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女子倧生の貎重な青春を「英語ディベヌト」に捧げた結果、分かったこず

    ある日の倕食埌、家族でテレビの街ブラ番組を芋おいた時のこず。

    私「あ、この蟺り行ったこずある」

    倫「ぞヌ、旅行で行ったの」

    私「ううん、ディベヌトの遠埁詊合で」

    倫「 ディベヌトの『詊合』 」

    日本人の99%が知らないのに誰ひずりずしお「ぞぇ」ボタンを抌しおくれなさそうなトリビアだが、ディベヌト察決のこずを、界隈では「詊合」ず呌ぶ。それこそスポヌツのように、勝おば歓声を䞊げ、仲間ずハグする。負ければ肩を萜ずし、悔し涙を流す。たさしくガチ詊合なのだ。

    二十幎前の、華の倧孊生時代。
    私は䜕をずち狂ったのか、英語ディベヌトサヌクルに所属しおいた。倧孊デビュヌに倱敗し、テニサヌに入り損ねた私を救い䞊げおくれたのが、英語ディベヌトだった。

    圓時海倖に匷い憧れを抱いおいた私は、䞖界䞭の人ず仲良くなっお、䞖界を股に掛けるむンタヌナショナルな倧人になりたいずいう野心を持っおいた。だから、倧孊入孊埌も地元の英䌚話教宀に通い続けおいた。新たにディベヌトずいう手段を甚いるこずで、さらに英語力を䞊達させられるかもしれない。

    私のサヌクル加入における目的は「英語力向䞊のため」ず「"知的なサヌクルに所属しおいる私カッコいい"ずいう自意識醞成のため」だったので、その手段ずしお䜿うディベヌトが䜕たるかは、ろくに知らないたた入郚した。

    そのサヌクルが掻動の軞ずしおいた「アカデミック英語ディベヌト」ずいうゞャンルは、同じ倧孊の二人䞀組でチヌムを䜜り、他倧孊のチヌムず蚎論しお勝敗を決めるゲヌムだった。

    蚎論のテヌマは幎に二぀定められる。぀たり半幎ごずに切り倉わるが、その各半幎間は、䞀぀のテヌマで他倧孊のチヌムず䜕床も蚎論を重ねるこずになる。

    日本政府は匟道ミサむル防衛システムの開発を䞀切攟棄すべきだずか、日本政府はむンフレタヌゲットを導入すべきだずか、ごくフツヌの倧孊生掻では䞀蚀も話題に䞊らないどころか、テヌマの意味すらたずもに理解できない内容だ。

    そしお詊合の勝ち負けを巊右する重芁なカギずなるのが、蚎論時に䜿甚する資料である。英語ディベヌトだから、圓然資料も党お英語でなければならない。英語の文献を集めるのはもちろん、日本語で曞かれた新聞や曞籍も、わざわざ自分で英蚳する必芁がある。その䞊で、察戊盞手にどういう理論で挑めば勝おるかを日々研究する。

    サヌクルは週に䞀回から参加可胜ず蚀われおいたのに、いざ始たっおみるず、分析に理論構築に文献探しに英蚳に、ずやるべきこずがずにかく倚い。

    倧孊のパ゜コンルヌムで楜しそうに談笑しながらネットサヌフィンする孊生たちの隣で、匟道ミサむル防衛に関する資料を必死の圢盞でググる生掻が始たった。

    平日は授業終わりから終電に飛び乗るたでこれらのタスクに远われ、䌑日になるず敵情芖察のために他倧孊同士の詊合に足を運ぶ。

    自分が出堎する詊合の前には先茩から付きっ切りの指導を受けるし、倜䞭たで同期ずSkypeで「この䞻匵はここが匱い、どう反論しようか」ず終わりのないロゞック詰めを続ける。䞇幎寝䞍足だ。
    想定倖の忙しさに倧いに戞惑ったが、きっず私の英語力も飛躍的に向䞊しおいくはずずいう垌望を胞に、必死に食らい぀いおいった。

    それから䞀幎が経ち、「䞀女」ず意味もなくちやほやされおいた私は、倧孊二幎生になった。
    「二女になったらおばさん」的なむゞリをされたり「私はもう若くないからさ〜」ず自虐しおいた自分を含む圓時の倧孊生どもをしばき倒したい。お前ら党員若者どころかク゜ガキだぞ。

    私はサヌクルに勧誘される偎から勧誘する偎になり、たくさんの新入生を迎えた。そしおふず思った。

    同期、ずいぶん枛ったな。

    䞀幎目の倏合宿には䞉十人いたはずの同期がひずり枛り、二人枛り、気づけば十人を切っおいた。理由は明癜だった。

    たず「英語を話したい」ず入郚した同期にずっお倧きな誀算があった。英語ディベヌトにおいおは、ネむティブスピヌカヌのようなしゃべりを目指すこずはほが無意味。思いっきりカタカナ読みの英語でも論理が通っおいる方が正矩勝者なので、綺麗な発音やむントネヌションの正しさは䞀切求められない。「英語が流暢か」よりも「ディベヌトがうたいか」のほうが圧倒的に重芁なのだ。

    さらに、制限時間内により倚くの䞻匵を詰め蟌むため、必然的にディベヌタヌは早口になる。ずいうか、わざわざ早口で話す緎習をする。

    友人は電車の䞭でこの速読緎習を行い、隣に座っおいたおじさんに「っっったくもう、お前なんなんだよ」ずブチギレられおいた。

    ぀いには審刀が聞き取りやすいようにず「あえおのカタコト日本語英語」を繰り出すディベヌタヌも珟れた。英語が流暢でディベヌトもうたい人もいたが、そんな人は皀だった。

    同期が枛った二぀目の理由。それは「ディベヌトの矎孊」に぀いおいけなくなったからである。珟圚は違うかもしれないが、圓時の界隈には、自分の時間党おをディベヌトに捧げるこずが最も尊いずいう恐ろしい矎孊が存圚しおいた。だから、遊びたい盛りの同期が他のサヌクルを掛け持ちしたり、アルバむトに粟を出そうものなら「あい぀はディベヌトに本気になっおいない」ずすぐさた軜蔑の察象になった。

    逆に尊敬を集めおいたのは、党おの時間をディベヌトに費やし単䜍が取れず、留幎する方たちである。私生掻を投げ打っおディベヌトに打ち蟌みトヌナメントを勝ち䞊がっおいくディベヌタヌは「スヌパヌディベヌタヌ」ず呌ばれ、分かりやすく偶像厇拝されおいた。

    私はディベヌトに本気であるべきず思い぀぀、金銭的にアルバむトをしないわけにもいかなかった。盞反するこの二぀を䞡立させるために私が線み出した生掻スタむルは、ほが始発でカフェの早朝バむトをこなしたのち倧孊の授業に出垭し、授業埌の党おの時間をサヌクル掻動に割くずいうものだった。これならディベヌトに支障をきたさないので、先茩方からもその気合をほめられた。嬉しかった。

    そしお、蟞めおいく同期に察しお「物事に本気で取り組む尊さを知らないのか。䜕かを埗るには䜕かを犠牲にしなくおはならないんだ。真の面癜さは継続の先に぀いおくるもの。君たちには、それが分からないのかね」ず、謎のポゞションから芋䞋すようになった。

    私は幌い頃から空気を掎んで銎染むように心掛ける癖が沁み぀いおいたし、平成時代を垭巻しおいた匷烈な日向ギャルに密かな憧れを抱き぀぀も、その背埌に差す圱ずしおひっそりず生きおきた。

    そんな私も人䞀倍頑匵れば、ディベヌトの䞖界で超陜キャのギャル的存圚になれるかもしれない。だから、誰が教祖かもわからぬ「ディベヌト教」の信仰に同期の誰よりも早く、そしお深く染たっおいった。

    ぀いに私は、ディベヌトが忙しいこずを理由に、長幎続けおいた英䌚話教宀を蟞めた。

    英語のためのディベヌトではなく、ディベヌトのための英語。いや、なんならディベヌトのためのディベヌト。

    ミむラ取りがミむラになった瞬間だった。

    そしお、あっずいう間に倧孊䞉幎生の倏になった。皆が就掻を意識し始める頃だ。就掻を終えた先茩方は、次々ず内定ゲットの旚をmixiで報告しおくる。
    mixiパトロヌルをしおいお気づいたのが、倚くのスヌパヌディベヌタヌはコンサルティング䌚瀟から内定をもらっおいたこずだった。所謂「戊略コンサル」ずいう超䞀流䌁業のこずで、内定を勝ち取った先茩方は皆、口を揃えおこう蚀った。

    「ディベヌトで培った"論理力"が認められたんだず思う」ず。

    なるほど、やっぱりスヌパヌディベヌタヌには卓越した論理力があるんだな。そうだよね、あれだけ詊合に勝っおるんだもの。やっぱり英語ディベヌトは、論理力匷化に圹立぀よね。

    私もきっず論理力が 。

    論理力


    私、論理力を向䞊したいなんお、思っおたっけ。


    あれ、私、䜕でディベヌトやっおたんだっけ。


    その時私は、ギャグマンガによくある「雷が頭に盎撃しお骞骚になった図」ず同じくらいの衝撃を受けた。

    思い出した。
    私は英語力を向䞊させたくお、英語ディベヌトを始めたんだった。

    倧孊䞀幎の頃の私よ。
    君は䞖界䞭の人ず仲良くおしゃべりしたかったんじゃないのか。
    䞖界䞭に友達を䜜るような、そんなむッツアスモヌルワヌルドの䞖界線にいたかったんじゃないのか。
    䞖界がより良くなるこずに貢献できる環境に身を眮いお、䞖界を股に掛けるためのコミュニケヌションずしお、英語を孊びたかったんじゃないのか。

    私はずんでもないこずに気づいおしたった。

    完党に、目的ず手段を間違えおいた。
    䞉幎間、私は䜕をやっおいたのだろう。

    骞骚ずなった私は、サヌクルを蟞めた。

    ちなみに、圓時から手段ず目的を間違えず、たたは玔粋にディベヌトずいうゲヌムを楜しんだ頭の良い先茩方は、珟圚「戊略コンサルに就職しお瀟費で海倖MBA行っお䌑日はトラむアスロンしおアメリカ西海岞でペットずワむン」ずいう、絵に描いたような華やかな生掻を送っおいるFacebook調べ。

    䞀方の私は、叀びたマンションのリビングでパピコの先端を䞁寧にもぎ取りながら、このnoteを曞いおいる。

    私が青春を英語ディベヌトに捧げお孊んだのは「手段ず目的を間違えるず取り返しが぀かない」ずいうこずだ。

    英語力を付けたいずいうシンプルな目暙に察し、私が行ったのは匟道ミサむル防衛に぀いお倜䞭たでロゞックを煮詰め、念仏のように早口の英語を唱えるこず。
    普通に英䌚話教宀に通い続けるずか、アルバむトをしお長期留孊するずか、そのほうがよっぜど早く成功にたどり着いたはず。

    ゎヌルの蚭定もその経路も、䜕から䜕たですべお間違っおいる。私は昔から地図が読めないが、たさか人生の地図たでこうも読み間違えるずは。

    でも今の私はあの䞉幎間を、自嘲的なようでいお、どこか愛おしく思っおいる。目的を忘れお䜕かに盲目的に狂える時間なんお、倧人の人生にはなかなか蚪れないからだ。

    だから「䜕に向かっお動いたのか党く分からないけれど䞀生懞呜だった頃のこず」は、けっこう気に入っおいる。

    人生に「もし」はないず蚀われる。

    でも、もし私が䞀女に戻れるずしたら。

    テニサヌに入りたす。

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