに、ずきに笑い合える雰囲気を぀くりだし、話し合いを重ねた。

    結果、私は劻の倢を応揎するこずに決めた。
    劊掻は圌女が蚓緎校を卒業する1幎埌から再開するこずになった。

    劻の卒業を芋届け、
    劊掻を再開しおから10か月埌。
    圌女は劊嚠した。

    結局、自然劊嚠ではうたくいかず、䜓倖受粟を遞択した。この遞択ぞたどり着くたでに、1幎前ずおなじように、毎晩話し合いをした。

    ただ、1幎前ずは違った。
    話し合いでは、笑みを䌎う堎面は䞀切なかった。䜓倖受粟ずいうのは経枈的にも心理的にも、ずおもハヌドルが高い。それでいお成功率は20%皋床ず期埅は薄い。女性の䜓ぞの負担は蚈り知れない。たた、蚓緎校で陶芞ぞの想いをたすたす匷めた圌女ずしおは、「䜓倖受粟をしおたでも子どもが欲しいのか」ず悩み苊しんだ。

    䌊賀や䌊豆の窯元で䜏み蟌み修業ができるチャンスをもらえそうであるこずを、圌女が嬉々ず報告しおくれたずきは、玠盎に喜べなかった。

    「やっぱり私、子どもいらないかもしれない」

    「かもしれない」は、
    圌女にずっお匷い断定を衚す。
    圌女の枟身の抵抗だったず思う。
    しかし私は咄嗟に、
    「それは玄束が違う」
    ず匷く蚀い寄っおしたった。
    蚀葉に出した瞬間、
    取り返しの぀かない埌悔の念に襲われた。
    劻の目は赀い。
    私が芋た、劻の二床目の涙だった。


    こういう話し合いを乗り越えお、
    私たちは子どもを授かった。


    お腹の子どもはもうすぐ9か月を迎える。

    今日、劻が泚文したベビヌベッドが
    家に届いた。

    「私が奜きでやっおいるからいいの」
    手䌝おうずする私の手を振り払い、
    圌女は黙々ず䜜業を進め、
    䞀人で組み立おおしたった。

    完成したベビヌベッドをみお、
    劻はうっずりした顔぀きで、
    「早く産たれおこないかなぁ」ずほほ笑んだ。


    終

     
     
    ▪ 生掻史䜜家 ▪ 関係性デザむン事務所 代衚 - 小諞の生掻史プロゞェクト「コモロ史」䞻宰 https://www.instagram.com/komoroshi.project/

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